レポート

音楽/エンタメ業界の仕事

好き!という好奇心が大切な仕事です(楽器販売の仕事)

▲オススメの楽器や機材を仕入れて、販売する仕事です

職業としての音楽/エンタメ業界2022/楽器販売にまつわる仕事

音楽やエンターテインメントに関する職業や業界は多岐に渡りますが、一体どんな世界なのでしょうか。今回は楽器販売にまつわる仕事について、専門学校ESPエンタテインメント東京の澤田先生に伺いました。(DiGiRECO.JR VOL.47〜2022年2月号〜掲載)

好き!という好奇心が大切な仕事です

ー 楽器販売にまつわる仕事全般について教えてください

澤田:軽音楽部に所属している皆さんをはじめ、楽器店を利用したことがある方はご存じだと思いますが、いわゆる「楽器屋さん」のお仕事です。楽器メーカーや卸業者からオススメの新商品や機材を仕入れて、販売をする…これは他のジャンルの販売店と大きな違いはありません。正社員としてお店で働いている方もいますし、アルバイトとして働いている方もいます。ここも、他業種と変わらないと思います。

仕事への就き方も、大学の新卒で就職した方から専門学校で楽器について学んだ後に就職する方まで、様々です。絶対に音楽専門学校に入らないと就けない仕事ではありません。ただし、楽器の大きな特徴として、家電製品などとは異なり、壊れたり、調子が悪くなっても修理やメンテナンスをして、長く使い続けていくものです。皆さんもギターの弦が切れたり、アンプやスピーカーから音が出なくなっても、すぐに捨てて買い替える…ということはしませんよね。そのため、楽器を修理するスキルを持っている店員さん(リペアマン)も店内に多くいますし、必要とされる職場になります。

リペアや楽器製作のスキルを就職前に持てる=就職しやすくなる…という意味では、楽器を触ることが好きな方や楽器店に興味がある方は音楽の専門学校…特に楽器を製作したり、直すスキルを学べる専門学校に通う…ということは大きなアドバンテージになります。

また、現在国内に無数にある楽器の工房を開いている方も、皆さん最初は楽器店や楽器メーカーで腕を磨いた後に独立し、自分の工房を持たれています。「自分のギターブランドを作りたい!」という野望をお持ちの方も、まずはそのための第一歩として、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

あとは、いわゆる「音楽教室」を一緒に運営している楽器店もあります。もちろん習いごとの月謝も収入源の1つなのですが、そこに通う生徒さん向けに、まずは楽器を始めるにあたっての最初の1台を提案したり、演奏スキルが上がるにつれて、より良いモデルを販売したり…と、こういったところにも販売のチャンスがあります。

ー 入学前に、ある程度の知識は必要ですか? 高校時代にやっておいた方が良いことも教えてください

澤田:将来的には楽器や機材の知識が必須になる仕事ではありますが、入学する前から詳しい必要はありません。というのも、入学後に授業で基礎からしっかりと学ぶので、ちゃんと学校に通学さえできれば、自然と知識やスキルは身に付いてくるものだからです。

ただし、これはどの仕事にも通じると思いますが、気になったことを自分で調べてみたり、先生に質問をしたり、実践をしてみる…ということは非常に大切です。好奇心を持って自分の実習や製作に取り組むことで、自身の見聞の底上げになるのはもちろん、そこで得た知識やスキルというのは将来、楽器店やメーカーで働く際に必ず役に立つ時がやってきます。

ー この仕事の楽しいところを教えてください

澤田:「〇〇さんがオススメしてくれるなら、間違いない!」と、いろいろなお客様に言ってもらえたり、楽器や機材に関するいろいろな相談を受けるような店員さんになれれば、仕事がとても楽しくなると思います。楽器販売は裏方の仕事ではありますが、ファンになってくださるお客様が増えると、それが売上にもつながる…という意味では、アーティストと少し似ている部分もあるかもしれません。

ー この仕事の大変なところを教えてください

澤田:楽器の中でも、特にエレキ・ギターやエレキ・ベースには、その時々のトレンドがあり、毎月いろいろなメーカーが新製品をどんどん発売します。普段から自分でアンテナを張り続ける必要があるので、楽器が好きではない人にとっては「面倒くさいな…」と思われてしまうかもしれません。

ー この仕事は、どんな人にオススメですか?

澤田:まずは「楽器が好きなこと」ですね。そして、少しでも楽器を演奏したことがある人にオススメです。楽器の演奏が上手かどうかは、まったく関係ありません。自分の演奏経験が接客に役立つ…ということも往々にしてあります。趣味程度でも大丈夫なので、ぜひ軽音楽部で手にした楽器は将来も演奏し続けて欲しいと思います。

ー この仕事を続けるのに大切なことは何でしょうか?

澤田:繰り返しになりますが、1つ目は「楽器が好きなこと」です。むしろ、楽器が好きじゃないとやっていられない仕事かもしれません。

2つ目は「好奇心を持つこと」。何事もそうですが、知識やスキルの源泉は「これって、どうなのかな?」や「こうやったら、どうなるのかな?」という好奇心です。

3つ目は「人と話すことが嫌ではないこと」ですね。対面接客を伴う仕事なので、これは必須だと思います。昨今はコロナ禍もあり、Webでの販売も増えてきていますが、それでもお客様とはメールや電話などで直接やり取りをする必要があります。とはいえ、このハードルは普段から学校の友達や先生、保護者の方と話せれば、十分に飛び越えられるくらいのものです。「コミュ障だからなぁ…」などと心配する必要はまったくありません!

▲楽器の修理やメンテナンスのスキルも重宝します

PAGE TOP