第2回 安定したバス・ドラムを目指そう

ドラムを演奏するには「足」を使います。特にバス・ドラムを踏む右足の安定はドラミングの安定を生み、バンド・アンサンブルの安定につながります。足は日常生活ではあまり細かい動きを要求されないので、まずは自分の思うように「フット・ペダル」をコントロールできるようになることが課題です。(文・辻 伸介)

STEP1   フット・ペダルの踏み方と練習方法

バス・ドラムの演奏には「フット・ペダル」を使用します。フット・ペダルは、各メーカーが様々なシリーズを出していますが、「フットボード」を踏むと「ビーター」がバス・ドラムのヘッドを叩く…という構造は同じです。スプリングの強さやビーターの長さなどが調整できるので、自分に合ったセッティングを探しながらペダリングの練習をしていきましょう。

フット・ペダルの踏み方

フット・ペダルの踏み方には、フットボードにかかとをつけたままつま先で踏む「ヒール・ダウン」(写真1)と、かかとを上げて踏む「ヒール・アップ」があります。ヒール・アップには「かかとを上げっぱなしにしておく」か「普段はかかとを下ろしておく」かの2通りの奏法があり、前者は「クローズ奏法」(写真2)、後者は「オープン奏法」(写真3)と呼ばれます。クローズ奏法は、ペダルを踏んだあともビーターがバス・ドラムのヘッドに当たったままになり、ずっと足に力が入っている状態なので、慣れないと疲れやすいかもしれません。オープン奏法は、踏んだあとに力を抜くので疲れにくくなりますが、しっかりと音を出せるようになるには少し時間がかかるかもしれません。どれが正解というものではありませんが、ロック・バンドでは大きな音が出しやすいヒール・アップ奏法がお勧めです。

写真1 ヒール・ダウン

写真2 ヒール・アップ。クローズ奏法

写真3 ヒール・アップ。オープン奏法

バス・ドラムの練習方法

ヒール・アップ奏法の場合、力ずくではなく足全体を落とすようなイメージで踏むことがポイントです。まずは、♩=60くらいのゆっくりなテンポのメトロノームに合わせて、バス・ドラムを4分音符で踏んでみましょう。太もも、膝、足首、つま先に余計な力が入っていないことを確認しながら行ってください。慣れてきたらスネアとハイハットを入れてリズム・パターンでやってみます。手と足がズレないように注意してください。録音して聴き返すとズレがよくわかります。

次は少し難しいですが、4分音符と4分音符の間、いわゆる「裏拍」に踏んでみます。上半身が足につられないように気をつけてください。どちらも無理なくできるようになったら、表拍と裏拍を交互に続けて踏んでみましょう(譜例1)。バス・ドラムのフレーズが切り替わる時に、リズムと体のバランスが崩れないように注意してください。

譜例1 ゆっくりなテンポから始めて、無理なくできるまで繰り返そう

 

STEP2   フット・ペダルの連打(ダブル)の踏み方と練習方法

シングル・ペダルで「ドドッ」と速く2回連打することを「ダブル」と言います。ダブルは様々な場面に使えて、聴いている側にも強く印象が残るドラマーの常套句の1つです。また、単なるフレーズとしてだけではなく、足の動きやペダル・コントロールの練習にもなるので、しっかりと練習してぜひマスターしましょう。

3種類のダブルの踏み方

ダブルの踏み方は、シングルの3種類の踏み方に対応して考えられます。シングルの踏み方はSTEP1を参照してください。

まず、ヒール・ダウンでつま先だけで踏む場合は、足首をコントロールして2回踏むだけですが、足首の柔らかさと筋力が必要です。ヒール・アップの2パターンのうち、かかとを上げたままのクローズ奏法では、足をフットボードの上を滑らせて2回踏みます。少し足首を固めてしまって、1打目をボードの手前で踏んで、2打目を奥に向かって足を滑らせてスライドするようにします。普段はかかとを下ろしておくオープン奏法の場合は、1打目はシングルと同じようにかかとを上げて親指の付け根あたりで踏み、2打目は足全体を落として踏みます。こちらは逆に足首をリラックスさせてスナップを利かせるように踏むのがコツです。

どの踏み方が正解、というわけではありませんが、シングルを踏む時の延長線上にある踏み方で練習をしていく方が、無理なくスムーズなペダリングになると思います。

▲まずは足だけで練習しよう

ダブルの練習方法

ダブルの練習は、しっかりと自分で2回踏むタイミングをコントロールできるようにするエクササイズが効果的です。どの踏み方であっても、最初から速く無理に行うのではなく、ゆっくりなテンポから練習して筋肉と神経に正しい足の動きを覚えさせましょう。

では、実際の練習方法ですが、まずはハイハットを4分音符で踏んでテンポをキープしながら16分音符の3つ目と4つ目にバス・ドラムを踏みます。「チッドドチッドド…」という感じです。そして、それとは別にもう1つ、ハイハットは4分音符のまま、3連符の2つ目と3つ目に踏むパターンを練習します。こちらは「チドドチドド…」となります。2通りのパターンがしっかりと踏めるようになったら、連続して交互に行います(譜例2)。フレーズの変わり目が乱れやすいので、特に注意しましょう。

譜例2 何となくではなく、しっかりと足をコントロールして2回踏めているかを確認しながら行おう

慣れてきたら上半身のスネアとハイハットも入れて、リズム・パターンの中で行ってみましょう。このエクササイズは、ちゃんと「2回踏んでいる」ことを意識しながら練習することが何よりも大事です。メトロノームをかけながら、♩=70くらいのテンポから始めて、徐々にテンポを上げていき、♩=130くらいまでを目標に、地道に頑張りましょう。

▲慣れてきたら上半身もつけてやってみよう

イスの座り方で変わる、ペダル・ワーク

ペダリングのポイントは、実はイスの座り方にあります。イスを低くして座ると、足をしっかりと上げてペダルを踏むので、ドスン!と大きな音が鳴りやすく、リズムも安定します。ただし、速いフレーズや連打は少し難しくなります。逆に、イスを高くして座ると、速いフレーズや連打は楽になりますが、重みのない1打になってしまいがちです。演奏するジャンルにもよりますが、イスの高さをいろいろ試してみてください。

また、足の付け根をイス前面のヘリあたりに来るように浅く座ると股関節の可動がスムーズになって、楽にペダルが踏めるようになると思います。はじめのうちはうまくいかなくて戸惑うことも多いと思いますが、それはドラマーならば誰もが通る道です。足の練習もしっかりとしていきましょう。

▲膝の角度、バス・ドラムとの距離なども重要

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