顧問はかく語りき – 千葉英和高等学校 軽音楽部顧問 片岡綾太先生

全国学校軽音楽部協会の理事長と、全国各地の軽音楽部の顧問とが自校の現状や軽音楽部の将来について徒然なるまま、熱く語る。

千葉県八千代市にある千葉英和高等学校の軽音楽部は大会や合同ライブなどを合わせると、年間20回以上のライブを行っているという、活動が盛んな軽音楽部です。「部活動は生徒のものである」という当たり前なことを当たり前以上に行っている顧問の片岡先生に、その指導方法などをお聞きしました。

最初の3年で「部活動」にする

ー 軽音楽部は、多くの方からいわゆる「バンド活動」だと誤解されています。

▶︎私自身が音楽の経験がまったくないということもありますが、軽音楽部は部活動ですから、教育活動だと思っています。そういった意味では、とても可能性のある部活動だと思います。しかし、誤解もあります。当校の軽音楽部では、毎年1月に保護者向けの説明会と発表会を行っていて、1年生の保護者の方にもなるべく2年生向けの演奏時間まで残ってもらうようにしているのですが、皆さんある程度、理解して帰って行かれます。

ー 普段はどのような指導をされていますか?

▶︎顧問になって7年目なのですが、最初の3年で「部活動」の形にしようと思いました。音楽の経験も楽器の経験もなかったのですが、実際にやるのは私ではないので、生徒同士で教え合ったり、学び合ったりする環境を作っていけば、うまくいかないわけはないと思っていました。顧問の仕事は、生徒が自ら成長する機会を作っていくことだと思っているので、例えば、他校のパート練習に伺ったり、合同演奏会に参加させていただいて、生徒と泣きながら帰ってきた時に「ダメだったな」ではなく「じゃあ、どうする?」と持っていったりしていました。そんなことの積み重ねで、今がある感じです。パート練習がうまく回らない時期も、その都度、パートリーダーが「何とかしよう!」と話し合いを行い、それが後輩に受け継がれています。

自分の部活動だと思うべき

ー パートリーダーがいるんですね。

▶はい。引退する先輩が任命します。部長・副部長は私が決めるのですが、実はこの4ヶ月以上部長・副部長がいない状態だったんです。トップダウンではなく、一人ひとりが自分の部活動として思っていないと成り立たないので、役割を固定化せずに、必要な段階が来るまでは決めないことにしています。

ー 自主性が重んじられているんですね。今日も生徒が自主的に話し合っているとか。

▶例えば、今回はSNSについて、部員が「ルールが曖昧なので、話し合いたい」と伝えてきました。その際、「自分たちではわからない部分があるので、一緒に参加して欲しい」と言われました。実際に議論をしている中で、「部活動」と「SNS」という2項対立的な軸で議論をすると、信念を持って取り組んでいる「部活動」の論理に「ひまつぶしやネットワークを広げたい」という「SNS」の論理では勝てない。私は「部活動の立ち位置から話すから論破してしまうし、話し合いがつまらない結果になるよ」ということを伝え、話し合いから外れることになりました。その後、話し合った事柄や結果に関しては私に報告をして、議論をする予定になっています。一番簡単なのは全面禁止なのですが、これからの時代、上手に付き合っていかなければならないものですからね。SNSの怖さなどについては伝えていますが、ルール決めにトライしたいと言ってきたことには、すごく意味があると思います。

生徒たちの可能性を信じています

ー 拝見した保護者向けの映像にも「軽音楽部はただの入れ物です」というものがありました。

▶︎学校の部活動ですので、特にこちらから目的の設定などはしていません。生徒がその年ごとに決めていけば良いことだと考えています。顧問はファシリテーションが役割だと思っています。私は楽器ができないのですが、できないからこそ、できることがあると思っています。

ー 部員からの信頼も厚いようですね。

▶︎さあ、どうでしょう? 直接、聞いてみてください(笑)。ただ、私は生徒たちの可能性を絶対に信じています。社会に出てから困らない課題解決の能力やマインドセットを軽音楽部で学んで欲しいと思います。

部室棟の教室では個人練習が行われ、ベンチでは部員がミーティングをしています

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