第6回 もうワンランク上のバッキングを目指す

単音ピッキングやストロークは共に「オルタネイト」が基本であることは既に意識していることと思います。しかし、オルタネイトでのピッキングができていれば、すべてOKというわけではありません。実は、そこからが本当の意味でのバッキングをマスターするスタート地点なのです。バッキングに必要なリズム、ニュアンス、アプローチの仕方をもう少し掘り下げてみましょう。(文・岩尾 徹)

STEP1   シンプルなバッキング・パターンにこだわる

1つのパターンが延々と続くようなバッキングは、繰り返し練習をすることで徐々に弾けるようになってくると思いますが、「カッコ良く弾く」となると意外に難しいものです。それは、弾くことがシンプルなだけに出音以外の要素がとても重要になってくるからです。その部分を意識して練習すれば、もうワンランク上を目指すことができます。

リズムの表と裏を意識する

バッキングは、もちろん1曲を通してリズムがブレないようにキープすることが最も重要ですが、1つのフレーズを弾く中でも意識していなければいけないことがあります。それはリズムの「裏拍」を感じることです。リズムには「表」と「裏」と呼ばれる拍があり、音楽にとってとても重要なものです。メトロノームを4分の4拍子と捉え、「ワン、ツー、スリー、フォー…」と言葉にして繰り返します。これが「表の拍」です。そこに、ダンスなどでリズムを取る時に使われる「エン(and)」を間に入れていくと、「ワン、エン、ツー、エン、スリー、エン、フォー、エン…」となります。この「エン」の部分が「裏の拍」です。ギターを演奏する時に裏拍を感じながら弾けるようになることが、グルーヴのあるバッキングにつながっていきます。

写真1 リズムを取りながら、はじめは余裕のあるテンポで

譜例1を、はじめは8分音符でメトロノームを鳴らし、だんだん表拍の音量を下げていって、最終的には裏拍だけで弾けるように練習していきましょう。その状態でリズム自体がキープできることも大事なので、4分から5分、1曲分ぐらいの長さを1クールとして繰り返しましょう。裏拍のみで弾くことが難しい場合は、メトロノームを4分音符で鳴らして裏拍を手で叩き、まずはその感覚を掴んでみると良いでしょう。

譜例1 5弦7フレットがルートのEm7のコード・フォームで、なるべく譜面に忠実に弾いてみよう

「空(から)ストローク」の入れ方

「空ストローク」とは「ブラッシング」とも呼ばれる、休符の部分での「オルタネイト・ストローク」のことを言います。フレーズ全体のリズム・キープをするためのとても重要な動作ですが、その部分をどう弾くかによってフレーズ自体のニュアンスが変化します。オルタネイト・ストロークでしっかりとバッキングが弾けていれば、フレーズの休符の部分に「チャカチャカ」と弦をヒットする音が出ると思いますが、次のステップは、その空ストロークをしている時に弦をヒットするか、完全に空振りして音を出さないかをコントロールすることです。

完全に音を消すとフレーズ自体がクールに聴こえ、弦をヒットすればするほどドライブ感が増します。これを楽曲の中で使い分けられるようになると、フレーズがグッと歌うようになります。譜例2のようなシンプルなパターンで空ストローク部分の音を出したり完全に消したりして、コントロールできるようにしましょう。注意する点は、音を消す時にも空ストロークの動きを止めないことです。

譜例2 コードはすべて3~5フレット付近がルートのセーハ・コードで、4弦~1弦中心のストロークで弾くように

 

STEP2   ツイン・ギターでのバッキング・コンビネーション

ツイン・ギターでバッキングをする時、お互いが勝手気ままに弾いているとせっかくのコンビネーションを台無しにしてしまいます。必ずそれぞれが弾いているフレーズの意味合いを理解しておくことが大切です。意味合いとは、2つのバッキング・パターンがリズム的にどのように絡んでいるのかを、それぞれがお互いに明確にして弾いているかどうかということです。

コード・バッキングでのアプローチ

ツイン・ギターで6弦すべてを使ったフル・レンジのコードやパワー・コードをバッキングする時のアプローチの仕方は、大きく分けて2つの方法が考えられます。1つは、2人で同じリズムを弾く方法です。2人でユニゾンして弾くことで、フレーズの奏でるビートがより強調されドライブ感の溢れるサウンドになります。ロック系のサビなどを盛り上げるには有効な手段です。

写真2 お互いに見合い、ノリを合わせることを意識しよう

もう1つは、それぞれのフレーズの休符部分にお互いが音を出すようにする方法です。演奏の仕方によってはうるさくなりがちなツイン・ギターのバッキングも、まるで1本のギターで弾いているかのようにも聴こえ、バッキング・パターンがシンプルであってもビートをしっかりと出すことができます。譜例3のようなシンプルなパターンを使って、その感覚を身につけていきましょう。

譜例3 コードは6弦5フレットがルートの押さえ方で、4~1弦中心のコード・ストロークで歯切れ良く弾こう

単音バッキングでのアプローチ

単音でのバッキングといえば、まず思い出すのがロック系などで多用される「リフ」です。リフはツイン・ギターの場合、ユニゾンで弾くことが常套手段です。2人で同じラインのフレーズを弾くことで、よりリフの持つグルーヴを強調でき、楽曲に勢いをつけることができます。

一方、ポップス系の楽曲などでよく用いられる「単音ミュート・バッキング」と言われる方法がありますが、演奏する時には注意が必要です。2本のギターが両方とも単音のブリッジ・ミュートでバッキングをする場合、同じフレーズを弾いても相乗効果が薄くなるため、お互いのフレーズがほど良く複雑に絡み合うようにすることがほとんどです。それぞれのフレーズに勢いがついて、楽曲全体においてもプラスの効果につながります。譜例4を例題として、相手のフレーズを意識しながら自分のフレーズを弾いてみましょう。メンバーや部員のギタリスト2人で弾いてみて、その感覚を体験してみてください。

譜例4 伸ばしている音以外は右手を軽くブリッジ・ミュート気味で弾くと、雰囲気が出る

エフェクターでバッキングのバリエーションが広がる

同じバッキング・フレーズでも、音色に一味加えるだけでそのテイストは随分と変わるものです。例えば、オーバー・ドライブなどのエフェクターで歪ませて弾いているフレーズに、「ワウ」というエフェクターをプラスして弾くと、よりファンキーなサウンドになります。ワウはペダルをリズムに合わせて踏むのが基本ですが、4分音符に合わせたり2分音符に合わせたりすることでフレーズのニュアンスも変わります。また、「フェイザー」というエフェクターをかけるとサウンドにうねる感じが出て楽曲のアクセントになったりします。

しかし、どちらの場合もかけ過ぎは逆効果なので、コンパクト・エフェクターなど個別のエフェクターを使用する場合は、歪み系のエフェクターの前につなぐことをお勧めします。

▲Voxワウ・ペダル(左)、MXRフェイズ90(右)

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