第3回 ワンランク上のメトロノーム・トレーニング

練習の時などに使用する「メトロノーム」は、自宅での個人練習にもバンドのリズム強化の練習にも使える、とても重要なアイテムです。ワンランク上のメトロノーム・トレーニングで、音楽に大切な「テンポ」や「グルーヴ」に強くなり、ベーシストとしてさらなる技術向上を目指しましょう。(文・山田潤一)

STEP1   メトロノームを「裏」に感じる

リズムには「表拍」と「裏拍」があります。表拍とはリズムを取った際の1、2、3、4の部分で、裏拍とはその間のことを言います。音楽的に言うと、8分音符を弾いた時の奇数を表拍、偶数を裏拍と呼びます。通常、メトロノームを使った練習ではクリック音を表拍と捉えて行うことが多いと思うのですが、今回はワンランク上のメトロノーム・トレーニングとして、裏拍と捉えて行うトレーニング方法を紹介します。裏拍を感じることで、リズムを細かく取れるようになり、演奏が安定します。

裏拍の取り方

実際に楽器で練習する前に、まずは裏拍に慣れるための練習をしましょう。メトロノームのテンポを♩=80ほどの速さに設定して、クリック音に合わせて「1、2、3、4」と声でカウントしながら、数字のちょうど「間」の場所に手拍子をしてください。1→手拍子→2→手拍子→3→手拍子→4→手拍子…といった感じです(譜例1)。しっかりと8分音符になっているかがポイントなので、連続した8分音符のフレーズを弾いていることをイメージしながら行ってください。体全体でリズムを感じられるように、メトロノームが鳴っている表拍に「足踏み」も付け加えるとさらに良いでしょう。

譜例1 「1 and 2 and 3 and 4 and…」と、裏拍部分を「and」と声に出して手拍子をしてみよう

次に、この感覚を忘れないようにしながら、手拍子が表拍、メトロノームが裏拍にくるように半拍ズラします。メトロノームを自分で「裏拍に感じる」ようにして、数字のカウントと手拍子が表拍にくるようにします(譜例2)。慣れるまでは大変かもしれませんが、頑張って挑戦してみてください。練習する時は、表拍に足と手拍子の両方でビートをしっかりと取り、メトロノームが鳴る裏拍は、手を開いて足を上げた状態になるように意識しましょう。自分が手を叩いてカウントする時に、メトロノームが鳴っていない状態であれば正解です。

譜例2 メトロノームと足を上げるタイミングが一緒になるように意識しよう

裏拍を取りながらベースを弾く

メトロノームの裏取りに慣れてきたら、ベースを使って練習します。まずは、3弦3フレットのCの音(ド)を、8分音符で♩=70~80ぐらいのテンポで弾いてみます。慣れないうちは意外と難しいものですが、足でリズムを取って、足を上げるタイミングがメトロノームと合うように意識しながら行ってください。練習時には必ずレコーダーなどで録音して、自分のプレイを聴き返しましょう。裏拍と自分が弾いている場所がズレていないか、しっかりと確認してください。

▲手拍子だけではなく、表拍は足踏みをしよう

さらに、裏拍にアクセントをつけたり、裏拍だけ弾いてみる…など、8分音符に変化をつけると、より効果的な練習になります。また、運指練習などの普段の基礎トレーニングにもぜひ取り入れてみてください。

 

STEP2   裏拍でのリズム・トレーニング

最近の楽曲は、曲中でリズムが変化したり、様々なジャンルの音楽が混ざっているアレンジが増えています。そういった多種多様なリズムに対応するためには、裏拍を感じながらのフレーズ・トレーニングが重要となってきます。裏拍を取ることに慣れてない人は、大抵の場合、演奏中の体の動きがぎこちなくなってしまいます。日頃、音楽を聴く時から裏拍を意識していくことも大切です。

有名な「Don’t think, Feel!(考えるな、感じろ!)」という言葉がありますが、裏拍を取ることも同様で、考えるのではなく「感じること」が大事です。最終的には、意識しなくても自然に裏拍を取れていることが目標です。

4分音符と8分音符の練習

では、メトロノームを裏に感じながら、実際にフレーズを弾く練習をしていきましょう。譜例3は4分音符だけの単純なフレーズですが、メトロノームを裏にして弾くとメトロノームと合うところがないので意外と難しいものです。ポイントは、足で表拍をしっかりと踏み、打点を作った上で裏を感じることです。

譜例3 4分音符。裏拍を感じながら弾こう

譜例4は8分音符のフレーズですが、2拍目と4拍目の表拍はシンコペーションなので演奏しません。しっかりと足で4分音符のリズムを踏んで、自分でビートを出すように意識しましょう。また、裏拍には常に音符があるので、自分の弾いているタイミングとメトロノームが一致するように心がけて弾きましょう。

譜例4 裏拍のメトロノームと合うように

16分音符の練習

16分音符になると少し難易度が上がります。まず譜例5は、16分音符の3つ目と4つ目を弾くフレーズになっていますが、この時も16分音符の3つ目はメトロノームと合う場所なので、しっかりと耳で合っているかを意識しつつ、声でドラムのハイハットのように16分音符を「タカツク、タカツク…」と口ずさみながら練習すると良いでしょう。これは16分音符の2つ目、3つ目、4つ目を弾く譜例6も同様ですが、休符から始まっているフレーズは、表拍をしっかりと体で取れていないとリズム自体が悪くなってしまいます。休符の部分を、少し弦を叩いてリズムを出す「タッチ・ミュート」をすると、テンポも安定して裏拍も取りやすくなると思います。

譜例5 「1、2、3、4」のビートを意識しよう

譜例6 16分音符を声に出しながら弾こう

普段、バンドで自分が弾いている曲なども、メトロノームを裏にして練習するとリズムの強化に非常に有効です。

▲「タッチ・ミュート」で休符を感じよう

一味違うメトロノーム活用法

メトロノームは、感じ方次第で様々なリズムに感じることができます。例えば、2拍目と4拍目にメトロノームを感じて練習すると、バック・ビートを感じてどっしりとした安心感のあるリズムのための練習になります。やり方は、メトロノームを楽曲の半分のテンポに設定して、それを2拍目と4拍目に感じて弾くだけです。ドラマーが叩いているスネア・ドラムのように感じながら弾いてみましょう。

また、「3連符の3つ目」や「16分音符の4つ目」にメトロノームの音がくるように感じたり、意外とシンプルに「1拍目にしか出さない」というやり方など、使い方のバリエーションは様々です。

メトロノームは、スマートフォンの無料アプリでも十分なので、皆さんもただテンポを出すだけではなく、一味違うメトロノーム・トレーニングに挑戦してみてください。

▲メトロノームの無料アプリ「Tempo Lite」

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