第5回 表現力のアップに欠かせない必須テクニック

フレーズを弾く時はフレットやタイミングを間違えずに弾けば、それでOKということではありません。楽曲のイメージにマッチするように、フレーズに表情をつけて演奏することが最も大切です。そのためには、「ハンマリング」や「プリング」といった、ギターならではの基本テクニックを見直して、より磨きをかけることが重要です。(文・岩尾 徹)

STEP1   ハンマリング、プリング、ピッキング・ハーモニクス

ピッキングしないで、指を弦に当てて音を出す奏法を「ハンマリング・オン」と言います。逆に、弦を押さえていた指をピッキングせずに離して音を出すことを「プリング・オフ」と言います。「ピッキング・ハーモニクス」とは、ピッキングしながらハーモニクス(倍音成分)を同時に出すテクニックです。これらは、ギターのフレーズに表情をつけるための最もベーシックなものです。的確にコントロールできるようにしましょう。

ハンマリング・オン、プリング・オフ

ハンマリング・オン、プリング・オフは、「指で弦を押さえて、離す」という単純な動作なのですが、確実に音を出すにはコツがあります。ハンマリング・オンをする時は、なるべく指板に対して指を立てて、弦を指で叩くような感じで押さえます(写真1)。プリング・オフは、少し指で弦を引っ掛ける感じで離すと音をしっかりと出すことができます。どちらも常に意識しながら行いましょう。

写真1 弦を押さえる指はなるべく寝かさないように

この2つの奏法は、ピッキングしないで音を出すテクニックなので、ピッキングした時よりも柔らかな印象になります。その違いをコントロールできるようになると、フレーズに表情がつけられるようになります。 フレーズをより滑らかな感じにしたり、優しい感じにしたい場合に、すべての音をピッキングするのではなく、いくつかの音をハンマリング・オンやプリング・オフを使って弾くと、自然なフレージングになり効果的です。

譜例1を指示通りに弾いてみてください。注意点としては、はじめはピッキングする音をダウン・ピッキングで行い、ハンマリング・オン、プリング・オフした時に、音がしっかりと出ていることを確認しながらゆっくり弾くことです。慣れてきたら、メトロノームを使ってリズムに乗せて指の感覚が慣れるまで繰り返し弾いてみましょう。

譜例1 すべての音をピッキングした時とニュアンスを比較してみよう

楽曲をコピーする際に、最初はこういったフレーズのニュアンスを聴き分けることは難しいかもしれません。まずは、スコアをよく見て、ハンマリング・オンやプリング・オフの場所を忠実に守って弾くようにして、感覚を身につけましょう。

ピッキング・ハーモニクス

ピッキングは、なるべくピックを弦に対して平行にして弾くことが基本ですが、ピッキング・ハーモニクスを出したい時は、弦に対して斜めに入るように弾いて、その直後に親指の側面に弦を一瞬触れさせます(写真2)。ピックが弦に対して入る角度を変えることで、ピッキング・ハーモニクスを出す/出さないをコントロールするということです。ピッキング・ハーモニクスは、弦を弾く場所で音程が変化するので、ブリッジからフロント・ピックアップの間を目安に、いろいろな位置で試してみてください。

写真2 弦に対して、斜め45度ぐらいを目安に

 

STEP2   ギターならではのテクニックを使いこなす

ギターはロックに欠かせない楽器の1つです。特にポピュラー・ミュージックとともに発展してきたエレキ・ギターならではの奏法を使いこなすことで、よりギター・サウンドの魅力はアップします。中でもハンマリング・オン、プリング・オフや、トレモロ・ユニットが装備されているギターでの「アーミング」は、表現の幅を広げることのできる奏法の1つです。どの奏法も慣れれば何となくできてしまうものですが、使いこなすためには気をつけなければいけないポイントがいくつかあります。

リズムをより意識する

ピッキングをしないで音を出す奏法のハンマリング・オンやプリング・オフは、ピッキングして音を出す時よりもリズムに乗せて弾くことが難しくなります。リズムを意識しないで弾くと、それらのテクニックを使ってフレーズに表情をつけても、フレーズ自体の符割りがぼやけてしまい、マイナス効果になってしまいます。大事なことは、必ず音符として譜面に書けるようなタイミングで音を出すことです。

リズムに乗せる感覚をつかむために、まずは2本の指でパルス・チェンジをする練習をしてみましょう(譜例2)。指の組み合わせを変えながら、4本すべての指で行うことが大事です。指で押さえるポジションは、使う指によって変えてください。この時、必ず体でリズムを取りながら行うように心がけましょう。

譜例2 隣同士の指を使った例。各小節、最初の音だけピッキングして、あとはハンマリング・オンとプリング・オフの繰り返し

トレモロ・アームを使う

トレモロ・ユニットが装備されているギターでは、アーミングをうまく使うことで表現がより広がります。主に、グリス・ダウンの代わりにアームと呼ばれるバーを押し下げて音程を下げる「アーム・ダウン」と、通常のビブラートの代わりにアームを揺らしてビブラートを掛ける奏法があります。

アーミングをしようと思った時に、アームを目で探してしまっていてはタイミングが遅れてしまう可能性があるので、手の感覚だけでアームを瞬時に持てるようにする必要があります。アームを使わない時でも、ギターを弾く時には必ず装備しておいて、いつもどのあたりにアームがあるのかを意識することが大切です。また、アームを持つ時はいきなり握ろうとするのではなく、まずアームを指で引っ掛けるようにしてから握ると、素早く握れます(写真3)。ビブラートを掛ける時は、アームをしっかり握って腕で動かす感覚で行うようにすることがポイントです(写真4)。

写真3 アーム自体の位置も自分の好みに

写真4 はじめはしっかりとアームを持って

アーミングはエレキ・ギターならではの奏法ですが、勢いだけで行わずに、リズムを意識して行うことも大事です。「音楽的な表現」を目指しましょう。

ナチュラル・ハーモニクス以外のハーモニクス

弦に軽く指を触れながらピッキングして鳴らすハーモニクスを「ナチュラル・ハーモニクス」と言います。ナチュラル・ハーモニクスは5、7、12フレットなど、鳴る場所が決まっているので、奏法としての活用はある程度限定されますが、ちょっとしたフレーズやアルペジオをハーモニクス音を使って自由に弾くことができます。方法は、指で押さえているフレットと同じ数だけ12フレットから数えて、その場所を人差し指で触れてピッキングします。例えば、3弦の3フレットを押さえた場合、15フレットを人指し指で触れてピッキングします。鳴るハーモニクス音は実音の1オクターブ上の音になります。

もう少しラフにハーモニクス音を鳴らしたい場合は、人差し指で触れているフレット上を軽くタッピングします。バリエーションの1つとして覚えておくと、フレージングの幅を広げるために有効でしょう。

▲ピッキングする指はフレットの真上を触れる

 

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