第3回 「8ビート」の基礎練習

「8ビート」はテクニック的にもあまり難しくなく、基本的なパターンが叩ければいろいろな楽曲を演奏することができます。しかし、あなどってはいけません。すべてのドラミングの土台であり、最も奥が深いのが「8ビート」です。基礎をしっかりと踏まえて8ビート・パターンを自在に叩けるようにしましょう。(文・辻 伸介)

STEP1   「4ウェイ」と「アップ・ダウン」

ドラム用語に「4ウェイ」と「アップ・ダウン」というものがあります。4ウェイとは、正確には「4ウェイ・インデペンデンス」と言い、両手両足をバラバラに独立させて動かすという意味です。アップ・ダウンとは、その名の通りテクニック的にもリズム的にも重要な「上下運動」のことです。

この2つは、考えようによっては真逆の意味を持ちます。両手両足をバラバラに動かしながら、1つの上下運動のリズムを感じる…などと言うと、少し難しく感じるかもしれませんが、8ビートをキレイに叩けるようになるためには、この2つのことを同時に意識しながら練習することが大切なのです。

「4ウェイ」の練習

右足で1拍目と3拍目にバス・ドラムを踏んで、左手で2拍目と4拍目にスネア・ドラムを叩けば、「ドン、タン、ドン、タン…」というリズムが生まれます。そこに右手で8分音符のハイハットを加えれば、最もシンプルなドラム・パターンが出来上がります(譜例1)。可能であれば、左足をゴースト・モーションさせてみてください。ゴースト・モーションとは、左足のつま先でハイハット・スタンドのペダルを踏み込んだまま、かかとだけを動かすことです。ハイハットを開いて音は出しません。まずは4分音符で踏んでみましょう。

譜例1 第5線上の×印はハイハット(右手)、第3間はスネア(左手)、第1間はバス・ドラム(右足)、下第1間の×印はフット・ハイハット(左足)のゴースト・ノートです

この時点で、両手両足が違う動きをしているので、既に「4ウェイ」を行っていることになります。ドラミングとは、基礎から応用まで、どこまでいっても「4ウェイ」なのだと言えます。両手両足をバラバラに動かすには「訓練」しかありません。それぞれが「つられない」ように、何度も繰り返し練習して、脳に筋肉の動かし方を覚えさせましょう。

「アップ・ダウン」の練習

「アップ・ダウン」は、リズムの要となるドラムにとって必要不可欠な要素です。最もわかりやすく上下運動しているのは、ハイハットを演奏する「右手」です。基本的な8ビートのパターンを叩く場合、右手は8分音符でアップ・ダウンを繰り返します(写真1、2)。

写真1 アップ・ストローク。叩いて上に上げる

写真2 ダウン・ストローク。下に振り下ろす

この右手の動きをキープしながら、譜例1を演奏してみてください。右手だけで行うのではなく、体全体でアップ・ダウンのリズムを感じましょう。スムーズにできるようになったら、バス・ドラムのフレーズを譜例2のようにいろいろと変えていきます。右手がつられてアップ・ダウンが崩れてしまわないように注意してください。

譜例2 右手のアップ・ダウンが崩れないように注意しよう

 

STEP2   繰り返すフレーズと変化するフレーズ

ドラムの両手足の動きは、ずっと同じことを繰り返すフレーズと、アクセントに合わせて次々に変化するフレーズでできています。ドラムの演奏は、ループする繰り返しフレーズの気持ち良いリズムを持続させながら、アクセントをつける位置などをしっかりと正確に演奏しなければなりません。楽曲に出てくるフレーズを1つ1つ練習していくことも大切ですが、様々なフレーズに対応できるようになるためには、基礎力をアップすることが近道です。

バス・ドラム(右足)を変化させる

安定した8ビートを演奏するためには、ハイハットとスネアで繰り返しの演奏をしながら、バス・ドラムをいろいろな場所に踏める練習をする必要があります。4分の4拍子の場合、1小節に8分音符は8つ入ります(譜例3)。これらをまず、上半身が右足につられないように注意しながら、①だけ、②だけ…のように、どれか1つだけを踏んでいきます。それができたら、①と②、②と③など2打踏む組み合わせ、3打踏む組み合わせ…といろいろな組み合わせで練習していきます。

譜例3 1つ目だけ踏む、2つ目だけ踏む…と、1つずつ確実に練習していこう

左足のゴースト・モーション(STEP1を参照)を4分音符や8分音符で繰り返しフレーズに加えると、さらに難易度が上がります。まずはゆっくりなテンポで始めて、スムーズにできるようになったら、少し難しくなりますが16分音符でもやってみてください。

▲変化する足のフレーズにつられないようにアップ・ダウンをキープしよう

ハイハット(右手)を変化させる

ハイハットのパターンにバリエーションを持たせることができれば、ドラム・パターンに幅が出て、楽曲の表情を様々に変えていけるようになります。今度はスネアとバス・ドラムのフレーズを繰り返しのフレーズとして固定して、ハイハットのパターンを変えていく練習です。余裕のある人は左足のゴースト・ノートも加えてみてください。右手が変わるとテンポが乱れやすくなるので、メトロノームを使って注意しながら行いましょう。

ハイハットのパターンは、通常の8分音符のアップ・ダウン、8分音符の裏アクセント、4分音符、8分音符の裏打ち、左足を使っての裏オープン…などで行います(譜例4)。ハイハットだけではなく、ライド・シンバルでもやってみてください。

譜例4 慣れてきたら、つなげて4小節ずつ行うなど、チェンジ・アップ的な練習をしよう

4ウェイの練習はドラム・セットやスティックがなくてもできます。地道に両手両足を自在に動かせることを目指しましょう。

▲ドラム・セットやスティックがなくても練習できます

「8ビート」って言うのは日本だけ!?

初めて聞く人はビックリするかもしれませんが、「8ビート」や「16ビート」、さらにはジャズでよく使う「4ビート」という言い方は、日本人が作った和製英語です。英語圏で8ビートのことは「8 note rhythm」や「8 note feel」と言います。「8 note」とは8分音符のことで、8分音符を主体としたリズム(フィーリング)という意味です。「ビート」は「拍」という意味なので、英語圏で8ビートというと「8拍?」ということになってしまいます。もし外国人と音楽の話をしたり、海外に行くことがあったら気をつけましょう。

逆に日本人が8ビートを演奏する時には、「1、2、3、4」という4分音符しか意識していないことが多いとも言えます。しっかりと8分音符を意識することで、8ビートが上手になるかもしれません。

▲英語圏では和製英語に気をつけよう!

 

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