東京都軽音連の軌跡 第4回

高等学校における軽音楽活動の健全な向上発展と、加盟校が相互の親睦を図ることを目的に2007年の11月に発足。2009年には、東京都高等学校文化連盟に軽音楽部門として認可を受ける。現在、加盟校数は116校、所属部員数は約5,800名を数える大きな組織へと発展。生徒たちが演奏技術や芸術性を競うことはもとより、マナーやルールを守ること、親睦を深めることなど、学校教育の一環としての軽音楽活動の推進に主眼を置いている。活動内容、加盟校、沿革などは連盟公式ホームページに掲載。

http://www.tokyo-keion.com/


前号で第1回目の夏の大会についてご紹介しました。先月行われた第9回目となる今年度の夏の大会には、当時の2倍以上の178バンドがエントリーし、予選からハイレベルな戦いが繰り広げられました。決勝に進んだ21バンドの中から、上位5バンドが全国大会に出場しましたが、今や都大会の決勝戦や全国大会は、目指せば出場できるものではなくなってきたと感じています。

その全国大会について、少し触れさせていただきます。神奈川と東京の連盟が主体となって行っている夏の全国大会が、8月19日、小田原市民会館で行われました。4回目となる今年の大会には「全国高等学校軽音楽連盟」を組織して運営にあたり、各都道府県の連盟に割り当てる出場枠も新たに6つの県にひろげました。音源審査枠でのエントリーを含めると、17都道府県から29バンドが出場し、初めて北海道・本州・四国・九州の各地域から出場者が集まる記念すべき大会となりました。演奏技術やオリジナル曲のレベルは昨年よりさらに向上しており、「全国大会」の名にふさわしい大会へとまた一歩近づいたと感じました。大会趣旨に掲げる、全国の軽音楽部の活動の向上発展を図る、という目的の達成に手ごたえを感じているところです。全国よりお越しいただいた顧問のみなさま、この大会へご協力いただいている各連盟の役員のみなさまに、この誌面をお借りして御礼申し上げます。

さて、今回は2008年度(初年度)の秋の大会と高文連への加盟についてお伝えいたします。

秋の大会(注)は「東京都高等学校対抗バンドフェスティバル」と称して行いました。この大会にエントリーできるのは各校から1バンドのみで、まさに学校を代表するバンドが学校の名を背負って戦う「学校対抗戦」の位置付けです。同時に、2年生以下が出場する新人戦でもあります。

第1回大会には36バンドのエントリーがありました。予選は専門学校のライブホールをお借りして、延べ3会場でライブ審査を行い、21バンドが決勝に進みました。決勝大会は、キャパシティ1200を誇る、明星学苑中学高等学校の講堂で開催しました。学校の施設をお借りして、不特定多数の入場者に対応しながらの大会運営は初めてのことでしたが、会場校の先生をはじめとする役員全員の団結力で、成功裏に終えることができました。

この大会は、翌年から「東京都高等学校文化祭軽音楽部門大会」として行われることになります。現在、秋の大会に二つの大会名を併記しているのはそのためです。

初年度の夏の大会、秋の大会に共通する特筆すべき点として、PAと照明を自前で行ったことが挙げられます。機材は会場の付帯設備、および専門学校や音響業者からお借りしたものを使用しましたが、オペレートはすべて役員(教員)が行いました。専門知識をお持ちの方がいらしたとは言え、450人あるいは1200人規模の会場の中音・外音、そして照明を、素人が扱うというのは並大抵のことではありません。今ではオペレートは専門家にお任せしていますが、これは「教員による手作りの大会運営」をまさに具現した試みであったエピソードと言えます。

会場・機材・人材などのご提供をいただいた専門学校にも、「教育的な大会」という観点から、さまざまなお願いを聞いていただきました。出場者や来場者に学校見学会の勧誘をする、ミュージシャンの卵として声をかける、などの行為を一切お断りさせていただいただけでなく、学校案内を配布するのもご遠慮いただきました。それにも拘わらず、どの専門学校も、われわれの活動趣旨に賛同いただき、気持ちよくお引き受けくださいました。また、ありがたいことに今日もほとんどの学校から変わらぬ支援をいただいています。ある特定の専門学校にだけお世話になるのでなく、どの専門学校にも等しく協力を求めたことも良かったと振り返っています。

大会の準備や運営に並行して、われわれは東京都高文連の一部門に名を連ねるべく、一年以上にわたり奔走しました。高文連の事務局会で議案にしていただくことから始め、膨大な資料を提出し、理事会出席予定者には事前に理解を求めるなど、やるべきことを積み重ねていきました。軽音楽と聞いただけで拒否反応を示すような雰囲気や、新参者には厳しい風潮を感じましたが、われわれの活動を教育の一環として広めていくには、教育委員会や高文連の後ろ盾が欠かせません。粘り強く交渉した結果、翌2009年5月に正式に高文連の一部門として認可されました。あとから申請してあっさり認められた(と感じている)茶道部門と比べると、随分苦労したというのが率直な感想ですが、一連の交渉を通じて、役員の先生方の推進力や結束力を改めて感じることができました。

次回は初年度に行ったその他の連盟活動についてご紹介いたします。

第1回東京都高等学校対抗バンドフェスティバルが行われた明星学苑の児玉九十記念講堂


東京都高等学校軽音楽連盟 委員長 成女高等学校 LM-CLUB顧問

佐々木弘人

連盟の設立に携わり、現在委員長を務める。LM-CLUB(軽音楽部)では、すべてのパートの指導にあたり、作詞・作曲・アレンジ・音楽理論も教える。部の公式HPには活動の様子や大会での成績が掲載されているほか、200曲近くにのぼる歴代のオリジナル曲が紹介され、一部試聴もできる。http://lm-club.com/

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