▲現場実習を通して、音響や照明のスキルを磨きます
職業としての音楽/エンタメ業界2021
音楽やエンターテインメントにまつわる職業や業界は多岐に渡りますが、一体どんな世界なのでしょうか。そこで、今回は求められるスキルや目指す上での秘訣を専門学校名古屋ビジュアルアーツの大野さんに伺いました。(DiGiRECO.JR VOL.43〜2021年7月号〜掲載)
好きになったことを継続する力が大切
ー ここ数年、人気のあるコースは何ですか?
大野:本校は総合校なので、5つの学科があるのですが、中でもミュージシャン学科の「ボーカルコース」が人気です。また、ここ数年は音響学科の「サウンドクリエイターコース」も入学者数が伸びています。今は個人で音楽作品を創り上げることができる時代なので、そういった点が背景にあると考えています。他にも、コロナ禍で一気に加速した面もあるのですが、映像関係の仕事の需要がとても高まっているので、映像学科とパフォーミングアーツ学科の「声優コース」も根強い人気があります。
ー 入学前に、ある程度の演奏スキルや知識は必要ですか?
大野:本校では、どの学科も入学してから業界で必要になる知識や技術を基礎から指導しますので、どの学生も同じスタートラインから出発します。ただし、ミュージシャン学科に関しては、フィジカル・トレーニングを行うのは早いに越したことはありませんので、この世界に進みたいと考えたタイミングから先行しておいた方が良いと思います。ミュージシャン学科では「オリジナル曲を作る」という点に力を入れており、作詞・作曲・DAW(レコーディング)に関するノウハウをイチから指導しています。基礎的な部分から始めますので、スキルがないからといって、授業についていけなくなることはありません。
ー 音楽/エンタメ業界でニーズの高い、人手不足が叫ばれている職業は何でしょうか?
大野:先ほどの話に通じる部分があるのですが、ミュージシャンの分野では、ほとんどのレコードメーカーが作詞や作曲など、作品を生み出す力や自己表現力のある人を求めています。「自分から発信することができる人」へのニーズが高まっていますので、本校でも、そういったスキルをバックアップできるカリキュラムを用意しています。他にも、コロナ禍で「映像制作」の分野の人手不足が叫ばれています。コンパクトに映像を作れる人…外出をしなくても、自宅などで、ある程度のCG技術を駆使しながら、少人数で映像コンテンツを作れる人も求められています。また、配信コンテンツへの理解力や発想力に長けた若手へのニーズも大きくなっているような状況です。
ー ここ数年、卒業生の選んだ就職先には、どういう職種がありますか?
大野:本校の傾向でもあるのですが、卒業生に人気の高い職種としては弾き語りのミュージシャンになる学生が多いです。また、いわゆる「ベッドルームミュージック」と言われる、自宅で作品を創り上げるような形態のアーティストもどんどん生まれています。若い子たちはパーソナルなスペースから生み出された音楽を好んで聴いているのが背景にあるのではないでしょうか。エンタメ業界の就職先に関しては、アーティスト活動をしながら、別の活動も手がけている…いわゆる「スラッシャー」と呼ばれる人たちが増えています。1つのことに限らず、「これをメインにしているけれど、あれもこれもできます!」という働き方をする人の割合が高まっており、本校でも、総合校として他学科の授業を受けることができるようにしています。音楽活動をしているけれど、動画編集もできたり、ミュージックビデオを撮影する側にもなれるなど、いろいろなスキルを持っている人が仕事を生み出し、ビジネスを展開しているのが、ここ数年の傾向だと思います。
ー 音楽/エンタメ業界で成功するための秘訣は何でしょうか。3つほど教えてください
大野:新しいトレンドが入り込み、常に変化し続ける業界なので、これ!という秘訣を明確にできない部分もあるのですが、普遍的に変わらないものもあると思います。1つ目は「考え方」や「業界に必要な知識」です。業界に直結できるような環境に身を置いたり、自分が望んでいる職種や仕事に必要な知識を正確に得られるかがポイントになります。
2つ目は本校のモットーでもあるのですが、「好きを力に!」という観点です。やはり好きになったものには、とても大きなエネルギーや明確な意思があります。好きになったことを学びに昇華させ、研究していくことで、それが自身のコンテンツになり、発信していけるようになるので、まずはとことん好きになることが重要だと思います。
3つ目はどんな仕事に就いたとしても、「継続する力」が必要になります。古い言い方になりますが、「石の上にも3年」という諺があるように、何か人にメッセージを届けたり、寄り添うことがエンターテインメントの醍醐味の1つです。瞬発力だけでなく、発信し続けないと人の心には届かないので、好きになったものを続けていく、人に届くまでやり抜く力が大切なのではないでしょうか。
協力:専門学校名古屋ビジュアルアーツ