東京都軽音連の軌跡 第5回

高等学校における軽音楽活動の健全な向上発展と、加盟校が相互の親睦を図ることを目的に2007年の11月に発足。2009年には、東京都高等学校文化連盟に軽音楽部門として認可を受ける。現在、加盟校数は116校、所属部員数は約5,800名を数える大きな組織へと発展。生徒たちが演奏技術や芸術性を競うことはもとより、マナーやルールを守ること、親睦を深めることなど、学校教育の一環としての軽音楽活動の推進に主眼を置いている。活動内容、加盟校、沿革などは連盟公式ホームページに掲載。

http://www.tokyo-keion.com/


前号では初年度に行った秋の大会と、高文連への加盟についてお伝えしました。今回は顧問を対象に行った技術講習会をご紹介します。

連盟主催事業の1つとして、初年度より3年間、指導者技術講習会を開催しました。東京の役員の先生方が多芸多才であることは以前ご紹介しましたが、この講習会も外部の専門家に講師を依頼するのではなく、知識を有する東京の役員や近県の顧問の先生にお願いして、実施しました。

第1回目の講習会はギター・アンプについて、主にバンドの経験をお持ちでない顧問の先生を対象に行いました。それまでに実施してきた意見交換会で、部の備品としてどんなアンプを使っているのか、どれくらいの大きさのものを揃えたら良いのか、などの質問が頻繁に寄せられたからです。講習会では音量や音質の違い、各つまみの役割などの基本的なことから、正しい配置の仕方や防音対策についても扱いました。熱心に聞き入る先生方の姿から、ご自分の専門外の分野でありながら、一生懸命に勉強して生徒たちの活動を支えようという熱意が伝わってきて、たいへん心を打たれたことを覚えています。

第2回目はドラムの講習会を行いました。ハード面についての基礎知識やチューニング方法、基本ビートやルーディメントについて、さらに練習方法やドラムを購入する際の基礎知識など、幅広く扱いました。備品を管理する顧問にも、ある程度の知識が求められる楽器だけに、参加された先生方は熱心に受講されていました。実際にドラムセットを叩いてみるコーナーもあり、楽しみながら参加できる講習会となりました。

第3回目はボーカル講習会です。呼吸法や発声法、滑舌、抑揚、ピッチなどの技術的なことに加えて、マイクの違いや正しい使い方、さらに健康管理面についても触れ、ボーカリストに必要な要素を網羅しました。生徒が陥りやすい過ちについても具体的な例が示され、部活動の指導に役立つ回になったと感じています。

話が少し逸れますが、ひと昔前(連盟発足から数年間くらい)は「楽器陣は良いんだけれど、ボーカルがねぇ」というバンドが多かったように思います。私が学生の頃もボーカルだけは1つの楽器という視点がなく、目立てば良い、好き勝手に歌っている、というバンドが多かった記憶があります。しかしながら、近年、連盟の大会に出場するバンドはボーカルもきちんと練習し、しっかりと歌えているバンドが増えてきました。これはカラオケの文化が定着したことも一因と思いますが、こと連盟のバンドについては、各学校でボーカリストの底上げが行われているからでは、と感じています。

話を元に戻して、次に行ったのはPA講習会です。PAは軽音楽の活動上、必要不可欠でありながら、揃えるにもレンタルするにもお金がかかり、専門的な知識も求められます。多くの顧問の先生から悩みの種であるという声が上がっていたので、文化祭や校内ライブで役立てていただけるように心がけて実施しました。

マイクやミキサー、アンプなどの基礎知識から外音と中音の回線、マイクのセッティング例など、内容は多岐に渡りました。そして、実際にオペレートして、トリムの正しい使い方やハウリングを防ぐEQのセッティング、リバーブやコンプレッサーなどの効果的なかけ方を体験していただきました。初めて機材に接する先生方には、難しいことばかりだったと思いますが、「この講習会をキッカケに、自校の機材を研究して、知識を増やすことができた」という嬉しい声も聞こえてきました。

ところで、以前ご紹介した通り、東京都の夏の大会は音源審査(予選)から始まります。生徒たちの演奏技術や楽曲のレベルは年々驚くほど向上していますが、それに合わせて、送られてくる音源のクオリティーも飛躍的に良くなりました。レコーディング機材が安価で購入できる時代になったこともありますが、各校が録音技術について研究し、それぞれ工夫して音源を制作するようになったのでは、と感じています。この音源制作についても、連盟では講習会を開きました。

講習会では1発録りの際のマイキングやバランスについて、多重録音の基礎知識やレコーディングのノウハウ、さらにミックスやノーマライズなどについても扱いました。PA講習会と同様に初心者の先生方には、1回ではとても理解できない内容であったかもしれませんが、「デモ音源にありがちなこと」と題して、バランスの悪さやチューニングの甘さ、歪みや吹かれ、デジタル録音のモードの違い(AudioかDataかなど)を紹介したところ、「夏の大会のエントリーに向けて、とても役に立った」と好評でした。

さらに、連盟ではオリジナル曲の制作方法についての講習会も開きましたが、残念ながら、紙幅が尽きましたので、また次号で…。

指導者技術講習会では毎回、手作りの資料(テキスト)を配布した


東京都高等学校軽音楽連盟 委員長 成女高等学校 LM-CLUB顧問

佐々木弘人

連盟の設立に携わり、現在委員長を務める。LM-CLUB(軽音楽部)では、すべてのパートの指導にあたり、作詞・作曲・アレンジ・音楽理論も教える。部の公式HPには活動の様子や大会での成績が掲載されているほか、200曲近くにのぼる歴代のオリジナル曲が紹介され、一部試聴もできる。http://lm-club.com/

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