軽音楽部 2.0

かつてはエレキ・ギターを持ち歩き、バンドを組んでいるというだけで不良というレッテルを貼られた時代がありました。若者は反体制を叫び、ロックは自由の象徴でした。学校教育とは真反対な存在であったロックやバンド。そんな時代をくぐり抜けて、ロックバンドを部活動の1つに加えることを成し遂げたベテランの顧問の先生方の功績はたいへん大きく、素晴らしく、ありがたいものだと思います。先生方の努力がなければ、今の軽音楽部の隆盛はなかったと言っても過言ではないでしょう。

現在、全国に約5000校ある高等学校の約2000校に軽音楽部があります(デジレコ・ジュニア編集部調べ)。多くの高等学校では部活動の1つとして軽音楽部が存在しています。「ロックは不良」という時代が終わったことはこの数字を見ればわかります。とはいえ、未だに残りの3000校には(表面的には)軽音楽部が存在しておらず、もしかするとそこにはまだ偏見があるのかもしれません。今や時代は令和。軽音楽部員の7〜8割が女子であり、真面目に練習している生徒がほとんどです。反体制の象徴であったロックではなく、純粋にバンド演奏を楽しむ世代です。そこで、改めて考えてみると、軽音楽部は社会に出てから役に立つスキルを磨く活動をしていることがわかります。

軽音楽部はバランスの取れた部活動です

軽音楽部は高校生の間で人気の高い部活動です。軽音楽部というと「音楽が好き」や「楽器演奏が楽しい」といった点が注目されますが、それだけではありません。バンドに大切なのは、「コミュニケーション」と「チームワーク」と「クリエイティビティー」です。軽音楽部は社会に出てから必要とされるこれらの能力をバンドや音楽を通して学ぶことができる部活動です。

コミュニケーション力を育む

バンド活動はメンバー同士で相談しないと何も進みません。軽音楽部の活動を通して、自分の意見を伝えたり、相手の意見を聞くことで「コミュニケーション力」や「協調性」を育むことができます。

チームワークを学ぶ

お互いの意見をぶつけ合い、お互いのことを知ることで団結力と仲間意識が生まれます。軽音楽部は文化部でありながら、運動部のような「チームワーク」と「責任感」を学ぶことができます。

クリエイティビティーを磨く

オリジナル曲を作るのはもちろんのこと、既存曲をコピーする際にも自分たちならではの工夫やアイデアを凝らして楽曲を組み立てていくことで、「クリエイティビティー」を磨くことができます。


そんな素晴らしい軽音楽部ですが、まだまだ認知度は低く、すべての高等学校に存在する部活動にはなっていません。軽音楽部を全国展開させるためには、次の段階に進むべきではないかと考えました。それが「軽音楽部 2.0」のコンセプトです。生徒たちは私たちとは違う価値観で音楽と向き合っています。次は我々、軽音楽部を取り巻く大人たちが今までの固定概念から脱却して、新しい未来を想像(創造)する番です。

軽音楽部 2.0 とは

軽音楽部を定義する

軽音楽部は部活動の1つですので、その行動規範は他の部活動と同じです。挨拶や礼儀はもちろん、時間厳守や学業などの生活態度が演奏技術より優先されるのは当然です。軽音楽部はプロ・ミュージシャンへの登竜門でもなければ、プロ予備軍の養成所でもありません。演奏がうまくなることが部活動の目的ではなく、仲間と共に協力し、競い合い、切磋琢磨することが大切であり、その際の副産物として演奏技術が向上するという考え方ではないかと思います。

部活動バンドを定義する

部活動として活動する「部活動バンド」と校外で趣味で活動する「高校生バンド」は似ているようで実態は大きく違います。軽音楽部は学校から認められた部活動の1つであり、「部活動バンド」はそこに所属しており、部室を与えられ、部費で機材を買い揃えることができます。従って、その行動規範は他の部活動と同じであるべきです。生徒指導の観点からは酒やタバコが常態化しているライブハウスなどに部員が出入りすることは望ましくなく、部活動バンドと高校生バンドが渾然一体として出演するコンテストやライブイベントなども他の部活動には例がないことを考慮すべきだと思います。

顧問の役割を定義する

楽器演奏やバンド経験がなくても軽音楽部の顧問ができるように、顧問は部活動の運営者として生徒指導を中心に行い、技術指導は上級生や外部指導員に任せるのがセルフ・ラーニング、アクティブ・ラーニングの観点からも良いと思います。教育の一環である部活動においては「魚を与える」のではなく、「魚の釣り方を教える」ことが大事です。自分で考える力を付けさせる。それを部活動を通して学ぶ姿勢が大切です。そういう意味で、(大人による)転ばぬ先の杖を用意する必要はなく、失敗も経験の1つと考えるべきだと思います。

各種ガイドラインを用意する

スポーツでは考えにくいことですが、軽音楽部は文化部であり、芸術系分野ですので、これまで日々の練習内容から指導方法、大会での審査基準や審査員の選出に及ぶまで、各県ごとにいろいろな定義やルールはあるものの、全国的な統一基準はありませんでした。音楽ですので、これが正解というものはありませんが、統一基準がないことには全国展開は難しいと思います。

大会のガイドライン
軽音楽部の目標の1つが大会であり、全国の高校生が同じ土俵で競い合うことを目指すのであれば、何よりもまずは共通した審査の基準や順位をつける方向性の統一が必要です。それは軽音楽部で学んで欲しいことと同じであるべきだと考えます。

大会審査基準を見る(pdf)

機材の標準化をする

顧問自身に楽器演奏やバンド経験がない場合、どんな楽器や機材を揃えれば良いかがわからないと思います。限られた予算の中でベストなものを揃えるのは難しいことです。一方、大会ではステージ上に高価な楽器や機材が並ぶことも少なくなく、そうなると多くの生徒にとっては初見のものが並ぶことになり、使い慣れていない楽器や機材では不利になる場合があります。大会で使う楽器や機材と普段使うものの差を少なくすると共に、楽器や機材の標準化がこれからは必要だと思います。

騒音問題を解決する

軽音楽部は音の出る部活動ですので、ともすると近隣への騒音問題やそれに起因した練習時間の不足が起きると思います。それらを一気に解決するのが、最新のデジタル技術を使ったサイレント・スタジオです。これを使えば、ボーカルの生声以外はほとんど音が出ず、会議室の横でも演奏することができます。また、一般教室で同時に複数のバンドが練習できるので、不足しがちだった練習時間の確保が容易になります。

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