第6回 バス・ドラムでワンランク上のドラミングを目指す

バス・ドラムのフレーズにバリエーションが出ると、様々なプレイに対応することができるようになって、ドラミングの幅が格段に広がります。しかし、普段、ほとんど歩くことしかさせていない足に繊細な動きをさせるわけですから、当然ながら、一朝一夕にはいきません。ゆっくりと時間をかけてマスターして、ワンランク上のドラミングを目指しましょう。(文・辻 伸介)

STEP1   バス・ドラムのダブル

ドラムを少し叩けるようになると、「なかなか思うようにいかないな」と思えてくるのがバス・ドラム、すなわち右足ではないでしょうか。やはり、足は手に比べて自由に動いてくれません。ポイントはペダルの跳ね返りをうまく使うことなのですが、特に、1回のストロークで2打踏み込むバス・ドラムの「ダブル」は、スプリングの強さやフット・ボードを踏む位置など、足の動作とのマッチングがカギとなります。

スライドとトゥ・アンド・ヒール

ダブルの踏み方は人によって千差万別ですが、まずは「速く連打させる」ことよりも、リズム・パターンに組み込めるように「正確に踏む」ことを目指しましょう。今回は、オーソドックスな踏み方である、かかとを上げた「ヒール・アップ奏法」でのダブルの踏み方を説明します。

方法は大きく分けて2種類あります。ペダルの上をスライドさせるようにペダルの真ん中あたりで1打、先の方で2打目を踏むという方法と、1打目を指の付け根あたりで踏んで、2打目を足全体で踏む「トゥ・アンド・ヒール」方法です。どちらもコントロールは簡単ではありませんが、大きな違いは前者が足首を動かさず固めて行い、後者が逆に足首を柔らかくして行うということです。普段の踏み方にもよりますが、自分に合った踏み方で練習していきましょう。

最近、インターネット動画などでよく出てくる、1打目をかかとで踏んで、2打目をつま先の方で踏むという方法は、ダブルを速く連打する時などに行う少し特殊な踏み方なので、まずはこの2種類のどちらかで行ってみることをお勧めします。

写真1〜4 ダブルの踏み方。ペダル上をスライドさせる方法(上)と、つま先→足全体で行う方法(下)

ダブルの練習方法

バス・ドラムのダブルは、「しっかりと2回音が出ること」と「狙ったタイミングで踏めるようにコントロールできること」が目標です。練習は左足のハイハットと一緒に行いましょう(譜例1)。メトロノームを♩=70ぐらいの遅めのテンポから始めて、地道に確実に練習してください。焦ってテンポを速くすると、足が無理な動きを覚えてしまって修正に時間がかかってしまうことがあります。

譜例1 はじめは別々に練習して、慣れてきたら交互に続けてみよう。×印は左足のフット・ハイハット

1打目が大きかったり2打目が大きかったりせずに、「ドドッ」ときれいに2回踏むことを意識して、ペダル上の足の動きを確認しながら行いましょう。

 

STEP2   バス・ドラムをからめたフレーズやフィル・イン

リズム・パターンだけではなく、フィル・インなどにバス・ドラムをからめられるようになると、フレージングの幅が一段と広がります。手だけではどうしても無理が生じて叩けなかったフレーズや、バス・ドラムだからこそ迫力が出るフレーズが加わることで、ワンランク上のドラミングが可能となります。

バス・ドラムで締める

ラム・セットの中で最も低い音が出るバス・ドラムは、手で叩いたフレーズの最後に組み込むことで、フレーズを引き締め、次に移動する手順をスムーズにします。

譜例2は、16分音符の4つ目や3連符の3つ目にバス・ドラムを踏むという王道パターンの一例です。手順に決まりはありませんが、基本的には右手スタートで練習を始めましょう。慣れてきたら手順を変えたり、タムを叩いたりすると、さらに良いメソッドとなります。この練習を行う時も、必ずメトロノームを使って無理のないテンポから始めてください。また、左足のハイハットを4分音符で踏みながら行うと、さらに4ウェイ的なエクササイズになります。

譜例2 慣れてきたら、交互に連続して練習しよう。その際はメトロノームでテンポをキープしながら行おう

ツイン・ペダル要らず

ツイン・ペダルは、今やヘヴィな楽曲だけではなく、ポップス系にも使われるので、初めてマイ・ペダルを購入する時にツイン・ペダルを選ぶ人も多いのではないでしょうか。しかし、ツイン・ペダルを持っていなくても、STEP1のダブル奏法を利用すれば、雰囲気が近いフレーズを演奏することができます。

譜例3は、16分音符の3打目と4打目、6連符の5打目と6打目をバス・ドラムで踏むフレーズです。メトロノームを使って、無理のないテンポからゆっくり確実にマスターしていきましょう。

譜例3 慣れてきたら、手で叩く場所をタムにしてフレーズを組み立てよう。ドラム・ソロにも使える王道フレーズだ

また、左足スタートで左右左右~と足をバタバタさせると、16分音符の2打目と4打目にバス・ドラムを踏んでいることになります。右手をフロア・タムにして8ビートを叩けば、まるでツイン・ペダルを踏んでいるかのようなフレーズになります(譜例4)。正確に16分音符になるように心がけながら練習してみてください。

譜例4 まるでツイン・ペダルを踏んでいるかのような迫力のあるフレーズになる

キック・ペダルを調整しよう

ペダルを持っていない人は、学校の備品を使用していると思います。ペダルにはスプリングの強さやビーターの長さ、ウエイトの有無など、自分の好みに調整できる部分がたくさんあるのですが、共用となると毎回調整するのは面倒なので、いつもそのまま使っているという人が多いのではないでしょうか。ドラムを演奏する時にイスの高さやタムの角度、シンバルの場所や向きなどを調整するのと同じように、ペダルも自分の足に合った調整をすることで踏み心地がまったく変わります。

もちろん、いつも同じ調整のペダルを使った方が上達も早く、本番でも「なんかいつものように踏めないなぁ」というストレスがなくなります。ギタリストやベーシストは楽器やエフェクターを自分で用意して持参しています。ドラマーの機材購入は、キック・ペダルが最初かもしれません。

 

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