レポート

音楽/エンタメ業界の仕事

映像作品を音楽や音で引き立てます(MA)

▲レコーディングミキサー基礎実習

音楽/エンタメ業界の仕事2022/MA:様々な映像作品に音楽や音を挿入する仕事

音楽やエンターテインメントにまつわる職業や業界は多岐に渡りますが、一体どんな世界なのでしょうか。今回はMAの仕事について、日本工学院専門学校ミュージックカレッジ 音響芸術科 MA専攻の蓑輪先生に伺いました。(DiGiRECO.JR VOL.52〜2022年7月号〜掲載)

映像作品を音楽や音で引き立てます

ーMAの仕事について教えてください

蓑輪:MA(Multi Audio)とは、放送作品や映像作品にナレーションやセリフをはじめ、効果音や音楽を挿入したり、編集をする作業全般(仕事)のことを指します。テレビ番組を例に挙げると、映像に効果音を付けたり、BGMを入れたりするほか、「整音」といって、出演者の声が聞き取りやすくなるように音質をクリアに整え、ミックスをするのもMAの仕事の1つです。

MAの仕事は実に多岐に渡るのですが、テレビ番組や映像作品の「音」に関係するものは、いずれもMAエンジニアの手によるものです。ちなみに、「テレビCM」は少しだけ異色で、MAエンジニアも撮影や収録に立ち会う場合が多く、他のMAの仕事にはない特徴と言えます。

MA専攻の在校生に話を聞いてみると、アニメや映画を見るのが好きで、この業界に興味を持ったケースが多いようです。また、アニメや映画の仕事をいろいろと調べる中で、声優や俳優などの表舞台に立つような仕事ではなく、制作の現場や音響効果(効果音を付ける作業)を手がけるMAのことを知り、この業界を志望する学生が増えている傾向にあります。なお、本校のMA専攻は女子に人気で、全体の7割くらいを女子学生が占めています。

ー 入学前に、ある程度の知識は必要ですか? 高校時代にやっておいた方が良いことも教えてください

蓑輪:入学前から専門的な知識を身に付けておく必要はないのですが、ザックリとで構わないので、「MAの業界には、どんな仕事があるのかな?」というのを知っておいてもらえると嬉しいです。「こんな仕事や作業がMAの世界にはあるんだ…」くらいで良いと思います。

それから、映像作品をたくさん見て欲しいですね。MAの仕事というのはサッとイメージが湧いたり、インスピレーションが大切になります。「MAエンジニア」といっても、いろいろと想像ができないと音を組み立てることができなかったり、判断に迷ってしまう場合があるので、自分のアイデアの引き出しを増やすためにも、いろいろな映像を見て、刺激を受けて欲しいと思います。最近はアニメが好きな学生が多いのですが、アニメだけでなく、映画も洋画/邦画を問わずに視聴したり、ニュース番組にも目を向けて見ると良い勉強になります。「ただ単に映像作品を楽しむのではなく、ナレーションや効果音、BGMにも耳を傾けて欲しいな…」というのが私の希望するところです。

ー この仕事の楽しいところを教えてください

蓑輪:様々な音楽や音声を編集するのがMAの主な仕事ですが、映像と音のつながりがスムーズで、違和感なく視聴することができた時や音声の差し替えがうまくいった時にやりがいを感じます。例えば、制作の現場で「このワードは使ってはいけないから、違うテイクから別のワードを拾ってきて、音声を差し替えよう ! 」というケースがあるのですが、それがピッタリとハマった時や「あの編集のおかげで、映像が引き立ったよ」「あの効果音が入ったから、より映像に目が行くようになりました」などと言ってもらえると嬉しいですし、MAの仕事を楽しいと感じる瞬間の1つです。

ー この仕事の大変なところを教えてください

蓑輪:割と座りっぱなしの仕事になるので、そこが大変で忍耐力が必要となります。休憩を挟みながらですが、通算で12時間やそれ以上、座りっぱなしの時もあります。ジッと座って、パソコンに向き合う仕事であるということと、集中力も必要となります。長時間、パソコンに向かって作業をしなくてはいけないので、そういった作業への集中力と、忍耐力が必要な部分が大変なところだと言えます。

ー この仕事は、どんな人にオススメですか?

蓑輪:集中力を要する仕事なので、黙々と作業に取り組めたり、そういった仕事を継続できる人が向いていると思います。先ほどの大変な部分にも通じるのですが、そういったところも楽しんでしまえるような、少し辛いと感じることも自分の中で「楽しい!」という風に変換できる人にオススメです。

ー この仕事を続けるのに大切なことは何でしょうか?

蓑輪:1つ目は「仕事の楽しさを見つけられること」だと思います。ほんの少しでも良いので、作業をする中で「MAの仕事って、こんなところが楽しいな!面白いな!」というのを見つけて欲しいですね。

2つ目は「深刻に悩み過ぎないこと」です。「結局、グジグジと悩んでいたのが無駄なことだったんだな…」ということが往々にしてあるので、少しあっけらかんとしているくらいがちょうど良いと思います。

3つ目は「仕事とプライベートのメリハリをつけること」です。気分をリフレッシュして、クリアな頭で仕事に従事するためにも「仕事をする時は集中して取り組む!」「遊ぶ時は遊ぶ!」というのが、仕事を長く続けるためにも大切な秘訣ではないでしょうか。

▲レコーディングマイクの指向性実習

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