エフェクター入門講座:サウンドを揺らして彩り豊かに「モジュレーション系」

ギターのサウンドを様々に変化させるエフェクター。イメージ通りの音を作るには、どんなエフェクターがあり、どんな特徴があるのかを知っていなくてはいけません。このコーナーでは、コンパクト・エフェクターの定番であるBOSSのエフェクターを例に、エフェクターの基礎を学んでいきましょう。今回は、ギターのサウンドを揺らすことで楽曲に彩りを与える「モジュレーション系」を見ていきます。(2014/6/DiGiRECO.JR VOL.3 掲載)

CHORUS

CE-5

「モジュレーション系」と呼ばれるエフェクトの中で、一番身近で使用頻度が高いのは、やはりコーラスではないでしょうか。変調という意味を持ったモジュレーション(英:modulation)・エフェクトは、音を「揺らす」ことで独特の効果を得るエフェクターです。音のどのような要素を揺らすかによって、エフェクターが区別されているのですが、コーラス・エフェクトが揺らすのはピッチ(音程)。ギターの元の音に、音程を少しだけズラした音を重ねることで、分厚いサウンドを作り出しています。

そんなコーラスですが、実はBOSSとは切っても切り離せない関係にあります。どういうことかというと、何を隠そう、世界で初めてコーラス・エフェクターを商品化したのが、BOSSブランドを展開するローランド社なのです。そのモデルとは、皆さんもご存じ、「ジャズコ」の愛称でお馴染みのJC-120というギター・アンプです。世界初のコーラスはエフェクターではなく、アンプの機能の1つとして登場したのです。

コーラスの仕組みは、短いディレイのディレイ・タイムを変化させることで音程を変化させる、というシンプルなもの。デジタル・ディレイを持っている人はフィードバックのつまみを多めに設定し、音を出しながらディレイ・タイムを動かしてみてください。音程が変わって聴こえませんか。エフェクターの中では、このようにディレイ・タイムを周期的に変化させることでコーラス効果を得ているのです。

JC-120で大成功したコーラス・エフェクトは、CE-1というモデルで単体エフェクターとして登場します。BOSSの現行モデルはCE-5…。つまり、CEシリーズ5世代目のモデルであり、ギタリストから「定番」として愛され続けているのです。

CE-5では、世界中のギタリストを魅了したCE-1のマイルドで爽やかな効果はもちろん、低域と高域の質感をコントロールできる2バンドのフィルターを装備したことで、より多彩なコーラス・サウンドを得ることができます。

PHASER

PH-3

コーラスは音程を揺らすことで分厚いサウンドを得るエフェクトでしたが、フェイザーはどうでしょうか。そのシュワシュワとしたサウンドを聴いたことがある人は、コーラスとはまったく違った印象を持つはずです。

BOSSのラインアップの中ではフェイズ・シフター(Phase Shifter)と呼ばれていますが、これはフェイザーという言葉が登場する前から使われていた呼び方。エフェクターの種類や効果は同じです。Phase Shifterという言葉を訳すと、「位相(Phase)をズラす(Shifter)」という意味になりますが、そもそも位相とは一体何でしょうか。

位相とは、一言で言うと、音と音が干渉し合ってサウンドに変化が生じてしまう現象のこと…と言ってもイメージしにくいと思うので、少し詳しく見ていきましょう。

音とは空気の振動で、大気中の波として耳に伝わってきます。波を絵で描いてみると、高いところと低いところができ、ちょうど山のようになりますよね。この状態で、もし同じ波を持つ2つの音をタイミングをズラして鳴らしたらどうなるでしょうか。山の高いところ同士がぶつかれば山の高さは倍になりますし、高いところと低いところがぶつかると、お互いに打ち消し合い、ちょうどグラフィック・イコライザーのブーストとカットを交互に設定したような状態になります。これが位相のズレと言われる状態で、原音と合わせて鳴らすことで特有のシュワシュワとしたサウンドを生み出すのがフェイザーというエフェクターの正体です。よくわからない!という人は、理系が得意な友達に聞いてみてください。

BOSSのPH-3は、位相を変化させる位相器を4/8/10/12段の4種類から選択可能なフェイザーの最新モデル。この段数(ステージと呼ばれることもあります)が大きくなればなるほど、うねりの深いエフェクト効果を得ることができます。さらに、連続的な上昇感/下降感が得られるRISE/FALLなど、強烈なフェイズ・サウンドを自在に生み出すことができます。

FLANGER

BF-3

3つ目はジェット・サウンドを生み出すフランジャーです。初めてフランジャー効果が使われたのは、1966年に発表されたビートルズの名盤「リボルバー」だと言われています。収録曲の多くで、コーラスのような厚みのあるサウンドを聴くことができますが、これがフランジャーの元祖です。

