エフェクター入門講座:ギター・サウンドの一番のこだわりポイント「歪み系」

ギターのサウンドを様々に変化させることができるエフェクター。イメージ通りの音を作るには、どんなエフェクターがあり、どんな特徴があるのかを知っていなくてはいけません。このコーナーではコンパクト・エフェクターの定番ブランドである「BOSS」を例にして、エフェクターの基礎を学んでいきましょう。今回はギタリストなら一番のこだわりポイントになると言える「歪み系」についてです。(2014/3/DiGiRECO.JR VOL.2 掲載)

FUZZ

FZ-5

いわゆる「歪み系」と呼ばれるエフェクトの中で、最も激しい歪みを得られるのがファズです。FUZZという単語は「毛羽立った」という意味で、その名の通りに非常に刺激的なサウンドが特徴です。そんなファズは歪み系エフェクターの元祖であり、その歴史は1960年代まで遡ります。

今はエレキ・ギターと切っても切り離せない関係にある「歪み」サウンドですが、当時は「エフェクター」というものがなく、ギターはクリーン・サウンドが当たり前。アンプはすべて真空管でしたが、最近の真空管アンプのように歪ませて使うのではなく、クリーンのまま音量だけを大きくして使われていたのです。今では考えられないことですが、ほんの50年前までは「歪まないことが良いこと」と考えられていました。

そんな中、ボリュームを上げていくと音が歪むアンプが登場したことがキッカケとなり、歪みをギター・サウンドの一部として積極的に取り入れるギタリストたちが登場します。クリーンなサウンドが当たり前の時代に、歪んだロックなギター・サウンド…さぞ画期的に映ったことでしょう。すると、もっと強力な歪みを得たい!と考えるギタリストが増えてくるのは当然です。その要望を叶えるために、アンプの歪みを増やすためのエフェクターとして考案されたのが「ファズ誕生」のキッカケです。

その構造はいたってシンプルです。直列につないだ増幅器で音を大きくし、「クリッパー回路」という回路を使って振幅を制限…つまり、波形の大きい部分をカットし、歪みを得るという仕組みになっています。このクリッパーに使われる素材には古くはゲルマニウムやシリコン、ダイオードなど年代やモデルによって様々で、これがファズのキャラクターを生み出しています。  このFZ-5は、独自のCOSMモデリングによって3つの定番ファズ・サウンドを完全再現。歴史を作ってきたあらゆるファズ・サウンドを1台で再現します。

OVERDRIVE

OD-1X

ファズから始まった歪みの歴史。次第に、オーバードライブやディストーションといったお馴染みのエフェクターが登場してきます。「歪み系エフェクター」というとオーバードライブ、ディストーション、ファズと大きく3つの種類に分類されることが多いですが、実は音を歪ませる仕組み自体は3つともほとんど同じということが言えます。構造的な違いよりも、作られるサウンドのイメージで使い分けているケースが少なくないようです。

オーバードライブはその名の通り、真空管アンプを過大入力した時に得られる歪みをエフェクターとして、外部で再現するのを目的に開発されています。そのため、歪み系エフェクターの中では最もゲインが低く、アンプのようにナチュラルな演奏感が得られる点が特徴と言えます。

では、なぜアンプで歪ませることができるのにもかかわらず、エフェクターとして歪みを再現する必要があったのでしょうか。その答えはアンプの構造にあります。今のアンプにはマスター・ボリュームが付けられており、高いゲインを小さな音量で鳴らすこともできますが、当時のアンプは1ボリュームのみ。心地良い歪みを得るためにはアンプの音量を相当大きくする必要があったのです。そこで、小さな音量でも真空管アンプの歪みを再現できるオーバードライブが求められるようになりました。

