Vol.81 東京都立鷺宮高等学校 軽音楽部

第81回目の訪問校は東京都立鷺宮高等学校です。西武新宿線の都立家政駅から徒歩3分のところに位置する同校の歴史は古く、1912年(明治45年)に豊多摩郡立農業学校(現:東京都立農芸高等学校)の附設実業女学校として創立。「挑戦」「協調」「信頼」「創造」を教育目標に掲げ、一人ひとりの個性を伸ばし、自己実現を図っていく生徒を育てることに主眼が置かれているそうです。早速、軽音楽部の様子を顧問の黒川珠世先生と関野俊樹先生に伺いました。


ー 軽音楽部の歴史を教えてください

黒川:私が着任したのは2015年です。1年前から顧問をつとめていらっしゃった、現在の副顧問である関野先生から引き継ぎ、主顧問になりました。顧問歴は今年で4年目です。本校の軽音楽部の歴史は長く、私が生まれる以前から部があったそうなので、あまり詳しいことはわからないのですが、創部は1969年だと思います。1970年代に「日本3大ギタリストの1人」と謳われた、四人囃子のボーカル&ギターの森園勝敏氏も在籍していたそうです。とても長い歴史のある軽音楽部だと思います。

ー 現在の部員数と男女比を教えてください

黒川:1年生が52名、2年生が21名、3年生が20名と現在の総員数は93名です。割合で言うと、6:4くらいで女子部員が多いのですが、昨年度に卒業した学年は男子部員が6名だけと女子の数が圧倒的に多かったです。その時と比べると、今年は男子の部員が少し多いと思います。

ー 部員数の推移はどのような感じですか

黒川:今年は昨年度よりも少し増えました。

関野:4年前は120名の部員がいたのですが、その後は減少傾向にありました。今年は部員数が回復したように思います。

ー 新入部員の募集方法や入部するための規定があれば教えてください

黒川:新学期早々に行う「部活動紹介」の時間にライブを開催し、部員を募ります。その後、「入部説明会」を行い、校内とライブハウスで「新入生歓迎ライブ」を開催します。本校では入部後にバンドを組み、どんなに演奏がモタついてしまったとしても、人前で1曲を通して演奏する「見極めオーディション」を実施しています。最後まで完奏することができた時点で、正式に入部が認められることになります。

ー 機材の購入時期や購入方法を教えてください

黒川:一通りの楽器や機材は揃っているので、その年度で買い足したいものなどを幹部交代の時期に部員同士で話し合い、1学期中に購入しています。主にインターネット上のショッピング・サイトで安価なものを探し、購入することが多いです。

ー 軽音楽部の予算や部費について教えてください

黒川:学校からは東京都高等学校軽音楽連盟への加盟費や大会への参加費用、消耗品の予算などをいただいています。部員からは半期で4,000円の部費を徴収しています。昨年度までは年間で6,000円としていたのですが、部員数の減少と実際に使う頻度が多いことから、今年度から増額とさせていただきました。

ー メンバーの決定方法はどのようにされていますか

黒川:毎年、ゴールデンウィークあたりに自由にバンドを組ませています。メンバーが足りなかったり、うまく組めなかった部員に対しては顧問や先輩からのアドバイスが入ります。場合によっては、担当するパートが第2希望のものになってしまうこともあります。原則として、一度、結成したバンドは引退まで活動するように指導していますが、メンバーの変更やパート・チェンジが行われることもあります。

ー 普段の練習時間はどのくらいありますか

関野:平日は毎日です。土曜日は授業があるので、その後に活動しています。平日は授業が15時10分までなので、15時15分頃から部活動が始まり、18時に終えています。

ー 練習場所はどのくらいありますか

黒川:視聴覚室と普通教室(1-1、1-2)、放送室と講義室の5ヶ所です。PAやアンプ、ドラムセットなどの楽器や機材は揃っている方ですが、それぞれ4セットずつしかないので、1ヶ所は個人練習の部屋としています。

ー 練習場所の利用方法はどのように決めていますか

黒川:定期考査後にミーティングをし、振り分けを部員たちに決めさせています。スケジュールは大体、2ヶ月ごとになります。前半と後半に分けているので、1バンドあたりの練習時間は1時間ほどで、両枠とも同じバンドが入ることもあります。1つのバンドが学校で練習できるのは週に一度くらいなので、もっと入りたい時は外部のリハーサル・スタジオで練習しています。

