エフェクター入門講座:サウンドに奥行き感や浮遊感を与える「空間系」

ギターのサウンドを様々に変化させるエフェクター。イメージ通りの音を作るにはどんなエフェクターがあり、どんな特徴があるのかを知っていなくてはいけません。このコーナーではコンパクト・エフェクターの定番ブランドであるBOSSを例に、エフェクターの基礎を学んでいきましょう。今回はギターのサウンドに奥行き感や浮遊感を与えることができる定番エフェクト「空間系」を見ていきます。(2014/9/DiGiRECO.JR VOL.4 掲載)

DELAY

DD-7 Digital Delay

歪み系エフェクターに次いで、ギタリストが大好きなディレイ。ギター・ソロやクリーン系音色のアルペジオにかけたりと、その音色には何とも言えない気持ち良さがあるものです。そんなディレイを簡単に言うと、山びこ効果を生み出すエフェクターです。

山びこは声が山や谷に反射/反響して遅れて返ってくる現象です。声を出してから一定時間遅れて自分の声が聞こえる…その時間差がディレイの正体です。では、実際にはどのようにすれば音の遅れを生み出せるのでしょうか。その答えは簡単。鳴っている音をレコーダーに録音しておき、一定時間後に再生すれば良いのです。

しかし、昔は「録音」自体が手間のかかる行為。ディレイ効果を生み出すためにテープ・デッキを2台用意する必要があるほか、何度も繰り返してディレイさせるためにディレイ音を何度も録音して…と、気軽に使えるものではないほか、ライブなどでは再現することができないテクニックでした。

そんな中、持ち運び可能なディレイ・マシンとして1970年代に登場したのが、RolandのRE-201スペース・エコーというモデルです。現在もツイン・ペダルとして復活していることからもわかる通り、そのサウンドはプロアマ問わず多くのギタリストを魅了し、定番モデルとなりました。ちなみに、このRE-201はアナログ・テープに音を記録するタイプで、定期的なメンテナンスが必要でした。

その後、技術の進化に伴って発明されたBBD素子の登場で、ディレイは飛躍的に進化したのです。BBDとは前号で紹介した「コーラス」などにも使われていたパーツで、音を遅らせることのできる画期的な回路でした。こうして生まれたBBD素子で作られたディレイは現在ではアナログ・ディレイと呼ばれ、その特有のサウンドから高い人気を誇っています。

そして、デジタル技術が進化したことで。ディレイもデジタル化を果たしました。テープやBBD素子ではなく、音声をデジタル化してメモリに保存するという形式になったのです。デジタル化したことで、ディレイ・タイム…つまり、遅らせることのできる時間が飛躍的に向上。初期のアナログ・ディレイでは最長300msec程度だったのに対して、現行のDD-7では6.4秒という比較にならないほどのディレイ・タイムを可能にしたのです。

DD-7には最新のテクノロジーが惜しげもなく使用されており、先述のロング・ディレイを活かした壮大なサウンドからアナログ・ディレイの名機DM-2の特性をモデリングした温かみのあるサウンドやモジュレーション系まで、8種類のモードを搭載。ありとあらゆるディレイ・サウンドを瞬時に切り替えて使える高性能なモデルです。また、ディレイ・タイムをペダル操作で指定できるテンポ入力や外部ペダルによるパラメーターのコントロール、最大40秒のループ機能と、圧倒的なパフォーマンスを誇ります。

REVERB

PH-3RV-5 Digital Reverb

ディレイが音を遅らせることで奥行きや厚みといった空間を演出していたのに対して、演奏する部屋や環境による空間表現を行うエフェクトがリバーブです。

リバーブは音に残響を与えるのが主な役割です。「残響」と言うと難しく聞こえますが、身近な例では、お風呂で鼻歌を歌った時を思い出してみてください。天然のエコーが働き、気持ち良く歌えますよね。これはお風呂場という環境や構造によって残響が付けられたからです。このように音はそれを鳴らす部屋によって印象が大きく変わるのです。

その空間の残響を意図的に生み出せないか…という発想で作られたのが「リバーブ」。言わば、部屋の特性を疑似再現しようとしたわけです。ディレイであれば一度音を録音して遅れて鳴らせば良かったのですが、リバーブはそうはいきません。そこで生み出されたのが、リバーブ専用の部屋を作るという発想でした。コンクリートに覆われた部屋の中にスピーカーとマイクを設置し、スピーカーの音をマイクで収録して残響を得ていたのです。  次に生まれたのが、鉄板の箱の中に薄い鉄板をスプリングで吊したプレート・リバーブです。鉄板をスピーカーのように振動させ、その振動をピックアップで拾う…という形式でした。

1960年代に入ると、ギターにもリバーブをかけることが一般的となり、アンプに内蔵されるようになります。それがスプリング・リバーブと呼ばれるもので、スプリングを振動させ、その振動をピックアップで拾うという仕組みでした。サーフ・サウンドやブルースなどでよく使われる定番の音色と言えます。

