東京都軽音連の軌跡 第10回

高等学校における軽音楽活動の健全な向上発展と、加盟校が相互の親睦を図ることを目的に2007年の11月に発足。2009年には、東京都高等学校文化連盟に軽音楽部門として認可を受ける。現在、加盟校数は116校、所属部員数は約5,800名を数える大きな組織へと発展。生徒たちが演奏技術や芸術性を競うことはもとより、マナーやルールを守ること、親睦を深めることなど、学校教育の一環としての軽音楽活動の推進に主眼を置いている。活動内容、加盟校、沿革などは連盟公式ホームページに掲載。

http://www.tokyo-keion.com/


今回は、企業や専門学校等との関わりについてお伝えします。これまでにもご紹介してきた通り、連盟では、「企業に頼らない、純粋に教育的見地に立った大会」、「教員による手作りの大会」というコンセプトのもとに、大会運営を行っています。しかしながら、大会を開催するには多くの費用と人員を要し、実際のところ企業や音楽系専門学校などの協力を得ないと立ち行かない部分があります。連盟では主に以下の2つの点で、外部の団体から支援をいただいています。

1つ目は、大会における会場、機材、スタッフの提供です。スタジオライブ審査を行う夏の大会の準決勝と、公開ライブ審査を行う秋の大会の予選は、専門学校のスタジオやホールをお借りして行っています。メンテナンスの行き届いた機材を有する立派なスタジオや、椅子席+スタンディングで100〜300名ほどのキャパを持つすばらしいホールを、毎年各校に提供いただいています。また施設だけでなく、PAや照明、ステージ回りなどのスタッフも、専門学校の先生や学生さんたちにお願いしています。

1000名以上のホールで行う決勝大会においても、専門学校の協力は欠かせません。大ホールに機材を持ち込み、オペレートからステージ回りまで、一手に引き受けてくださいます。たいへん贅沢な環境で大会を開催できるのも、協力してくださる専門学校あってのことです。

また、連盟では各大会の審査員の派遣も、音楽系専門学校にお願いしています。これら様々な協力を、現在、都内の専門学校13校に依頼していますが、どの学校も「高校生の大会を全力で応援しよう」という心意気で臨んでくださいます。また、「学生たちの実地練習の場として使わせていただいて、こちらこそ感謝しています」という言葉を頂戴することも多く、営利ではなく「教育」という点での連携がとれていることは、連盟の活動趣旨にも即し、たいへん嬉しいことです。

2つ目は、運営資金面での協力です。連盟の活動趣旨に賛同いただけける企業や団体、または個人に賛助会員として協力をいただき、協賛金(寄付)を頂戴しています(賛助会員の詳細は、連盟HP(上記にURL記載)に詳しく掲載していますので、ご参照ください)。この制度は今年度で6年目となりますが、現在、特別賛助会員、一般賛助会員を合わせて24の団体に協力をいただいています。大会の運営費をはじめとする連盟の活動経費は、加盟校から頂戴する連盟加盟費と大会参加費でしかまかなえません。常に身の丈にあった活動を心がけていますが、特に決勝大会においては、資金があればあるほど、立派なホールで生徒たちに演奏させることができます。現在の規模の大会運営は、専門学校の協力に加えて、この協賛金によって支えられています。

以上のように、外部の団体から様々な協力をいただいているのですが、これらに対する団体側のメリットはというと、ほとんどないのが実際のところです。連盟はあくまでも、「頑張って活動している高校生の支援」というスタンスで協力を要請しています。連載の第4回目にも書いたとおり、会場を提供してくださった専門学校に対して、学校案内を配布することさえご遠慮いただく徹底ぶりですし、賛助会員に名を連ねていただいている団体にも、ホームページや大会パンフレットにて、団体名を掲載する程度のことしかして差し上げていません。現在、お付き合いのある団体は、その趣旨を十分理解した上で協力してくださっています。また、新たに協力の申し出をくださった方には、「たいへん上から目線な感じで恐縮ですが」と前置きをしつつ、このことをまず最初にお話します。ほとんどの方は、「そのような趣旨で活動されているなら、なおさら協力させてください」と、大変理解を示してくださいます。もちろん、協力する企業や専門学校にとっては、宣伝効果や信用という意味でのメリットはあると思いますが、それを全面に出すことなく、あくまでも「協力」というスタンスで支援していただけるのは、ありがたい限りです。

このように「純粋に教育的見地に立った」というコンセプトのもと、必要な支援は外部団体にお願いしながら連盟は大きく発展してきましたが、我々が外部団体に何かを頼る際に、常に気をつけているのは「その支援がなくなっても大会運営ができる」ことです。大きな支援をいただいたり、飛びつきたくなるような話があっても、「教員による手づくりの大会」のコンセプトに立ち返り、地に足をつけて連盟活動を行うことを忘れないようにしています。例えば、賛助会員による協賛金は、もともと安定した収入源ではありませんので、これがなくなっても教育的な大会を「しっかり運営していく」というのは役員が共有している理念です。

ところで、組織が大きくなり、外部団体との様々な関係が生まれてくると、考えなければならないことや対応しなければならないことが増えてきます。企業や専門学校との関係について、次回は、これまでに生じた問題や、今後の懸念材料について、ご紹介したいと思います。

音楽系専門学校には、大会会場として施設やスタッフの提供をいただいているほか、大ホールで行う決勝大会においても、音響や照明などの協力をお願いしている


東京都高等学校軽音楽連盟 委員長 成女高等学校 LM-CLUB顧問

佐々木弘人

連盟の設立に携わり、現在委員長を務める。LM-CLUB(軽音楽部)では、すべてのパートの指導にあたり、作詞・作曲・アレンジ・音楽理論も教える。部の公式HPには活動の様子や大会での成績が掲載されているほか、200曲近くにのぼる歴代のオリジナル曲が紹介され、一部試聴もできる。http://lm-club.com/

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