ー 貴校らしいユニークな練習メニューはありますか

関野本校らしいかはわかりませんが、伝統になっているのはゴールデンウィーク前後に行う「スタジオ講習会」です。新入生を迎え、初めて楽器に触れる部員も含め、全員でパート練習をしています。最後に、大きな部屋に全パートの部員が集合し、4つくらいのコードでできる曲を回し、ずっとその1曲を演奏します。人気のパートは年度によって異なり、ボーカルが不足している年やドラム希望者のいない年もありましたが、今年の人気パートはドラムでした。

ー 校内での演奏会はどのくらいありますか

黒川4月の新入生歓迎ライブから始まり、1学期末の7月にサマーライブ、9月の文化祭と、秋冬の中学生を対象としたオープンキャンパスでのミニライブ、2学期末にクリスマスライブ、3学期末に野方区民ホールをお借りしてスプリングライブを行います。その合間に他校さんとの合同ライブを開催しています。

ー 近隣校との交流はありますか

黒川:特に仲良くしていただいているのは東京都立神代高等学校さんです。合同での「見極め会」を行ったり、引退ライブに呼んでいただいたりしています。他には、東京都立桜町高等学校さんや東海大学付属高輪台高等学校さんともお付き合いがあります。

ー 今後はどのような部活動にしたいですか

黒川:「軽音楽部に入部してよかった」と思って卒業してくれれば何よりです。割と厳しい側面もあるので、高校生活で燃え尽きてしまうのか卒業後に楽器の演奏を止めてしまう部員もいるのが悲しくて。厳しくもありつつ力を抜くところは抜いて「音楽は楽しい」と思いながら卒業し、その後も続けてほしいと考えています。

ー 軽音楽部のモットーやスローガンはありますか

黒川:「鷺ロックは鳴りやまない」というのが部員たちが愛着を持っているスローガンです。逆に言うと、「信頼を失うと簡単に鳴りやんでしまう」ということで、レベル向上や生活指導につなげています。

 また、1年次はボーカルパートのみで活動することを禁止し、何かの楽器を演奏するように指導しています。バンドが解散してしまった場合、ボーカルのみではほかのバンドに加入することが難しいのが理由の1つです。それから、早い段階でオリジナル曲を作らせているので、その際に楽器を弾けたほうが良いと考えています。

ー 指導方針や禁止事項を教えてください

黒川:基本的に「自主自律」という観点で指導しており、部長を中心に部員主体で取り組ませています。代々先輩から後輩へと楽器の取り扱いやPAの知識などを伝達していく方式です。

関野:学校教育の一環としての活動ですので、生活面である挨拶や遅刻に関すること、「赤点をとるな」といった指導を行っています。

ー 顧問としての苦労や、やりがいを教えてください

黒川苦労の1つは学校と部員との板挟み状態になってしまうことです。合宿の実施やライブの会場や時間に関してなど、部員たちには「やりたい」という意欲があり、保護者の方々からも「やらせてあげたい」という要望があるにもかかわらず、学校の許可が下りないと開催できない点です。

関野カリスマ顧問である西森先生と荒木先生の後を引き継ぎ、素人の私が顧問を務めることになったので、「この部活動を衰退させないようにしなければ!」と思い、何とか1年間、踏ん張ってきました。その翌年に黒川先生が主顧問になってくださったので、いろいろなご苦労があると思います。

黒川本校の軽音楽部には歴史があり、多くの方々に注目していただいており、中には「鷺宮高校の軽音楽部に入りたかった」という一心で、自宅から2時間かけて通学している部員もいます。そういう部員の気持ちや保護者の方々の期待を考えると大変な部分もありますが、やはり3年生が引退を迎え、軽音楽部を去っていく時の表情を目の当たりにするとパッと気持ちが晴れ、顧問としてのやりがいを感じます。

ー 軽音楽部の次の目標を教えてください

黒川:本校は都立高校ですので、数年ごとに顧問が異動しますが、顧問が代わっても(カリスマではなくても)先輩から代々受け継いできた伝統を守り、さらにやるべきことは何かを自分たちで考えて発展させていけるような仕組みを作りたいです。

ー デジレコ・バンド・クリニックを受講した感想を教えてください

黒川正直なところ、部員たちは「指導される」という面で、あまり乗り気ではありませんでした。「自分たちはできている」という自負があったのだと思いますが、今日は講師の先生方に基礎からきちんと教えていただき、部員たちは「目から鱗」状態でした。フランクな感じで接していただき、クリニックの雰囲気もとても良かったです。ありがとうございました。

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