そんなリバーブがエフェクターとして登場するのはデジタル技術が発達してからです。ちなみに、BOSSは1987年にRV-2というモデルを発売しています。当時としては高価なペダルでしたが、その性能に多くのギタリストがこぞって使い始め、それがキッカケとなってコンパクト・エフェクターとしてのリバーブが定番アイテムになっていきました。

RV-5を代表とするBOSSの現行リバーブはレコーディング・スタジオで使われるような高い品質のリバーブをコンパクト・エフェクターとして再現している点が特徴で、PLATE、HALL、ROOM、SPRINGといった往年の定番サウンドからGATE、MODULATEのようにアグレッシブでユニークな効果まで6種類のリバーブ・モードを搭載しています。スプリング・リバーブでは、バネ同士が干渉し合って発生する独特のサウンド変化もモデリング技術を使うことで忠実に再現。あらゆるリバーブ・サウンドを1台で使い分けることができます。また、ステレオ入出力に対応しているので、ギターとアンプの間に使うだけでなく、アンプのセンド/リターンに接続すれば立体感があり、リッチでハイクオリティーな残響を簡単に得ることができます。

他にもある「空間系」エフェクター

DD-3 Digital Delay

3段階のディレイ・タイムのモード切替に加え、12.5ms〜800msまで連続可変に対応した本格ディレイとしてロングセラーを続ける定番モデル。本格的な機能を備えながらもスピーディーに設定できる点も人気の理由です。

CH-1FRV-1 Fender Reverb

独自のCOSM技術によって「最高のスプリング・リバーブ」と世界中のギタリストから愛され続けている「’63 Fender Reverb」を忠実にモデリング。真空管回路とスプリングによる、華やかで温かみのある独特のサウンドをすぐに得られます。

CEB-3TE-2 Tera Echo

ディレイともリバーブとも異なる、新感覚の広がりと動きを生み出すペダル。独自のMDP技術によって、原音を邪魔することなく印象的な空間表現が可能で、他のエフェクターでは得ることのできない豊かなエコー効果が魅力。

RT-20DD-20 Giga Delay

ツイン・ペダル・シリーズのDD-20は、スタジオで使われるようなラック・マウント・タイプのディレイに匹敵する音質と機能を備えた高性能リバーブ・ペダルです。最長23秒という驚異的な超ロング・ディレイを実現し、それを活かす11種類のモードを搭載。自然な残響から印象的なサウンドまで、あらゆるディレイを現実のものとしています。スイッチ付きのエンコーダーやLCDディスプレイにより、素早いセッティングが可能です。

RE-20 Super Echo

1974年に発売され、今なお多くの愛用者を持つテープ・エコーの歴史的モデル、RE-201のサウンドをリアルに再現。実機同様に12種類の残響効果を装備し、最新のDSPチップとCOSMテクノロジーを組み合わせることで、RE-201特有の温かみのあるエコー・サウンドをリアルにモデリング。最長6秒のロング・モードを含む2つのディレイ・タイム・モードを切り替えるなど、ユニーク名パフォーマンスも行えます。

BOSS HISTORY

ギタリストなら誰もが一度は使ったことがある…そんなエフェクター界の定番ブランド、BOSS。ここで、その歴史を振り返ってみましょう。

1976年、BOSSは楽器メーカーであるローランドのギター・エフェクター・ブランドとして登場しました。その第1弾製品は、当時から高い人気を誇っていたJC-120のコーラス部分を抜き出した「CE-1」というペダルです。翌年の1977年にはコンパクト・エフェクター・シリーズを発売。その第1弾としてオーバードライブのOD-1、フェーザーのPH-1、スペクトラムのSP-1という3モデルが登場しました。これによって、「コンパクト・エフェクター」というカテゴリーを切り開いていくことになります。

OD-1の登場から現在に至るまで、筐体のデザインが一切変わることのないBOSSのエフェクターには、多くの「世界初」が隠されていることをご存じでしょうか。まず、エフェクトON/OFF時にスイッチのノイズが発生しない「電子スイッチ」の採用です。そして、コンパクト・エフェクターとしては初となる外部電源駆動。さらには、ネジでスイッチ部分を開けるだけで瞬時に電池交換が可能で、電池残量をランプで確認できる…など、現代のコンパクト・エフェクターでは当たり前の機能を初めて商品化したのがBOSSだったのです。

その後も時代のニーズにマッチし、常に進化を遂げてきたBOSSのコンパクト・エフェクター・シリーズは、なんと合計1,350万台を超えるリリースを記録。音作りに欠かせない存在として世界中のプレイヤーから愛され続けています。定番モデルから先進テクノロジーを採用した次世代モデルまで、豊富なラインアップでギタリストが理想とするサウンド・メイクをサポートしてくれます。

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