▲野外でのフェスティバルはイベントの醍醐味です
職業としての音楽/エンタメ業界2022/イベント制作にまつわる仕事
音楽やエンターテインメントに関する職業や業界は多岐に渡りますが、一体どんな世界なのでしょうか。今回はイベント制作にまつわる仕事について、専門学校東京ビジュアルアーツ/マスコミ出版・芸能学科 企画・制作コースの峯岸先生に伺いました。(DiGiRECO.JR VOL.48〜2022年3月号〜掲載)
お客さんが安全に参加できる場を提供します
ー イベント制作にまつわる仕事全般について教えてください
峯岸:軽音楽部の皆さんにとっては「イベント」と聞くと、ライブやコンサートが最もイメージしやすいと思います。それらに加えて、もっと大きな視点でイベントについて考えてみると、企業の展示会をはじめ、お芝居もそうですし、フードフェスや昨今では、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種まで、大きな会場を借りて、お店やブースを出展し、たくさんの人たちに来てもらう…というのが、イベントに当たります。ですので、人が集まる会場を作ったり、整理・誘導をするなど、来場者が安全に往来できる場所を提供する…というのが、イベント制作の大きな仕事になります。
とにかくいろいろな人たちが関わっており、例えば、コンサートの場合はアーティストのマネージャーさんがイベントを企画し、会場やチケットを手配したり、プロモーション活動をするほか、「コンサート・プロモーター」と言って、それらの業務を専門に行う会社もあります。マネージャーさん、コンサートを宣伝する人、会場を作り上げる人、音響や照明を担当する人…など、それぞれに専門の会社があり、そこで働いている人たちが協力して、1つのイベントを作り上げている…という構図です。
本校の卒業生はマネージャーの道に進む人が多い傾向にあります。その次はステージを作る大道具の会社でしょうか…。他にも、ファンの人たちに向けたイベントを企画したり、ファンクラブの運営全般を行う会社に就職する卒業生もいます。
ー 入学前に、ある程度の知識は必要ですか? 高校時代にやっておいた方が良いことも教えてください
峯岸:必須ではないのですが、何かのイベントに参加したり、好きなものが展示されている場所に足を運んでみて、「どんな場所で開催されていたか?」や「どういう人たちが会場にいたか?」ということにも目を配れると、後々の知識として生かせると思います。
本校に入学する学生はコロナ禍で、なかなかライブやコンサートに行けていないのですが、状況が許せば、高校生のうちから大きな会場で行われるイベントと、小さなライブハウスや展示会場で開催されるイベントの両方に参加できると良いですね。そうすると、イベントを企画する際にイメージがしやすく、柔軟な視点で考えることができると思います。また、有観客のライブやコンサートでは「配信」も同時に行われることが多々ありますので、会場内で配信を担当している人たちがどこにいて、どんなことをしているのかを見ておくのも勉強になると思います。
ー この仕事の楽しいところを教えてください
峯岸:楽しく感じる場面は多々あるのですが、例えば、コンサートが始まって、お客さんが喜び、盛り上がっているシーンを目にすると、「やって良かったな…」というのを強く感じます。お客さんを集めることによって、アーティストからもすごく感謝をされて、「またやりたいね!」と言ってもらえますし、そういった絆が生まれるのはスタッフとして携わっているからだと思います。アーティストをはじめ、音響さんも照明さんも、私たちイベントスタッフも、全員がチームみたいな感じなんですよね。
ー この仕事の大変なところを教えてください
峯岸:自分の好きなペースで仕事を進めるのではなく、たくさんの人たちとコミュニケーションを取る必要があるので、時には仕事が夜遅くまでかかってしまったり、予定していたスケジュールが伸びてしまうことがあります。また、アーティストやスタッフの宿泊先を手配したり、○時○分の新幹線のチケットを○枚予約する…など、細かい部分のケアが必要な場面もあるので、大変に感じてしまうかもしれません。
ー この仕事は、どんな人にオススメですか?
峯岸:人に喜んでもらうことが好きな人に向いていると思います。また、1つの場所で同じ仕事を続けるのではなく、相手が必要としているものを感じ取り、足りないところをケアして、補っていく…ということにやりがいを感じる人にオススメです。イベントというのは開催する場所が違えば、会場の規模や来場者のタイプも違うなど、1つとして同じ現場はありません。そんな状況でも順応することができ、準備の段階から各セクションの人たちとコミュニケーションを密に取り、その場を盛り上げていくのが好きな方には、ぜひこの仕事を知ってもらえると嬉しいです。
ー この仕事を続けるのに大切なことは何でしょうか。3つほど教えてください
峯岸:1つ目は、元気に挨拶ができることが大切だと思います。2つ目は先の話にも通じますが、相手の気持ちになって考えられること。「こんなことをして欲しそうだな…」とか「あれを手伝えたら良いかな?」という風に相手を思いやることができると良いですね。3つ目はコンサートをはじめ、展示会でも、お芝居でも、映画でも、「イベントが好き」という気持ちです。ここの部分が一番大切ですし、やはり自分自身が好きじゃないと、相手にも提供することはできないと思います。自身もエンターテインメント全般が好きで、感動する心を持っていることが大切ではないでしょうか。