第6回 ベース・ラインやベース・ソロの作り方

「ベース・ソロ」と言われると少しハードルが高いように思えるかもしれませんが、例えば、簡単なコード進行の中でさっとアドリブのフレーズが弾けたら良いな、とは誰しもが思うことでしょう。ベース・ソロはベース・ラインを作ることの延長です。縁の下の力持ちのような役割のベースも、フレーズを装飾したりすることで楽曲に華を添えることができます。(文・山田潤一)

STEP1   ペンタトニック・スケールを覚える

ベース・ラインやベース・ソロのフレーズを作るにあたって、まず覚えたいのは「ペンタトニック・スケール」です。ペンタトニックとは、メジャーあるいはマイナー・スケールを5音にしたもので、様々な音楽で使われているスケールです。簡単に言うとメジャー・スケール、マイナー・スケールの簡易版という感じです。この2つを覚えるだけでもフレージングのアイデアが飛躍的に増えます。

メジャー・ペンタとマイナー・ペンタ

メジャー・ペンタトニック・スケール(以下、メジャー・ペンタ)は、メジャー・スケールの4度と7度を抜いたスケールです。CをルートとしたCメジャー・ペンタだと、FとBの音を抜くことになります。マイナー・ペンタトニック・スケール(以下、マイナー・ペンタ)は、ナチュラル・マイナー・スケールの2度と6度を抜いてできています。Aマイナー・ペンタだと、BとFの音が抜かれます。Cメジャー・スケールとAマイナー・スケールは平行調の関係で構成音は同じですが、これはペンタトニックになった場合でも変わりません。

写真1 Aマイナー・ペンタを意識しながらCメジャー・ペンタを弾いてみよう

この2つのペンタトニック・スケールを覚えるポイントは「音使い」です。練習する場合は、Cメジャー・ペンタを弾く時でも平行調のAマイナー・ペンタを意識して、♩=100ぐらいのテンポからしっかりと行いましょう(譜例1)。

譜例1 音使いを意識しよう

さらに、この音使いは始める場所を変えるだけで違うキーのペンタになります。例えば、3弦1フレットから始めるとB♭メジャー・ペンタとGマイナー・ペンタになります。他のポジションでも練習して、すべてのキーに対応できるようにしましょう。

装飾をつけて弾く

ペンタトニック・スケールは、ただ順番通りに弾いてしまうと少し気の抜けた印象になってしまいます。弾く順番を変えたり、ハンマリング、プリングなどのテクニックを入れることで、より実践的なものになります。譜例2を♩=120から170ぐらいで弾いてみましょう。さらに速くする場合は、16分音符に置き換えてください。

譜例2 「h」はハンマリング、「p」はプリング。リズムと音符を丁寧に弾こう

ポイントは、ハンマリング、プリングのタイミングと音符の長さです。これが雑になってしまうと何を弾いているのかがわかりにくくなってしまうので、1つ1つの音を丁寧に弾くように心がけて練習しましょう。

これは一例ですが、他にも様々な弾き方や装飾テクニックを使って、自分なりのベース・ラインやソロを作ってみてください。慣れてきたら、簡単なコード進行とドラムなどのリズムがある中でラインを作ってみましょう。オリジナル楽曲のベース・ラインを作る際にも役立つと思います。

 

STEP2   プラス・アルファのベース・テクニック

ベースは、和音の土台である1度(ルート)を支え、アンサンブルにとってとても大切な役割を担っています。しかし、メロディー楽器としても成り立つベースは、そのフレーズに歌心がなくてはいけません。…といっても、難しいことをしようということではなく、長くても短くてもストーリー性を感じさせ、フレーズに華を添えてくれるような、マスターすればベース・ソロにも使えるベース・テクニックを身につけましょう。

「チョーキング」と「ビブラート」

ギターでは当たり前の「チョーキング」ですが、ベースではあまり使うことがないので、逆に、身につけておくと強い味方になります。今回は、Eマイナー・ペンタを使って練習しましょう(譜例3)。ポイントは、チョーキングした音をしっかりと出したい音程にすることです。練習の際は、まず実際の音程を確かめてから始め、最終的には耳で判断できるようになることを目指しましょう。チョーキングする時は、人差し指、中指、薬指の3本を使い、親指はネックを握り込むようにすると指に力が伝わりやすくなります(写真2)。

譜例3 上げすぎると音程が変わるので、注意しよう

写真2 複数の指でネックを握る感じで

「ビブラート」も、プレイに色気がついて、様々な場所で使えるので、しっかりと練習しておきたいテクニックです。こちらも、Eマイナー・ペンタを利用したフレーズで、音使いを意識しながら練習していきましょう(譜例4)。ビブラートのポイントは、揺らす速度と脱力です。ビブラートは揺らす速度でかかり具合が変わってきます。例えば、強くかけたい場合は速く、弱くかけたい時はゆっくり揺らす感じです。揺らす時は、親指を軸に左右に動かすのですが、弦を押さえる方の指は1本にして、力みすぎないように脱力を心がけるようにしましょう(写真3)。

譜例4 リズムを意識して16分音符でビブラートをかけよう

写真3 ビブラートをかける時は、指は1本だけ

また、リズムを意識してビブラートをかけることも大切です。例えば、譜例4をテンポ♩=80ぐらいで行う場合は、16分音符で揺らすように動かします。リズムから外れてしまうと悪い方に目立ってしまうので、必ずメトロノームを使ってリズムを意識しながら練習しましょう。

2つのテクニックを複合させる

さらに、これら2つを合わせた「チョーキング・ビブラート」というテクニックもあります。これは弦を上下に動かしてチョーキングしながらビブラートをかけるテクニックです。2つのテクニックの注意点を参考にして、譜例4のビブラートをすべてチョーキング・ビブラートにして練習してみましょう。

民族音楽のスケールで世界を旅する

世界には様々な民族音楽が存在し、独特なスケールがあります。それらはロックやポップスなど様々な楽曲に取り入れられていて、聴いただけでその国や地方をイメージすることができます。スペインのフラメンコなどで使われている「スパニッシュ・スケール」は、CをルートとするとC、Db、Eb、E、F、G、Ab、Bbです。弾いているとカレーが食べたくなるインドのスケール「アラビック・スケール」はC、Db、E、F、G、Ab、B。バカンス気分にさせてくれる沖縄の「琉球スケール」はC、E、F、G、Bです。

このように、民族スケールはその国や地方の歴史、文化、国民性を象徴しているかのようで面白いものです。調べてみると、ベース・ライン作りや作曲などに役立つかもしれませんよ。

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