顧問はかく語りき – 名古屋経済大学市邨中学校・高等学校 軽音楽部顧問 中村弘之先生

全国学校軽音楽部協会の理事長と、全国各地の軽音楽部の顧問とが自校の現状や軽音楽部の将来について徒然なるまま、熱く語る。

高い技術力や優等生的なイメージで、愛知県内はもとより、全国にその名を轟かせている名古屋経済大学市邨中学校・高等学校軽音楽部。長年に渡って顧問をされている中村先生に、ある意味「市邨流」とも言える練習内容や指導方針などについて、お聞きしました。

ー 以前、軽音楽部の活動を取材させていただいた時にかなり驚いたのですが、どのようにして今の市邨スタイルになったのですか?

▶︎私が主導してこうなったわけでもないんです。昔はバンドが集まってわいわいやっている感じの部活動でした。しかし、当時は今のような公式の大会もなく、生徒たちが目標とするものがなかったので、民間のコンテストに参加させていました。でも、なかなか勝てなくて…。他校の演奏を見て、生徒たちが「うまくなりたい」と言ってきたので、「じゃあ、基礎からやろう」となったのが始まりです。

ー 反発する生徒などはいなかったのですか?

▶︎今までに何度か部員がごっそりと退部する、ということはありました。しかし、上手下手ではなく、何でも気持ちを入れてやって欲しい、ということだけは一本筋を通したくて。今ではそれを理解してくれる生徒たちが、練習方法や「市邨イズム」を代々受け継いでくれています。

ー 挨拶や態度を見て、いつも感心しています。

▶︎もちろん、軽音楽部が学校や保護者の方に認められるためには、普段の生活態度も大事なので、生徒指導もしています。しかし、スパルタな指導ではなく、実は結構「情」で成り立っているんです。もともと女子校だったということもあるかもしれませんが、先輩を大会に送り出す時にサプライズでプレゼントを用意したり、内緒で応援幕を作ったりなんかしていますね。結果、部を好きになり、部員であることが誇りに思えるようになり、先輩のようになりたい気持ちが湧くんです。そうなると自然にきちっと挨拶や態度が良くなるものなんです。

ーOBやOGがよく顔を出したり、居心地良く感じるのはそういったところなんですね。

▶︎昔の先輩の写真やビデオを在校生たちが昼休みとかによく見てるんですよ。何年も前の先輩たちが自分たちと同じ練習メニューをしているのを見るとやる気になるようですね。「こんなに速いテンポでやってるー、自分たちも頑張ろう!」と。この間、平成17年度の卒業生たちが遊びに来てくれたのですが、その卒業生全員の名前を在校生が言えましたからね(笑)。

ー すごい!

▶︎逆に、平成6年度の卒業生が遊びに来た時には、自分が使っていた機材を未だに綺麗に使っているのを見て、部則を守ってちゃんと機材を大事にしてくれているんだ、と感動していました。卒業生も遊びに来れば歓迎されるし、後輩たちも先輩が来るのを楽しみにしている、ということも歴代受け継がれて、続いています。軽音楽部の顧問として目指していることの1つは、「10年経っても帰って来られる場所作り」でもあったので、まさにその通りになりました。

ー 最初からそうだったのですか?

▶︎平成2年に顧問になった頃は、校内での環境作りのために学校と戦い、「授業中は寝るな」とか「宿題をちゃんと出せ」とか、部員とも戦っていました。最初はどこまで口を出すべきか悩みながらやっていましたが、生徒たちが「どうしたら時間や活動費、演奏できる場所をもらえるか」「1つの部活動として認められるには、どうしたら良いか」と真剣に考えるようになってきた時に、はじめて向き合えるのだと思います。私は特進コースを受け持っているのですが、3年間、一生懸命に勉強してきた生徒と同じように、部活動に打ち込んできた努力も認めてあげるべきだと思っています。保護者の方にも「褒めてあげてください」と言っています。

ー 今後はどうお考えですか?

▶︎軽音楽部は「部活動」なので、生徒指導の場であることに変わりはありません。今後も大事なところはしっかりと守りながら、世代に合わせていくことも忘れないように指導していきたいと思います。

自分も軽音楽部出身だから生徒の気持ちがよくわかる、と話す中村先生

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