第4回 16分音符とシェイク・パターン

ロックのリズムには大きく分けて「8ビート」と「16ビート」があります。しかし、最近の楽曲は「8ビートっぽい16ビート」や「16ビートっぽい8ビート」など、両方が混ざっているリズムも少なくありません。16ビートはもちろん、かっこ良い8ビートを叩くためにも、16分音符の練習は必須です。(文・辻 伸介)

STEP1  16分音符

ドラマーは、リズム・パターンをいくつか叩くことができればバンドで演奏することができます。しかし、音符の長さや休符の長さについてしっかりと頭と体で理解できていなければ、リズム・パターンやフィル・インなどのドラミングにかなり大きな悪影響が出てしまいます。16分音符を理解して、正確に叩けるようになりましょう。

16分音符のアクセント移動

4分音符を均等に4分割した長さの音符が16分音符です。その4つのどこにでもアクセントを付けられるように練習していきます。4分音符のメトロノームに合わせて、まずは1番目にだけアクセントを付けていきます。アクセントを叩く時は腕をなるべく大きく振り上げ、それ以外はできる限り小さく叩くことがポイントです。また、右足をメトロノームに合わせて、4分音符で踏むことも忘れないようにしてください。きれいにできるようになってきたら、次は2つ目だけ、3つ目だけ…と、アクセントを移動させていきましょう。左手でアクセントを叩く2番目と4番目は特に難しいと思うので、ゆっくりなテンポからじっくりと練習してください。慣れてきたら、4つのパターンを1小節ずつ繰り返してつなげてみましょう(譜例1)。鏡の前で腕の振りを確認しながら行うと良いでしょう。

譜例1「R」は右手。「L」は左手。アクセントとそれ以外の差をしっかりとつけよう

ドラミングの最大のネックは「足」であることが多いと思います。バス・ドラムも、4つの16分音符のどこにでも踏めるようになることが目標です。メトロノームはそのままにして、譜例1のバス・ドラムをアクセントに合わせるように1つ目、2つ目…と移動してみてください。4分音符のメトロノームを常に意識して、手足のコンビネーションを考えながら行いましょう。

▲アクセントは腕を大きく振りかぶる

16分音符を頭と体で理解する

次に、自分で叩ける簡単なパターンで構わないので、「タカタカタカタカ…」と16分音符のパルスを声に出しながらドラムを叩いてみましょう。パルスとは、体で感じる音符などのことです。はじめは少し違和感があるかもしれませんが、気持ち良くなるまで続けてください。ポイントは、必ず「声に出す」ことです。頭だけではなく、体が覚えるまで続けましょう。慣れてきたら、少しずつパターンを変えたり、簡単なフィル・インを入れるなど、いろいろと応用してみてください。

ドラム・マシンなどを使って、タンバリンやシェイカーなどを16分音符で打ち込み、スピーカーから音を出しながら叩いてみるのも効果的です。せせこましく感じるかもしれませんが、自分の感じている16分音符としっかりとタイミングを合わせましょう。

 

STEP2  「シェイク」パターンを叩きこなす

現代のドラミングでは、俗に「シェイク」と呼ばれるリズム・パターンの体得が必須です。16ビートではもちろん、8ビートでも使われ、激しいロックからクールでグルーヴィーな楽曲や歌モノのポップスまで、いろいろな楽曲に登場するシェイクは、ドラマーのステップとして8ビート・パターンの次に覚えるべきリズム・パターンとも言えます。

16分音符、ショットの叩き分け、音量やアクセントなどのポイントに注意して、様々なシェイクを叩きこなしましょう。

グルーヴ・ポイント

シェイクを叩く上でコンビネーション的にもグルーヴ的にも最も大事な部分は、「2拍目の16分音符4つ目」です。ここが「グルーヴ・ポイント」であり、スムーズに叩けないという場合や「何かかっこ良くないな」といった場合、この場所がしっかりと意識されていないことがほとんどの原因です。

まずは8ビートに左手のスネアでリズム・パターンに加えてみましょう(譜例2)。最初のうちは少しアクセントを付けるつもりで演奏すると良いでしょう。慣れてきたらバス・ドラムでもやってみてください(譜例3)。どちらも「右手と右手の間」に入れるということを意識して、ゆっくりなテンポから練習しましょう。

譜例2 矢印部分がシェイクのグルーヴ・ポイント

譜例3 バス・ドラムでも演奏してみよう

コンビネーションとして手足が譜面通りに動くようになっても、機械的な演奏では意味がありません。テンポの乱れを防ぎ、よりグルーヴィーにシェイクを演奏するためには、「3拍目の頭」をしっかりと意識することが重要です。3拍目の頭にバス・ドラムがあってもなくても、グルーヴ・ポイントの後にビートを感じることがシェイクを安定させるポイントです。

アクセントでバリエーション

基本的なパターンが手足のコンビネーションとしてスムーズに叩けるようになったら、少しバリエーションをつけてみましょう。

3拍目の16分音符2つ目にスネアのアクセントを加えたり、右手のパターンを4分音符や裏打ち、または裏オープンにする。1拍目のバス・ドラムのパターンを8分音符2つや付点8分音符と16分音符に変える…など、様々なバリエーションが考えられます。他にお勧めなのは、「2拍目の16分音符の4つ目」にアクセントを付けないで叩くケースです。意識している(感じている)のに叩かないというのは大変難しいことですが、音数を減らしてシンプルなパターンでいきたい時にとても役立ちます。ぜひ練習を重ねて、マスターしておきましょう。

▲右手のアップ・ダウンが乱れないように注意しよう

様々なバリエーションのシェイク・パターンすべてに共通して言える大事なことは、2拍目と4拍目に叩くスネア・ドラムのバック・ビートとグルーヴ・ポイントの音量差を意識することです。手足のコンビネーションだけではなく、いつでもリズムの中にパターンがあることを忘れないようにしましょう。

西洋はリズムとグルーヴ。日本は…

日本人は、西洋的な「リズム」や「グルーヴ」というものを感じることがあまり得意ではありません。古来、日本の音楽は「抑揚」や「間合い」を大事にしてきたからです。雅楽や能といった日本の古典芸能の多くは、鼓や拍子木を演者のタイミングに合わせて叩きます。そこには西洋的なテンポもカウントもありません。あるのは「間合い」だけです。

逆に、西洋人は「せーの!」で合わせることが苦手だと言われています。カウントもせずに間合いだけで一斉に演奏を始めるとか、エンディングの締めをアイ・コンタクトだけで合わせる、長いブレイクやリタルダンドの加減を合わせる…など、アンサンブルに欠かせないこれらの部分は日本人の方が得意なようです。日本の「間合い」を大事にしながら、西洋の「リズム」や「グルーヴ」をマスターしたら最強ですね。

▲歌舞伎の「鼓」。日本人には「間」も大事

 

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