東京都軽音連の軌跡 第18回

高等学校における軽音楽活動の健全な向上発展と、加盟校が相互の親睦を図ることを目的に2007年の11月に発足。2009年には、東京都高等学校文化連盟に軽音楽部門として認可を受ける。現在、加盟校数は116校、所属部員数は約5,800名を数える大きな組織へと発展。生徒たちが演奏技術や芸術性を競うことはもとより、マナーやルールを守ること、親睦を深めることなど、学校教育の一環としての軽音楽活動の推進に主眼を置いている。活動内容、加盟校、沿革などは連盟公式ホームページに掲載。

http://www.tokyo-keion.com/


前号で、TKKRという顧問バンドの団体について書きましたが、6月にその定例ライブがありました。出演者は皆、素晴らしい演奏を披露し、ライブ会場には、出演者の部員や卒業生、ご家族やお友達、そして、連盟関係者などが駆けつけてくれました。お客さんの中には、このライブを毎回楽しみにしてくださっている方もいらして、企画者、出演者として本当に嬉しく、またありがたく思っています。

このライブに来てくれた、ある学校の軽音楽部の部員さん3人組が「私たち、TKKRの顧問の先生方が大好きなんです!」と声をかけてくれました。帰り際には「TKKRの先生方と演奏したいので、教員を目指します!」と目を輝かせていたそうです。連盟活動においても、「第〇回大会で〇〇を弾いていた〇〇君が教員になり、軽音楽部の顧問をしているんですよ」という話を聞くようになりました。自分たちの文化活動が、生徒に大きな影響を与え、またそれを生徒たちが目標にしてくれるのは、教師冥利に尽きるというものです。TKKRの会員はもちろん、軽音楽教育に関わるすべての方にとって心温まる話と思い、ご紹介させていただきました。

さて、今回はTKKRが主催するコピバン祭について書かせていただきます。連盟の公式戦では、オリジナル曲でのエントリーが圧倒的に多くなってきた昨今ですが、演奏技術の向上や、楽曲の研究、ならびにアーティストをリスペクトするという観点からも、コピーをすることの大切さは変わらないと考えています。また、加盟校からも、コピー曲限定の大会を開催して欲しいという声が根強く、連盟として叶えることができずにいるもどかしさを感じていました。そこで昨年度、「ならばTKKRで、生徒たちのコピーバンド大会を開催しようではないか」という話が持ち上がり、実現に向けて検討を始めました。TKKR会員に加えて連盟役員の先生にも加わっていただき、大会の在り方やレギュレーションなどを決め、東京都高等学校軽音楽連盟の後援のもと、教育の一環として行うことも確認しました。そして昨年の冬、第1回目のコピバン祭(正式名称:コピーバンド・カバーバンドの祭典)を開催する運びとなりました。

企画段階では、連盟を立ち上げた時と同様のワクワク感を感じながらも、本当にニーズがあるのか、生徒や顧問の先生が目標とする大会として成長していくのか、など不安も多くありました。しかし、第1回大会には、13校から37バンドの参加があり、大成功を収めました。また、この5月に行われた第2回大会では、「第1回大会で受賞を逃し、悔しい思いをしたので、リベンジで」と言って前回と同じ曲で臨む生徒がいたり、「後輩たちが頑張っているので」と言って卒業生が応援に来るなど、大会を開催して良かったと思えることが既にいくつもあり、とても嬉しく思いました。

大会の開催趣旨は、「演奏技術の向上や音楽への理解を深めること」「音楽を通して交流を深めること」で、参加者が親睦を深め、充実した時間を共有することを第一義としています。ですので、賞の設定は最小限にとどめ、参加者が全出場バンドにコメントカードを書くなど、お互いを讃え合ったり、切磋琢磨し合うことに重きを置いています。

この大会ではオリジナル曲がない分、よく知っている曲、自分がコピーしたことのある曲、自分の大好きな曲などを多く聴くことができます。他校の生徒が演奏するコピー曲を聴けるのは、楽しみでもあり自己研鑽にもつながります。生徒たちが書くコメントカードには、「アレンジ、かっこ良かったです!」とか、「大好きな曲を聴けて嬉しかったです!」のようなコメントが多く見られました。また、「ギターが超かっこ良かった!」とか「また聴きたいです!」のような励みになるコメントから、「ボーカルが前に出てこない。もっと発声から頑張りましょう」「基礎練あるのみ!」のような厳しいコメントまで、様々です。しかし、多くは相手の演奏を讃えるもので、学校同士、バンド同士のとても温かいつながりを感じます。コピバン祭は始まったばかりですが、回数を重ねるごとに、開催校独自の文化も取り入れながら発展していくことと期待しています。

ところで、この記事を書いているのは、夏の都大会(東京都高等学校軽音楽コンテスト)の真っ最中です。このあと、長野県で行われる信州総文祭にお邪魔し、お盆明けには第6回 全国コンテストがあります。次回、これらの大会のご報告ができればと思っています。

工学院大学附属高校で開催された「第1回コピバン祭」は、たくさんのバンドが参加し大成功を収めた


東京都高等学校軽音楽連盟 委員長 成女高等学校 LM-CLUB顧問

佐々木弘人

連盟の設立に携わり、現在委員長を務める。LM-CLUB(軽音楽部)では、すべてのパートの指導にあたり、作詞・作曲・アレンジ・音楽理論も教える。部の公式HPには活動の様子や大会での成績が掲載されているほか、200曲近くにのぼる歴代のオリジナル曲が紹介され、一部試聴もできる。http://lm-club.com/

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