レポート

講習会/演奏会

軽音合同演奏会 ~白山サトヤマカイギ奉納祭~

2023年8月25日(金)、26日(土)、27日(日)

【主催】一般社団法人サトヤマカイギ
【協力】NPO法人全国学校軽音楽部協会・株式会社白峰産業
【後援】北國新聞・白峰観光協会・NPO法人白峰まちづくり協議会
【参加校】金沢学院大学附属高等学校・遊学館高等学校・石川県立内灘高等学校・石川県立津幡高等学校・岐阜県立斐太高等学校

夏休みも終盤の8月25日~27日。石川県白山市にある白峰にて「白山サトヤマカイギ奉納祭」が開催され、当協会は石川県近郊の高校軽音楽部を集めた「軽音合同演奏会」を同イベントにて実施しました。

「白山サトヤマカイギ奉納祭」とは、自然の循環を感じ、すべての物事に感謝して、日本人の得意とする「ツナグ」精神を学ぶイベントで、一般社団法人サトヤマカイギが主催しています。今年の5月に霊峰白山が「ユネスコ世界ジオパーク」に認定されたことから、霊峰白山を祝う奉納祭を開催する運びとなったそうです。同イベントでは「自然」に向き合い、自然を中心とした活動を体験することができ、白山登山をはじめ、夕陽や日の入の鑑賞、「能」の見学や「君が代」の献歌などが行われました。

時刻は朝9時30分。金沢駅から大型バスに乗って、白峰に向かいます。市内から30分ほど進むと次第に山々が近くなり、のどかな田園風景が見えたかと思うと、あっという間にバスは四方が山々に囲まれた道を進み、白峰へ。出発から90分ほどで最初の目的地に到着しました。

▲時刻は9時30分。金沢駅からバスで白峰に向かいます

▲出発進行!道中は車窓から見える景色を楽しみました

最初のイベントは「林業体験」です。ヘルメットを着用し、林の入口に進みます。今回は株式会社白峰産業の皆さんにご協力をいただき、森林や樹木のこと、林業の仕事や伐採方法などを詳しくご紹介いただきました。特に印象に残っているのは、伐採には「皆伐」と「間伐」があり、無闇に森林を伐採し、環境破壊等の行為を行っているのではなく、山や居住地域のことを考えた上で伐採をしていること。伐採の際は苗木も植えており、何十年後の日本も緑が豊かな国土であるように、との願いを込めて、仕事に従事している旨が伝えられました。レクチャーが終わると、いよいよ杉の木の伐採見学です。職人さんがチェーンソーを使って、倒したい方向へ切り込みを入れた後、反対側からも切り込みを入れたところに杭を打ち、ハンマーでジワジワと杭を打っていくと、バキバキバキ!と割れるような大きい音を立てながら、ドシン!と倒れました。その衝撃と音量に唖然としてしまい、声が出ないのはもちろん、拍手もパラパラ…苦笑 初めての体験で、貴重な光景を目にすることができました。また、質疑応答タイムでは林業の仕事や木材のこと、仕事のやりがいや苦労話など、現地でしか聞けない話をたくさん伺いました。

▲林業体験では森林や伐採に関する講義を受けました

▲チェーンソーを使用した伐採を見学。大迫力でした!

▲演奏会場の林西寺にて加藤住職の講話がありました

続いて、演奏会場である林西寺に移動し、加藤住職にご挨拶。楽器や機材を搬入すると、白峰の地域や自然にまつわる話、阿弥陀様や白山下仏山にまつわる講和を聴講。とても勉強になり、見聞を広めることができました。昼食では、そぼろ丼(25日)や猪肉を使用したジビエ丼(26日)、木滑なめこを使用したなめこ丼(27日)をいただくと、白峰で生活している方々のご協力のもと、「北番」と「南番」という2手に分かれて、地域を散策。雪がたくさん降る地域である故の住宅や神社仏閣の構造や、かつての生活スタイルの名残、特徴的な屋号など、地元の人からしか聞けないお話をたっぷりと聞かせていただきながら、45分ほどの散策を行いました。

▲地元の方々に白峰の良いところや特徴などを伺いました

▲散策では白峰の特徴的な家や屋号などを見て回りました

▲かつて使用されていた「みんじゃ(水屋)」もあります

▲昼食では猪のお肉を使用したジビエ丼をいただきました

さて、後半はいよいよ合同演奏会です。各バンドが「自然」や「結びつき(縁)」や「感謝」などをテーマに演奏を披露。演奏を聴きに来た地元の人々に楽しんでいただき、温かい拍手や労いの言葉をいただくなど、大いに喜んでいただけたのが印象的でした。

▲本堂にドラムやアンプ類を置いて、特設ステージを設営

▲演奏会では、地元の多くの方々にお越しいただきました

中でもユニークだったのは、2日目(26日)に行われた、石川県立内灘高等学校軽音楽部(民謡部門)と桑島民謡保存会・遊邦会による合同演奏です。「こきりこ節」と「花笠音頭」の2曲を三味線と歌、太鼓、踊りを交えて演奏し、聴衆も身振り手振りで踊ったり、口ずさむなど、大いに盛り上がり、初めて出会った高校生と地元の方々が音楽を通じて、心を通わせ、演奏を披露するなど、音楽が持つ力を垣間見ることができました。

▲2日目には遊邦会の方々と民謡の合同演奏も行いました

▲白山サトヤマカイギ奉納祭は最終日の弓取り式で閉会

▲弓取り式を務めた時津風部屋出身の将豊竜関との1枚

合同演奏会の閉会式では、引率の顧問の先生方や林西寺の加藤住職、当協会の三谷理事長から総評や挨拶があり、軽音合同演奏会は滞りなく終了しました。音楽は年齢や性別、住んでいる地域は関係ありません。誰でも楽しむことができる共通言語であり、一緒に楽器を奏でることもできる素晴らしいコンテンツです。また白峰の方々に演奏を聴いていただき、高校生も見聞を広めてもらいたいと感じた3日間になりました。

 

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