当時のレコーディングは今のようにパソコンのハードディスクではなく、アナログのテープに録音していたのですが、2台のテープ・レコーダーを微妙にズラして再生することで、このようなサウンドを作っていました。こういった手法をADTと呼ぶのですが、さらにビートルズの音源は片方のテープのリール部分に手を触れ、無理矢理テープに回転ムラが出るように回していたのです。これを正常に回転しているテープの音と合わせると…。短いディレイが変化してピッチに揺れが生じ、独特のフランジャー・サウンドが生まれるという仕組みです。テープ・リールの「縁」を英語でFlange(フランジ)と呼び、それがFlangerというエフェクターの名前の由来になっています。

ピッチを変化させるというこの仕組み、コーラスと非常に似ていますよね。しかし、実際に出てくる音は別モノ。これはディレイ・タイムがコーラスよりも短く設定され、さらにピッチを変化させた音を再度インプットに戻して、繰り返し効果を発生させる「フィードバック」という回路が使われているからです。

BOSSの現行モデルであるBF-3は、フランジング効果の深さやステレオ接続時に音を左右に振って回転感を多く演出する、ペダルを踏んでいる間だけフランジャー効果をかける…など、多彩なモードを搭載。ジェット・サウンドはもちろん、変わった質感のコーラスのようにしたりと、セッティング次第であらゆるフランジ・サウンドを生み出すことができます。

他にもある「モジュレーション系」エフェクター

TR-2

規則的に音量を揺らすことで、独特のトレモロ効果を生み出すのがTR-2です。TR-2ではビンテージ・アンプのように滑らかなトレモロから機関銃のように過激なスイッチング奏法まで、簡単に再現することができます。

CH-1

CE-5のコーラスとはまた違った、高域まで音抜けが良くて、シャープなサウンドが得られるのがCH-1です。空間合成方式を採用しており、より広がりのあるサウンドと自然な立体感はファンキーなカッティングに最適です。

CEB-3

BOSSならではのコーラス・サウンドを受け継いで、ベース用に最適化されたモデルです。全帯域にコーラス効果をかけるだけでなく、ロー・フィルターによって倍音成分のみにかければ、ライトな効果を得ることができます。

RT-20

ツイン・ペダル・シリーズのRT-20は、ロータリー・サウンドを忠実に再現したモデル。ロータリー・サウンドは、箱の中でスピーカーを回転させることで独特のサウンドを得られるエフェクトで、特にオルガンには欠かせない存在。そのサウンドはギターにも最適です。BOSS独自のCOSM技術で、伝統的なサウンドからUni-Vまで、4種類のロータリー・サウンドを完全再現。自分だけの新たなサウンドも簡単に生み出せます。

SL-20

入力した音をビートに合わせてカットし、スピード感溢れるグルーヴ・サウンドを演出するスライサーというエフェクトのサウンドを追求したのがSL-20です。SL-20は8分音符、16分音符、3連符でスライスするオーソドックスなものから、和音弾きからメロディアスでパーカッシブなシーケンス・フレーズを生み出すユニークなものまで、50種類が用意されています。個性的、かつ印象的なサウンドを求めるギタリストに最適です。

BOSS HISTORY

ギタリストなら誰もが一度は使ったことがある…そんなエフェクター界の定番ブランド、BOSS。ここで、その歴史を振り返ってみましょう。

1976年、BOSSは楽器メーカーであるローランドのギター・エフェクター・ブランドとして登場しました。その第1弾製品は、当時から高い人気を誇っていたJC-120のコーラス部分を抜き出した「CE-1」というペダルです。翌年の1977年にはコンパクト・エフェクター・シリーズを発売。その第1弾としてオーバードライブのOD-1、フェーザーのPH-1、スペクトラムのSP-1という3モデルが登場しました。これによって、「コンパクト・エフェクター」というカテゴリーを切り開いていくことになります。

OD-1の登場から現在に至るまで、筐体のデザインが一切変わることのないBOSSのエフェクターには、多くの「世界初」が隠されていることをご存じでしょうか。まず、エフェクトON/OFF時にスイッチのノイズが発生しない「電子スイッチ」の採用です。そして、コンパクト・エフェクターとしては初となる外部電源駆動。さらには、ネジでスイッチ部分を開けるだけで瞬時に電池交換が可能で、電池残量をランプで確認できる…など、現代のコンパクト・エフェクターでは当たり前の機能を初めて商品化したのがBOSSだったのです。

その後も時代のニーズにマッチし、常に進化を遂げてきたBOSSのコンパクト・エフェクター・シリーズは、なんと合計1,350万台を超えるリリースを記録。音作りに欠かせない存在として世界中のプレイヤーから愛され続けています。定番モデルから先進テクノロジーを採用した次世代モデルまで、豊富なラインアップでギタリストが理想とするサウンド・メイクをサポートしてくれます。

関連記事

ページ上部へ戻る