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第1回 スティック・コントロールがすべての基本

ドラムを叩く時には「スティック」を使います。どんなにリズム感が良い人やセンスのある人でも、スティックの扱いが悪ければ思うようにドラムは叩けません。ドラムの練習はスティック・コントロールの練習だとも言えます。レベルに関係なく、ドラムはスティック・コントロールを良くすることで上達します。(文・辻 伸介)
STEP1 チェンジ・アップ
ドラムの演奏は、一定のリズムの中でいかに様々なスティッキングができるかにかかっています。同じテンポの中で、いろいろな音符を連続して叩く練習方法が「チェンジ・アップ」という基礎的なトレーニングです。
メトロノームを使って確実に
メトロノームはドラマーの必需品です。スマートフォンの無料アプリでも構わないので、まずはメトロノームを用意してください。そして次に、スティックを持ってスネア・ドラムの前に座ります。本当は本物のスネア・ドラムの方が良いのですが、自宅で行う場合は騒音の問題もあるので、練習台や、あまりお勧めできませんが古本などでもOKです。ただ、スネア・ドラムとその他のものではスティックの跳ね返り加減が違うので、部活動の時はぜひ本物のスネア・ドラムで行ってください。ちなみにメトロノームだけあれば手拍子でもできるので、時間があればいつでもやりましょう。
写真1 親指と人差し指で支点を作って軽く握る(左)。なるべく手の甲を上にするように意識しよう
では、実際の練習方法ですが、まずメトロノームを♩=70ぐらいのゆっくりなテンポで出して、4分音符、8分音符、16分音符をそれぞれ練習します。スティッキングは、右左交互に叩く「オルタネイト・スティッキング」で行います。大切なのは、だいたいではなくメトロノームに正確に合っていることです。余裕があれば、メトロノームに合わせて4分音符でバス・ドラムを踏みながら行うとさらに効果的です。バス・ドラムがない時は足踏みだけでも大丈夫です。
この3つができるようになったら、3連符もやってみましょう。少し難しくなりますが、しっかりとテンポをキープしながらできるように頑張りましょう(譜例1)。
譜例1 チェンジ・アップの例。順番を入れ替えたりして自分でメニューを決めよう。Rは右手、Lは左手
4つのパターンをつなげる
4つのパターンが無理なくできるようになったら、すべてのパターンをつなげてみます。4分音符→8分音符→3連符→16分音符→3連符→8分音符→4分音符を1セットとして、1小節ずつフレーズを変えていきましょう。少なくとも10分以上は集中して何周も続けてください。ただ何となくやるのではなく、パターンの変わり目に注意してメトロノームにしっかりと合わせるように心がけましょう。
チェンジ・アップの練習に慣れてきたら、できる範囲でアレンジを加えてみましょう。例えば、テンポを少しずつ速くする、拍ごとの頭にアクセントをつける、手順を左右逆にする、6連符を入れる…などが効果的です。このような練習は、ドラムを演奏する上で大切な基礎になります。バンド練習やライブ本番前のウォーミング・アップとしても活用できるので、いつでも初心に立ち返って、このチェンジ・アップの練習を続けてください。
STEP2 3連符のアクセント移動
ドラミングには、繊細なスティック・ワークが要求され、「タップ」という非常に小さな音で叩くショットができることが大切です。アクセントとタップをきちんと使い分けるようになるためには、「アクセント移動」という練習が効果的です。
アクセントの位置を把握する
3連符の基本練習では、手順はずっと「右左右、左右左」のオルタネイトで変わりません。メトロノームを4分音符と捉え、まずは3連符の1つ目にアクセントをつけて叩きます。テンポは♩=80ぐらいからはじめてみてください。必ず右足で足踏みをしてテンポをキープすることと、アクセント以外はタップで叩くことを心がけましょう。
写真2 腕の上げ下げやスティックの軌道をゆっくり確認しながら練習しよう
慣れてきたら、テンポ、手順、足踏みはそのままにして、アクセントの位置を3連符の1つ目から、真ん中、3つ目…と変えていきます。3つのパターンが無理なくできるようになったら順番につなげてみましょう(譜例2)。タップが大きくならないように注意してください。
譜例2 3連符のアクセント移動。アクセント以外はできるだけ小さく叩いて音量差をつけよう
アクセントは、「アクセントをつけよう」とか「強く叩こう」などと思わずに、アクセントの前に「腕を上げる」意識を持ちましょう。高い位置からスティックが振り下ろされると自然にアクセントがつきます。
アクセントをタムへ移動
3連符のアクセント移動ができるようになったら、右手で叩くアクセントはフロア・タム、左手で叩くアクセントはハイ・タムへ移動するようにします。アクセント以外はスネア・ドラムをタップで叩きます。アクセントは腕をしっかりと上げてタムの中心をちゃんと叩いていること、タップの音量が大きくなっていないかを確認しながら行いましょう。スティック・コントロールの練習なので、フレーズの叩き分けができているかということよりも、アクセントとタップの使い分けや、アクセントの前に腕がしっかりと上がっているか、に重点をおきます。ゆっくりなテンポからはじめて、乱れなくできるようになったらテンポを徐々に上げましょう。
さらに、左足を4分音符で踏んで右足をアクセントに合わせる、手順を右左入れ替える…というように、自分でいろいろなメニューを考えて応用練習をしてみてください。これは、両手足をバラバラに動かす「4ウェイ」の練習にもなります。
練習する時は姿勢も大事!
スティック・コントロールで最も大事なことは、叩く時の「姿勢」です。上達の早さにも関わることなので、イスの高さ、スネア・ドラム(あるいは練習台)の高さと角度をきちんと調整しましょう。イスの高さは、ドラマーそれぞれで好みがありますが、初心者のうちは、高すぎず低すぎない、膝の角度が45度よりも少し緩やかなくらいで始めてみてください。スネアや練習台は、手前に少し傾けた方が叩きやすくなると思います。
何よりも重要なのが、全身がリラックスした状態で行うことです。「姿勢良く」と言っても、背筋をピン!と張る必要はありません。逆に、腰の緊張をとって、少しダラっとしているぐらいがベストです。経験者も常に良い姿勢で綺麗なスティキングができているかを、鏡の前で確認しながら練習しましょう。