第5回 オクターブで弾くオルガン奏法

キーボードは様々な音色を出すことができますが、それぞれの音色に応じたプレイを心がけることは、自分の知識や聴く音楽のジャンルを広げることにもつながります。今回は、知っているようで知らない「オルガン」という音色とどう向き合って演奏していけば良いのか、にスポットを当てたレッスンです。(文・竹中敬一)

STEP1   コードの「第3音省略」が基本

オルガンでコード弾きをする場合は、倍音の関係から「第3音を省略して押さえる」ことが基本です(写真1)。Cメジャー・コードでいうと、「C、E、G」の和音の「E」の音を弾かないということで、ギターの押さえ方の「パワー・コード」と同じ考え方です。

今回の譜面ですが、オルガンは他の音色よりも1オクターブ低く設定されているので、実際に演奏する時は、譜例を1オクターブ上で弾いてください。

オクターブを押さえる練習

では、第3音を抜いたコードで、オルガンに適したリズム・バッキングの練習をしていきましょう。まずは、右手だけで行うCメジャーとFメジャーのコードの循環です(譜例1)。

譜例1 中央の音を弾く指を軸にするイメージで演奏することがポイント

Cメジャーの第3音「E」、Fメジャーの第3音「A」が省略されていることを確認して、音の長さを保って弾きましょう。オクターブでCが出てくるので、親指から小指までしっかりと開きます。まずは机の上などで中央の音(GまたはF)を押さえる指を軸にして、親指→小指→親指→小指と、交互に動かす練習から始めましょう。カタカタと指先で規則正しく鳴らしてください。それに慣れてから鍵盤へ移りましょう。

写真1 第3音を抜いて押さえる。オクターブで音に厚みを加えよう

確実にできるようになったら、段々とテンポを上げます。同時に押さえる音がバラバラにならないように注意してください。

正確なリズムで、両手ともオクターブで押さえる練習

次に、両手で交互にリズムを刻む練習です(譜例2)。左手で裏拍をしっかりと感じ取り、リズムがブレないように注意してください。両手で弾くといっても、左右の独立運動ではありません。「右→左」の1拍分の動きを1まとまりと感じて弾くことが大事です。

譜例2 下段が左手。左右独立した動きではなく「右手→左手でひとまとまり」という認識で練習しよう

最初は、譜例のパターンを「音の長さを保って」行い、次に「右手はテヌート、左手はスタッカート」、または「左右逆」「すべてをスタッカート」…といった応用練習もやってみましょう。音の長さによる弾き分けと、それに伴って生まれるノリの違いが感じられると思います。最後に、譜例1と譜例2をそのままつなげて交互に弾いてみましょう。演奏が片手から両手になってもリズムが乱れないように注意してください。

 

STEP2    オクターブを含んだパーカッシブ・バッキング

バンドでオルガンの音色が登場するのは激しい曲の時が多いのではないかと思います。パワー・コードのような3度を抜いた押さえ方が基本であることを頭に入れて、STEP2ではコード・バッキングの中に細かい刻みも加えたリズム・トレーニングを含むエクササイズをしてみましょう。16ビートを奏でるギター・バッキングのつもりで行ってください。

心地良いリズムを刻む練習

第3音を省略するかわりに、オクターブ音がコードに含まれていることで和音に厚みが生まれます。そして、右手のリズム・バッキングの合いの手もオクターブ音を加えた左手で行うと、キーボードならではの広い音域でのバッキング演奏が可能になります。

譜例3は、8分音符のリズムを正確に刻むことと、16分音符のリズムで「瞬発力」を鍛えるエクササイズです。8分音符は音の長さをしっかりと保って弾きます。オルガンの音は、立ち上がりはピアノに似てアタック感があり、鍵盤から指を離した時も音の切れが非常に良い音色なので、ギリギリまで鍵盤を押さえておくことが大切です。逆に16分音符の部分は、鍵盤から離れる動作が速いほど切れ味の鋭い音になります。スタッカートをもっと大げさに表現するイメージです。手首を柔らかくして、手首から先を鍵盤上で細かくバウンドさせ、8分音符と16分音符をしっかりと弾き分けるように心がけましょう。

譜例3 下段は左手。16分音符の部分は手首のスナップを利かせて演奏しよう

練習は、メトロノームを使ってゆっくりとしたテンポから始めて、少しずつ速くしていき、16分音符の際の手首のバウンドの限界までチャレンジしてみましょう。

パーカッシブに鍵盤を叩く

譜例4の左手は、完全にパーカッシブな扱いです。手首を柔らかくして、鍵盤に叩きつける感じで弾いてみてください。まずは譜面通り指定された記号に注意しながら、ゆっくりとしたテンポで練習してみましょう。自分の限界の速さまでテンポを上げることができたら、左手で押さえる音を大胆に、むしろ弾いている音が判別できないくらい自由に、手の平で低域の「どこかの」鍵盤を叩いてしまいましょう。スナップをきかせて、コンガなどを打つ感じで思い切ってやってみてください。上手にハマると、リズムの合いの手にオルガンならではのかっこ良さが出てきます。

譜例4 左手はリズムの合いの手の気持ちで

▲1つ1つの音を奏でるというよりも、鍵盤に打ちつけるような動きで

単純だけれど無限の可能性を秘めたオルガンの音作り

ハモンド・オルガンの音色を構成しているのは、9本の「ハーモニック・ドローバー」と呼ばれるスライド式のツマミです。それぞれにパイプ・オルガンのパイプの長さを表す数値が書かれていて、ドローバーを引き出して組み合わせることで音色を作ります。

また、オルガンを鳴らすための「ロータリー・スピーカー」と呼ばれる定番スピーカーがあり、高音部用(ツイーター)と低音部用(ウーハー)の2つのスピーカーが別々に逆回転して音を揺らし、コーラス効果を生み出します。「アー」と扇風機に向かって声を出した時のブルブル震える音のような感じです。オルガンは正弦波のまっすぐな音を重ねて作っているので、音が揺らぐ仕掛けによって豊かな表現が可能になるのです。回転速度は「fast」「slow」の2段階で変えられるようになっているので、「ここぞ!」という時にfastにすれば盛り上がり必至です!

▲ロータリー・スピーカーの中身

関連記事

ページ上部へ戻る