東京都軽音連の軌跡 第1回

高等学校における軽音楽活動の健全な向上発展と、加盟校が相互の親睦を図ることを目的に2007年の11月に発足。2009年には、東京都高等学校文化連盟に軽音楽部門として認可を受ける。現在、加盟校数は116校、所属部員数は約5,800名を数える大きな組織へと発展。生徒たちが演奏技術や芸術性を競うことはもとより、マナーやルールを守ること、親睦を深めることなど、学校教育の一環としての軽音楽活動の推進に主眼を置いている。活動内容、加盟校、沿革などは連盟公式ホームページに掲載。

http://www.tokyo-keion.com/


軽音楽部の活動について知りたいと三谷編集長が初めて訪ねていらしたのは、今から3年前のことです。当時、東京の連盟は発足して7年目を迎え、加盟校も増えて安定した活動をしていましたが、全国に目を向けると、軽音楽が学校の部活動として認知されているとは言えない状況である、とお話したことを覚えています。その後、東京都の公式大会や東京・神奈川の連盟が中心となって開催している全国大会を取材していただく中で、我々の活動理念に三谷氏は賛同され、全国で軽音楽に打ち込んでいる生徒たちや奮闘している顧問の先生方に協力したいという思いをお持ちであることを知りました。

音楽業界・楽器業界でも高校生の軽音楽部の活動がクローズアップされてきた昨今、各県での連盟発足の動きも加速してきたように感じています。しかしながら、まだ連盟発足に至らない県やその兆しもない県も数多くあるのが現状と言えます。

今回、全国の顧問の先生に向けた冊子を創刊されるとお聞きし、微力ながらも部活動としての軽音楽の普及に寄与できればという思いで、執筆をお引き受けしました。

前置きが長くなりましたが、まずは東京都高等学校軽音楽連盟発足の経緯について、そのきっかけを作ってくださった神奈川県の連盟にも触れながら書かせていただきます。

東京の連盟が発足したのは2007年11月のことですが、遡ること6年前、2001年の1月に神奈川の連盟が発足しました。当時、私は民間の大会などを通して神奈川の役員の先生方と親交があり、合同ライブや大会に呼んでいただいたり、一緒に音楽活動を行うなど、一顧問としてお付き合いがありました。お会いする度に「東京にもぜひ連盟を」の声を頂戴しましたが、横のつながりがほとんどない顧問が集まって、連盟を立ち上げるには、どれだけのエネルギーと時間が必要かと、考えれば考えるほど気が遠くなる思いでした。

しかしながら、2006年の夏、当時、神奈川の連盟が主催していた南関東大会が終了した後、その大会に参加していた顧問や神奈川の役員と交流のある顧問を中心に、いよいよ東京でも連盟発足に向けての意見交換会を開催しようという機運が生まれました。そして、都内にあるすべての高等学校にFAXで呼びかけ、その年の11月に第1回目の意見交換会が実現しました。顔も名前もわからない十数名の顧問が集まったこの第1回目の有志の会議が、東京の連盟の始まりです。

翌年の2月には第2回目、5月には第3回目の会議を開き、参加顧問も20数名に増えました。会を重ねるにつれ、ほとんどの顧問の先生が共通の悩みを抱えていることがわかりました。活動に対して学校や他の教員の理解がない、練習場所や音量(騒音と呼ばれている)の問題、活動に使う機材が足りない、生徒たちの生活面での指導、民間主催の大会では入賞しても学校に認められないなど、先生方が口にされた言葉は、それぞれが自分のことのように感じたものでした。同時に、この意見交換会に参加した顧問は皆、連盟が立ち上がればこれまで孤軍奮闘してきたことを仲間と共有することができ、助け合えると感じていました。そこから、連盟立ち上げの機運はさらに高まったと言えます。意見や考え方の違いはあっても、すぐに打ち解け、仲間意識を持つことになりました。同じ悩みを抱えていたからだけではなく、実際に楽器を演奏される先生や軽音楽を聴いてきた先生たちは、好きな音楽や若い時に熱中した音楽などの話題で意気投合できたのです。

2007年の夏には意見交換会に参加した有志メンバーで、南関東大会への出場権をかけた東京予選大会(音源審査)を開催しました。この時のエントリー数は22校47バンドで、うち半分近くはコピー曲でした。近年の東京の大会は百数十バンドがエントリーし、うちコピーは2割にも満たない状況ですので、当時は随分様子が違っていました。

意見交換会に加え、この年の7月から「東京都高等学校軽音楽連盟立ち上げのための会議」を開催し、連盟発足に向けて、より具体的な話し合いを行うことになりました。会議を重ねると共に南関東大会東京予選大会を運営することにより、大会運営のノウハウを身につけていくだけでなく、連盟のコンセプトがはっきりと見えてきました。「学校教育の一環としての軽音楽活動」や「教員の手による生徒たちのための大会の運営」などは連盟の発足当時から現在まで続いている、東京の連盟活動の骨子ですが、これらは意見交換会に参加した顧問の思いが形になったものと言えます。

そして、いよいよ2007年の11月に東京の連盟が発足するのですが、続きはまた次号で…。


東京都高等学校軽音楽連盟 委員長 成女高等学校 LM-CLUB顧問

佐々木弘人

連盟の設立に携わり、現在委員長を務める。LM-CLUB(軽音楽部)では、すべてのパートの指導にあたり、作詞・作曲・アレンジ・音楽理論も教える。部の公式HPには活動の様子や大会での成績が掲載されているほか、200曲近くにのぼる歴代のオリジナル曲が紹介され、一部試聴もできる。http://lm-club.com/

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