1つの曲の中には様々なリズムが登場します。リズムを把握するために、まずはその物差しとなる「拍数」を体で感じること、そして、小節単位でどんな長さの音でリズムが構成されているかを理解することが大切です。音符の長さが変化しても、安定した演奏ができるように基礎力を身につけましょう。(文・竹中敬一)

STEP1   正しく拍を感じて、タイミング良く演奏する

ポピュラー・ミュージックには、聴いている人々の気持ちを高揚させ、体を動かす(踊らせる)要素があります。皆さんが好きな音楽にも、ビートの効いた、思わず体が動き出す、そんな楽曲が多いのではないでしょうか。

音楽を聴いて気持ち良く体を動かすためには、その音楽がある一定の「テンポ」と「拍子」をキープしていることがとても大事になってきます。音を間違えないで弾くことよりも、音のタイミングをしっかりと合わせて弾くことの方が、ポピュラー・ミュージックにとっては重要な場合もあります。

声に出して数えながら弾く

バンドの中でのキーボードの役割の1つに、「コード・バッキング」があります。正確なリズムとタイミングでプレイできないと、バンド・アンサンブルが崩壊してしまいます。タイミングを意識しながら弾く練習を繰り返しましょう。

例えば、4拍子のリズムで一定のテンポを感じながら、演奏する音符を4分音符からだんだん短くしていくなど、音符を変化させる練習を「チェンジ・アップ」と言います(譜例1)。まずは、Cメジャーのコードを右手だけで練習していきましょう。

▲まずは右手だけでやってみよう

譜例1 4小節弾いたら逆方向に戻っていこう。カウントを声に出しながら行おう

この時、必ずメトロノームを使って拍数を声に出してカウントするようにします。譜例1の場合は4拍子なので「1、2、3、4」と数えながら弾きます。「声に出す」ことはとても大切です。カウントしながら練習する癖をつけると、難しいフレーズを弾く時にはフレーズのリズムが整理でき、つまずいた時には小節の頭で自分をリセットできます。そして最終的には、楽曲のノリを感じながら演奏できるようにもなっていきます。

「小節単位」を意識する

右手だけで演奏できるようになったら、左手も加えてみましょう。譜例1の下段が左手のフレーズです。それぞれの小節の1拍目で弾いて4拍の間、音を伸ばします。「小節単位」の意識を持つことが大事です。

練習の仕上げとして、メトロノームなどのガイドを出さずに、自分の中でテンポを決めて弾いてみましょう。一定のテンポを感じながら弾けているかを確認する最もわかりやすい練習です。音の長さが短くなるに従って演奏が速くならないように注意しましょう。逆に、音が長くなってくると、待ちきれずに間隔が短くなってしまいがちです。自分の演奏をレコーダーなどで録音して聴き返してみると良いでしょう。

 

STEP2   音の長さ、休符を組み合わせて演奏する

一定のテンポをキープしながら、そこに表情がつけられるようになると、より豊かで生き生きとした演奏になります。Cメジャーのコードを音の「長さ」を気にしながら、記号で指定されたように演奏してみましょう。同じ音を弾く場合でも、音の長さによってその印象が変わってきます。

音の長さの違いを意識する

まずは、「テヌート」と「スタッカート」を明確に弾き分ける練習です(譜例2)。テヌートとは「音の長さを十分に保って演奏する」こと、スタッカートは「音符を本来の長さより短く演奏する」ことを指示する記号です。テンポは一定にキープします。最初はメトロノームなどを聴きながら、そして、自分で「1、2、3、4」とカウントしながら練習しましょう。3小節目からはカウント(表)に対して、裏のタイミングの演奏に変わります。演奏につられてカウントが崩れないようにしましょう。また、カウントにつられて音の長さがいい加減にならないようにしましょう。

譜例2 左手はオクターブのC音を毎小節の頭に弾こう。「ー」がテヌート、「・」がスタッカート

両手による実践的な練習

それでは、ここまでの練習を踏まえて「チェンジ・アップ」にチャレンジしてみましょう(譜例3)。左手はオクターブで拍を刻む動きなので、「1、2、3、4」と数えるカウントと連動させてください。音符が変化していくとタイミングが取りにくくなると思うので、メトロノームでの練習は必須です。カウントと共に動く左手を基準に考えると、リズムの仕組みがわかると思います。テヌートで弾く場合とスタッカートで弾く場合とを、自分でいろいろと変えて練習してみても構いません。

譜例3 2小節目は「2拍3連」。仕組みをわかりやすくするために「タイ」を使って書いている

2小節目は、少し難度の高いリズムで「2拍3連」というパターンです。本来は、このような記譜の仕方はしないのですが、タイミングをわかりやすくするために細かい音符で表現しています。4小節目のリズムとの違いを弾きながら理解しましょう。

▲音符に「表情」をつけて演奏しよう

日常の中にあるリズム

日常生活の中から同じ周期で音が出るものや状況を探してみると、独自のリズムを持った面白いものが見つかります。例えば、洗濯機や食洗機が水を使ってバシャバシャと洗う音、自動車のウインカー、踏切の音、カエルや鳩の鳴き声、単純な作業音など…。そんな音に気づいたら、しばらくじっとその音を聴いてみましょう。その繰り返すリズムは何拍子に聴こえるでしょうか。自分でリズムを考え、手を叩いてみてください。メトロノームを前にしなくても、耳をすませば身のまわりにはたくさんのリズムがあるのです。

最近復活の兆しを見せる「アナログ・レコード」ですが、片面を聴き終わったあとの針が溝をこすり続ける「ノイズ」が、一定のリズムに聴こえることがあります。1990年代にはHIPHOPなどで「汚し系」サウンドとしてループ音に使われたりもしました。

▲ノイズも温かみがあるループ・サウンドに聴こえる

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