歌や楽器を録音し、作品にする仕事です

▲スタジオにてベース・パートをレコーディング中

職業としての音楽/エンタメ業界2021:レコーディングにまつわる仕事

音楽やエンターテインメントに関する職業や業界は多岐に渡りますが、一体どんな世界なのでしょうか。今回はレコーディングにまつわる仕事について、専門学校東京ビジュアルアーツ/音楽総合学科レコーディングコースの荒井先生に伺いました。(DiGiRECO.JR VOL.46〜2021年12月号〜掲載)

歌や楽器を録音し、作品にする仕事です

ー レコーディングにまつわる仕事全般について教えてください

荒井:簡単に紹介すると、音楽の分野であれば、楽器を録音するのが主な仕事です。いろいろなジャンルの音楽があるのはもちろん、録音する楽器の数や演奏者の人数などは楽曲によって異なります。また、全般に録音する行為を「レコーディング」と呼んでいるので、例えば、落語の収録や国語の教科書の音声CDの録音なども業務の1つに当たります。

音楽の例に戻ると、バンドやアーティストからレコーディングの依頼をいただき、「こんな感じのドラムのサウンドにしたい」「ギターの音をこんな風に録りたい」といったリクエストに応えたり、「そんな感じのイメージなら、こんなサウンドはどう?」という提案をしたりするのが、レコーディング・エンジニアの主な役割です。

また、ライブを収録したCDやDVDの録音は、すべてレコーディング・エンジニアが担当しています。よくライブの録音は音響(PA)さんがやっていると思われがちですが、マイクや録音機材の選定や設置から本番の収録や編集まで、すべてレコーディング・エンジニアの仕事です。

ー 入学前に、ある程度の知識は必要ですか? 高校時代にやっておいた方が良いことも教えてください

荒井:特にレコーディングに関する知識やスキルは必要ありませんが、強いて言えば、いろいろな音楽用語が飛び交うことになるので、それについて勉強したり、簡単に理解しておくと良いかもしれません。

また、いろいろな音楽…特に洋楽を高校時代から聴いておくと良いと思います。理由は、日本の音楽は洋楽を参考にしている部分が多々あるからです。それに、「このギターのサウンドはエリック・クラプトンみたいにして欲しい」「ヴァン・ヘイレンみたいな歪んだ音が良い」「クイーンのブライアン・メイ風のサウンドにしたい」といったリクエストを受けた際に、これらのギタリストのサウンドや特徴を知らないと要望に応えることができないので、メジャーな洋楽曲は一通りのものを聴いておくのがオススメです。

それから、レコーディングではパソコンを使用します。入学後でも構わないのですが、もし高校生のうちからパソコンを触れる環境にいるのであれば、キーボードを速く打てるようになっておくと良いですね。私の授業でもパソコンの基礎知識に関する資料を配布しており、普段から「早くパソコン(キーボード)の操作に慣れてね」と話しています。

ー この仕事の楽しいところを教えてください

荒井:これは、恐らくレコーディングの世界をご存知ない方々には想像がつかないと思うのですが、ある楽曲をレコーディングする場合、担当するエンジニアはメロディーしか知らないんです。歌詞はありません。その状態からアレンジを施し、キーを決めて、ドラムやベース、ギターといったベーシックな楽器から録音します。ドラムやベースを録り終えたら、「じゃあ、どんなギターを入れていく?」「これは少し違うから、こんなのはどう?」「ソロはどうする? サックスでやってみない?」といった試行錯誤をスタジオで実践してみるんです。このように、レコーディングの現場では、毎回違うことが行われます。我々のようなエンジニアも「何かアイデアはありませんか?」「ここは、どう思います?」といった意見や感想が求められるなど、いろいろなやりとりや作業を通じて、1つの楽曲が完成する過程に携われるのが楽しいところだと思います。何もないところから創造物を作り上げ、組み立てていくのが一番の醍醐味ですね。

ー この仕事の大変なところを教えてください

荒井:自分の名前がCDやDVDなどの作品にクレジットとして載ることでしょうか…。エンジニアのアシスタント時代から載ることが多いので、最初の頃はスタッフ欄のところに名前が載っていると嬉しく感じると思うのですが、やはり名前が載るというのは、その作品に対する責任感を持たないといけません。そこが大変に感じる部分であり、シビアな面だと思います。

ー この仕事を続けるのに大切なことは何でしょうか

荒井:一番は「コミュニケーション能力」だと思います。何を録音し、作品を仕上げるにも、まずはアーティストと会話をし、相手の要望を聞き出したり、完成図を共有しないといけないので、意思疎通を図るコミュニケーション能力が大切です。

2つ目は「チャレンジ精神」です。どんなことにも興味を持ち、例えば、ドラムを録音する場合、「いつもだったら、こうやるけれど、こうしたらどうだろう?」という研究心や好奇心旺盛な気持ちが不可欠だと思います。レコーディングの世界に「当たり前」はありません。録音して、それが「良いね!」と評価されれば良いので、どんなプロセスを踏んでも構わないんです。それを自分で研究し、自分なりの手法を見出せる人が、この仕事に向いていると思います。

3つ目は「諦めない気持ち」が挙げられます。チャレンジ精神にも通じますが、「今回はこうなったけれど、次はこうしてみよう!」という風に挑戦を続け、試行錯誤を繰り返しながら、さらに良いものを求める姿勢が大切です。

▲DAWソフトを使用して、実習を行っています

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