東京都軽音連の軌跡 第19回

高等学校における軽音楽活動の健全な向上発展と、加盟校が相互の親睦を図ることを目的に2007年の11月に発足。2009年には、東京都高等学校文化連盟に軽音楽部門として認可を受ける。現在、加盟校数は116校、所属部員数は約5,800名を数える大きな組織へと発展。生徒たちが演奏技術や芸術性を競うことはもとより、マナーやルールを守ること、親睦を深めることなど、学校教育の一環としての軽音楽活動の推進に主眼を置いている。活動内容、加盟校、沿革などは連盟公式ホームページに掲載。

http://www.tokyo-keion.com/


第11回 東京都高等学校軽音楽コンテストの決勝大会が、8月7日にパルテノン多摩大ホールで行われました。どのバンドも甲乙つけがたい素晴らしい演奏を披露し、今年も見応えのある大会となりました。新たな10年のスタートとなったこの大会を終え、役員一同、連盟発足当初から掲げている「教育的な活動」という使命を再確認しているところです。

その後、全国からバンドが集まる2つの公式大会がありました。1つは文化庁、全国高等学校文化連盟などが主催する信州総文祭の軽音楽部門大会です。20の都道府県から30バンドの参加がありました。長野県の軽音楽専門部は、この大会の成功に向けて、何年も前から周到に準備を進めておられ、その取り組みが結実した、たいへん立派な大会でした。2022年に東京で開催する総文祭部門大会に向け、とても勉強になりました。

もう1つは全国高等学校軽音楽連盟が主催する、第6回 全国高等学校軽音楽コンテストです。この大会には、19の都道府県から31バンドの参加がありました。年々参加都道府県が増え、また出場バンドの技術の差も少なくなっているように感じました。

両大会を合わせると、23の都道府県のバンドが参加したことになります。我々は、東京の顧問が横のつながりを作ることから連盟活動を始めましたが、その輪は関東、そして、全国へと広がり、各都道府県の連盟が横のつながりを持つようになりました。これからも部活動を単位とする軽音楽活動が、全国各地で広まっていくことを期待しています。

こうした活動の中で、各都道府県の軽音楽活動の実情を伺うと、地域によって大きな差があることを感じます。「教育活動としての軽音楽」という認識が浸透してきていると感じる一方、まだまだ軽音楽への理解が得られない地域が多くあることもわかります。顧問の先生は音楽的な指導はもちろん、生活面やマナー教育などにも力を入れ、熱心に指導されていても、周囲の理解を得られないという話は、今なお聞こえてきます。また、教育的な指導がなかなか行き届かず、ご苦労が絶えない様子も見受けれられます。全国大会でお会いする先生方が皆、教育活動の一環として取り組む環境があることを、雄弁に語れる日が来て欲しいものです。

ところで、各都道府県における軽音楽連盟の発展と共に、最近では民間の大会も増えてきました。そして、連盟に加盟する部で活動しているバンドが、民間の大会でも活躍している例が多く見られるようになりました。生徒たちの活躍の場は、連盟が発足した10年前に比べるとはるかに多くなってきています。また、大会の在り方などに統一性が生まれてきていることも感じます。民間のものも含め、大会の要項やエントリーシートなどで、「あれ? これ、どこかで見たことがあるな」というものを目にすることがあります。東京の連盟が独自に作成し、使用してきたものが、1つのフォーマットとなっていると感じることがあるのです。現在、10都府県の連盟で採用されているミュージックネットワーク(以下、MN社)の大会プログラムも、2015年にMN社が我々の活動に賛同し、賛助会員になってくださったことがきっかけでした。このようなムーブメントは生徒たちの活動環境や目標設定という面で、大きなプラスと言えるでしょう。この「顧問通信」や「DiGiRECO.JR」誌も、各都道府県の活動状況を発信することによって、軽音楽部の活動の広がりや顧問間の情報共有に大いに貢献しています。

一方、民間の大会や発表の場が増え、軽音楽活動の場が広がると、「学校教育の一環としての軽音楽活動」を掲げる連盟の活動理念とは異なる状況も生まれてきます。終了時間が午後10時を過ぎるような大会や、プロへの登竜門や賞金稼ぎのような打ち出しの大会などが、果たして教育的と言えるかは疑問です。また、プロデューサーのような大人たちがバンドをコントロールするとか、軽音楽部員を使ってイベントを企画するなど、連盟が目指す軽音楽活動とは明らかに違う動きもあります(連載第11回参照)。

バンドはもともと学校や社会など、体制に批判する精神から生まれた文化でもあります。しかしながら、今や軽音楽活動は、きちんと指導して人格形成にあたる教育活動として有効に機能しています。プロを目指したり、商業ベースにのって活動することを否定するものではありませんが、連盟の活動は学校教育から離れた取り組みや民間の大会とは一線を画し、部活動を単位とした教育的活動を、これからも実践していくべきと考えています。

MN社による大会プログラムは「第3回 全国高等学校軽音楽コンテスト」に始まり、現在は10都府県の連盟公式大会で採用されている


東京都高等学校軽音楽連盟 委員長 成女高等学校 LM-CLUB顧問

佐々木弘人

連盟の設立に携わり、現在委員長を務める。LM-CLUB(軽音楽部)では、すべてのパートの指導にあたり、作詞・作曲・アレンジ・音楽理論も教える。部の公式HPには活動の様子や大会での成績が掲載されているほか、200曲近くにのぼる歴代のオリジナル曲が紹介され、一部試聴もできる。http://lm-club.com/

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