東京都軽音連の軌跡 第3回

高等学校における軽音楽活動の健全な向上発展と、加盟校が相互の親睦を図ることを目的に2007年の11月に発足。2009年には、東京都高等学校文化連盟に軽音楽部門として認可を受ける。現在、加盟校数は116校、所属部員数は約5,800名を数える大きな組織へと発展。生徒たちが演奏技術や芸術性を競うことはもとより、マナーやルールを守ること、親睦を深めることなど、学校教育の一環としての軽音楽活動の推進に主眼を置いている。活動内容、加盟校、沿革などは連盟公式ホームページに掲載。

http://www.tokyo-keion.com/


前号では「連盟発足説明会」から「発足記念ライブ」までを振り返り、連盟を立ち上げた役員には様々な分野での才をお持ちの方が集まっていたことや発足記念ライブが今日の公式大会や合同ライブの礎になっていることなどをご紹介しました。今回は初の顧問総会と夏の大会についてです。

発足記念ライブが大成功に終わった翌月の2008年4月から連盟の年度単位の活動が始まりました。まずは5月に開催する顧問総会の準備です。発足説明会で発表した内容(連盟の活動趣旨など、前号参照)に加え、公式大会や技術講習会などの具体的な事業内容について検討し、総会資料を作成しました。その際、議論に一番時間を割いたのは「どの団体を連盟として受け入れるか」ということです。例えば、ジャズ研究部とか民族音楽部などは加盟できるのか、全日制以外の高校はどうか、同好会や愛好会は… などについて何度も話し合いました。結論としては「できるだけ門戸を広げておこう」ということになり、吹奏楽連盟など、他の音楽系の連盟に所属できないジャンルは同好会も含め、学校が認めている団体であれば、すべて受け入れることにしました。また、全日制以外の学校についても基本的には加盟を認め、「音楽に携わっている1人でも多くの生徒たちの受け皿になろう」という方向でまとまりました。

こうして初の連盟総会の日を迎え、無事に初年度をスタートすることができました。総会に先立って、これまで継続してきた意見交換会を行いましたが、これは今でも続いています。毎年、これから部を立ち上げようとしている先生や部の運営に悩んでいる先生なども参加され、軽音楽部顧問の交流と研鑽の場になっています。

総会では「顧問バンドをやりませんか」というチラシも配布しました。顧問同士が横のつながりを持つことの大切さについてはこれまでも述べてきましたが、それには音楽活動を一緒にするのが一番、と考えていたからです。この呼びかけが「TKKR」と呼ばれている現在の東京の顧問バンドの組織を作るキッカケになり、現在もその活動は続いています。顧問バンドについては機会がありましたら、またご紹介したいと思います。

連盟総会の終了後、すぐに初めての公式戦の開催に向けて、具体的な検討に入りました。考えなければならないことが多岐にわたるだけでなく、連盟活動の根幹に関わることも多く、結論に至るまでには膨大な時間を要しました。

「生徒が目標にできる大会」「企業に頼らない純粋に教育的見地に立った大会」「軽音楽活動の裾野を広げられるような大会」というコンセプトについては発足説明会の時点で、役員の間で完全にコンセンサスが得られていましたが、具体的な内容については議論を深めていく必要がありました。例えば、各校からエントリーできるバンド数やメンバーの途中変更、他のバンドとのメンバーの重複、審査項目などのレギュレーションの骨格はもちろんのこと、ステージ衣装や照明による演出が審査に与える影響、アンプのセッティングをスタッフが手伝って良いかなど、1つ1つを丁寧に検討していきました。会が紛糾した時には、先に挙げた3つのコンセプトに立ち返ることによって、結論を見ることができました。一例として、大会の集合時間に1分でも遅刻したら失格(審査対象外)、さらに、顧問の遅刻も認めないとしたところ、「厳しすぎる」という意見もありましたが、現在では公式戦に臨む者の心得として、加盟校にこのルールは定着し、教育的な指導の基本部分をなしています。

こうして準備を進めた、第1回目の夏の大会(東京都高等学校軽音楽コンテスト)には31校から84バンドのエントリーがありました。集まった音源を抽選で4つの会場(役員校)に分け、各会場で審査員の先生に審査をしていただき、計16バンドが決勝のステージに進みました(注)。

決勝戦は四谷区民ホールで行いました。収容人数は453名と少ないものの、立派なホールで、音響と照明にも力を入れました。これまで民間の大会しか出場の場がなかった生徒や顧問にとって、この公式戦のライブは画期的なものであり、役員にとっても思い出に残る大会となりました。入賞者は南関東大会(連載第1回参照)に進みましたが、この年の南関東大会から東京・神奈川での共同開催の歴史が始まり、現在の全国高等学校軽音楽連盟(全国大会の運営組織)の設立につながっていくのです。

南関東大会が終了すると、すぐに秋の大会が始まります。続きは次号で…。

第1回目の夏の大会は2008年8月5日に四谷区民ホールで行われた


東京都高等学校軽音楽連盟 委員長 成女高等学校 LM-CLUB顧問

佐々木弘人

連盟の設立に携わり、現在委員長を務める。LM-CLUB(軽音楽部)では、すべてのパートの指導にあたり、作詞・作曲・アレンジ・音楽理論も教える。部の公式HPには活動の様子や大会での成績が掲載されているほか、200曲近くにのぼる歴代のオリジナル曲が紹介され、一部試聴もできる。http://lm-club.com/

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