第5回 ベース音楽理論・スケール編

音楽にはいろいろなスケール(音階)が存在していますが、「メジャー・スケール」や「マイナー・スケール」という基本のスケールが軸になっている場合が多く、これらを覚えることで他のスケールにも対応しやすくなります。また、スケールを理解して演奏することで楽曲への理解も深まっていきます。苦手な人もこの機会に覚えましょう。(文・山田潤一)

STEP1   メジャー・スケールとマイナー・スケール

基本としてまず覚えたいのが、ドレミファソラシドを、それぞれ「C、D、E、F、G、A、B」と、英語のアルファベットに置き換えることです。また、ポピュラー・ミュージックでは和音をコード・ネームとしてアルファベットで表記することが多いので、ドレミ~や、長調・短調といった言い方で馴染みのある人も、英語表記に慣れていきましょう。

メジャー・スケール

一見、難しく感じるかもしれませんが、Cメジャー・スケールとはただの「ドレミファソラシド」のことです。ベースだと3弦3フレット(C)、5フレット(D)、2弦2フレット(E)、3フレット(F)、5フレット(G)、1弦2フレット(A)、4フレット(B)、5フレット(C)になります。

スケールを練習する時のポイントの1つは、フレットによって使う指を決めて弾くことです(譜例1、写真1)。指の形はそのままで、フレットの位置を変えて弾けば、違うメジャー・スケールになるからです。例えばDメジャー・スケールは、3弦5フレット(D)の位置からCメジャー・スケールと同じ指使いで始めます。このように、まずは指の形で覚えていくと習得が早くなり、良い運指練習にもなります。

写真1 それぞれの音に対して、使う指を決めて押さえる

譜例1 ♩=70ぐらいのゆっくりなテンポで練習して、体に手の形を覚えさせよう

また、音の長さをギリギリまで伸ばして弾くことも重要です。音の長さのことを「音価」と言います。正しい音価で弾くことで、自然と指の力もついていきます。音が途切れないように練習しましょう。

マイナー・スケール

マイナー・スケールは、「C、D、E♭、F、G、A♭、B♭、C」という音で構成されていて、Cメジャー・スケールと比べると、3度と6度と7度がフラット(半音下がる)しています。ベースだと、3度が2弦6フレット(E♭)、6度が6フレット(A♭)、7度が1弦3フレット(B♭)と変化します(譜例2)。もちろんメジャー・スケールと同様に、使う指を決めて音価を大事にしながら練習しましょう。マイナー・スケールの場合、最初のCは人差し指から始めます。

譜例2 マイナー・スケールの場合はCを人差し指から始めよう

まずは基本のメジャー・スケールとマイナー・スケールを習得しながら、指の形を基準に「指板上の音」を覚えていきましょう。例えば、「3弦3フレットがCだから4フレットは半音上のC♯だ」というように、スケールの発展やフレーズ作りなどに役立ちます。

 

STEP2   スケールの展開

ベースの指板上には同じ音がいくつか存在しているので、スケールの指の形も1つだけではなく、いろいろなパターンが考えられます。メジャー・スケールとマイナー・スケールを展開させた形も覚えていきましょう。

違うポジションで弾く

Cメジャー・スケールを様々なポジションで弾いてみましょう。「C」の音は3弦3フレット以外にも、4弦8フレット、3弦15フレット、2弦10フレット、1弦5フレット、17フレットと、いろいろな場所にあるので、例えば4弦8フレットから始めると、4弦8フレット(C)、3弦5フレット(D)、7フレット(E)、8フレット(F)、2弦5フレット(G)、7フレット(A)、1弦4フレット(B)、5フレット(C)になります(譜例3)。

譜例3 このポジションで弾けるようになったら、違うパターンを考えて練習してみよう

他にも、CからFまではそのポジションで、Gを3弦10フレット、A を2弦7フレット、Bを9フレット、Cを10フレット…など、同じCから始めてもいろいろな形のパターンが存在します。もちろん、マイナー・スケールも同様にいろいろな形で弾くことができます。これらの形をたくさん覚えて、弾けるパターンを増やしていきましょう。

覚えたスケールは、♩=70から180のテンポで、8分音符で下降・上昇を繰り返す練習をして体に叩き込んでいきましょう。慣れてきたら、3度飛ばし(C、E、D、F、E、G、F、A、G、B、A、C)や、4度飛ばし(C、F、D、E、A、F、B、G、C、A、D、B、E、C、F)など、順番を入れ替えて練習すると良いでしょう(譜例4)。

譜例4 3度飛ばしの譜面。それぞれの指がバラバラに動くように意識しよう

練習を発展させる

さらに、これらの練習を12音すべてのキーでできるようにすると、ベースを弾く自由度が格段に上がります。もちろん、ただの運指練習としてだけではなく、今弾いている(押さえている)フレットが何の音なのかを、1つ1つ確認しながら地道に練習していくことが大切です。

写真2 指の順番とフレットの音を確認しながら練習しよう

今回のメニューをマスターすることによって、メジャー・スケールとマイナー・スケールの音の構成を把握するのと同時に、指板の音の場所への理解度を深めることができます。楽曲をコピーする時の手助けや、オリジナル曲のベース・ライン作り、さらにはアドリブ・ソロなどにも役に立つので、毎日持続して行いましょう。

ドレミが「C」から始まる理由

音楽にアルファベットがつけられた理由は諸説あるのですが、中世ヨーロッパの音楽家たちが古代ギリシャの音楽理論をもとに、ピアノの最低音を「A」と名づけたのが始まりとされています。それを基準に、Aから始まるマイナー・スケールとCから始まるメジャー・スケールが作られましたが、現在では暗いマイナー・スケールよりも、明るいメジャー・スケールが主流となった結果、ドレミ~がCDE~の順番になりました。このように、昔作られたA音が中心のスケールが今の音名に影響を与えているのです。

現代でも「A音(440Hz)」が楽器の基準音として使われています。余談ですが、産まれたばかりの赤ちゃんは全員第一声がAの音だという説や、木々のかすれる音や川のせせらぎなど、自然界の心地良い音はA音が多いなどと言われています。人間と「A音」には不思議な関係性があるのかもしれません。

▲西洋音楽のもとになったのは古代ギリシャの音楽理論とも言われている

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