「好き」を追求する姿勢が大切です

▲バンドでのアンサンブルについて学びます

職業としての音楽/エンタメ業界 2021

音楽やエンターテインメントにまつわる職業や業界は多岐に渡りますが、一体どんな世界なのでしょうか。今回はボーカリストにまつわる仕事について、専門学校名古屋ビジュアルアーツのミュージシャン学科/ボーカルコースの村屋さんに伺いました。(DiGiRECO.JR VOL.45〜2021年10月号〜掲載)

「好き」を追求する姿勢が大切です

ー ボーカリストの仕事について教えてください

村屋:一般的に知られている部分では、ボーカリストとしてメジャーデビューをする、というのが大きいと思いますが、形態という観点では、ソロの弾き語りやバンドのセンターボーカルとして、また、最近では「歌ってみた」に代表されるようにYouTubeやTikTokから発信し、収入を得ている方もたくさんいます。これらが表方の仕事だとすると、裏方は、例えば、カラオケで人気の楽曲に「歌入り(ガイドボーカル)」の仕事をしているボーカリストはたくさんいますし、アーティストのバックコーラスとしてレコーディングに参加したり、コンサートやテレビに出演する方もいます。それから、我々のような音楽専門学校でボーカル講師として学生に授業を行ったり、ボイススクールでの講師業(ボーカルトレーナー)も歌を扱う仕事の1つです。

ー 入学前に、ある程度の知識は必要ですか? 高校時代にやっておいた方が良いことも教えてください

村屋:まったくのゼロから始める学生も多いので、知識やスキルなどを心配する必要はありません。ただ、高校生のうちからやっておいた方が良いことは、やはり「腹式呼吸」ですね。運動部で言う筋トレのようなもので、ボールを打つ筋肉なのか、投げる筋肉なのか、速く走る筋肉なのか、という感じで「いかに呼吸や腹筋をコントロールできるか?」という部分が、歌う際の声量や声の伸びに関係します。ですので、腹式呼吸は高校生のうちに会得しておくと良いと言えます。

ー この仕事の楽しいところを教えてください

村屋:僕はギターから始めたのですが、ボーカリストとして活動するようになって感じたのは、「歌」はダイナミックでありながら、自由度が高いということです。ボーカルは言葉とメロディーと体全体で表現することができるパートなので、それで拍手をいただけたり、賞賛を浴びたり、SNSで「いいね!」が貰えるというのは、自分を褒めてもらっていることにつながるんですよね。「歌を聴いた人たちに認められている」「自分の居場所がある」というのが1つの自信になり、やりがいにつながると思います。

ー この仕事の大変なところを教えてください

村屋:自分の体が最強の武器であり、唯一のツールでもあるので、どうしても歌声を否定されてしまうと、自分の人格も否定されているような気持ちになるところでしょうか。ボーカルの場合は裸一貫で勝負をしているようなものなので、徐々に慣れてくるのですが、「ちょっと音程がね」とか「高音が届いていないよね」と言われてしまうと、とても凹んでしまうことがあります。僕も学生を指導する際は、そういった部分の伝え方に注意しているのですが、それらを上回るくらいに楽しいことの方が多く、自分が作ったものを表現して、周りの人たちから賞賛を受けるというのは、この上ない喜びと幸せを感じる瞬間です。

ー この仕事は、どんな人にオススメですか?

村屋:感受性が豊かで、何事にも興味のある人が向いていると思います。ボーカリストというのは、わがままだし、寂しがり屋だし、周りの目や世の中の流れに敏感なんですよね。でも、そういう人種だからこそ、あまり人が気づかない部分を見つけることができたり、相手の気持ちを汲み取ることに長けていると思います。「嬉しい」とか「悲しい」という感情には何段階ものフェーズがあるように、そういった感受性の豊かな人は表現の度合い(バリエーション)も豊富なので、この職種に向いているのではないでしょうか。

ー この仕事を続けるのに大切なことは何でしょうか。3つほど教えてください

村屋:ボーカリストは歌唱法やステージでの表現方法をどんどん進化させていけるので、世の中の流行や音楽シーンに敏感であることが大切です。

2つ目は、どんなことにも言えるのですが、「好きなこと」をトコトン追い求めていける力です。これが簡単なようで難しくて、ずっと続けていくためには、やっていることを好きにならないといけません。

3つ目はアスリートと一緒で、体が「資本」なので、トレーニングも然り、よくプロのアスリートが言うように、努力を努力と思わずに継続できる姿勢が大切です。例えば、レコーディングの直前に喉がかすれてしまっていたら、それでは仕事になりません。ギターやベースであれば、弦のサビは交換すれば良いのですが、ボーカリストは日々の体調管理も含め、「仕事だから」という風に、普段からストイックに「自分の体を守るぞ!」という強い精神力が大切だと思います。

▲ボーカルの村屋先生から直接アドバイス

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