このOD-1XはBOSSのコンパクト・エフェクター第1弾として発売され、オーバードライブの名機として中古市場でも高値で取引されている「OD-1」の名を受け継いだ最新モデル。MDPという独自技術によって、コード弾きに最適な透明感のあるクリアさと、リード向けの太くて芯のあるサウンドを両立しています。しかも、どんな帯域でプレイしてもピッキングの強さに応じて自然なコンプレッション感が得られるという、従来のオーバードライブの弱点を克服した注目の1台です。スムーズでナチュラルなドライブ・サウンドを味わうことができます

DISTORTION

DS-1X

 最後はディストーションです。先述の通り、音を歪ませる基本的な仕組みはファズやオーバードライブと変わりありません。しかし、Distort(歪ませる)という名前からもわかる通り、より激しい歪みを目指したエフェクターがディストーションなのです。

登場時期はオーバードライブと同時期のため、誕生の背景も似ていますが、ディストーションが登場した1975年頃になると、「ジャズコ」の愛称でお馴染みのRoland JC-120に代表されるソリッドステート・アンプが登場します。ソリッドステート・アンプは真空管アンプとは異なり、ゲインを上げても自然なドライブを得ることはできません。そこで、アンプの前段で音を歪ませたい!という声に応えるかたちで登場したのです。  また、アンプで歪ませる場合は必然的に音量を大きくする必要がありましたが、エフェクターで歪ませることでアンプの音量を一定に保てる…つまり、「曲中でクリーンと歪みを切り替えても音量が変わらない」というメリットもあったようです。今のようにアンプに複数のチャンネルがあるわけではなかったので、曲中で音を切り替えるのは大変なことでした。

1978年に登場したDS-1は、今なお販売が続けられている超定番モデルです。「国産ディストーションの元祖」と言っても過言ではなく、その名を受け継いだ次世代のディストーションとして登場したのが、このDS-1Xです。OD-1Xと同様、BOSS独自のMDP技術が使われており、激しく歪ませたセッティングでも1音1音が潰れることなく、分離感のある響きを得られる点が特徴です。また、歪み系ペダルの泣きどころであるノイズも最小限に抑えられているのもポイント。プレイする帯域にかかわらず、しっかりとした歪みと音の存在感や解像度、レスポンスを兼ね備えた、まさに理想的なディストーション・サウンドを得られる1台です

他にもある「歪み系」エフェクター

OD-3

綺麗な倍音と粘りのあるサステイン、図太さを兼ね備えたオーバードライブ

SD-1

直系の非対称オーバードライブ回路を採用し、甘くマイルドな歪みを実現

BD-2

クリーンから心地良い圧縮感のサステインまでを表現するオーバードライブ

OS-2

オーバードライブとディストーションをブレンドし新たな歪みを創出するペダル

BC-2

コンボ・アンプ特有の、温かいドライブ感や箱鳴り、弾き心地を再現したペダル

FB-2

アンプからの自然なフィードバック効果を得られる、表現力豊かなブースター

DS-1

ディストーションの原点として、王道の歪みサウンドを得られるディストーション

DS-2

2種類のターボ・モードを備え、強力なサウンド・メイクを実現するディストーション

MD-2

極限まで深く、太く歪みながらもギターの個性を失うなうことのないペダル

MT-2

2段階のゲイン回路によりシリーズ最強の圧倒的な歪みを得られる人気ペダル

ML-2

7弦やドロップ・チューニングにも対応可能で、ラウド系に最適なディストーション

ST-2

スタック・アンプの弾き心地とパワー感を再現する、新次元の歪みエフェクト

BOSS HISTORY

ギタリストなら誰もが一度は使ったことがある…そんなエフェクター界の定番ブランド、BOSS。ここで、その歴史を振り返ってみましょう。

1976年、BOSSは楽器メーカーであるローランドのギター・エフェクター・ブランドとして登場しました。その第1弾製品は、当時から高い人気を誇っていたJC-120のコーラス部分を抜き出した「CE-1」というペダルです。翌年の1977年にはコンパクト・エフェクター・シリーズを発売。その第1弾としてオーバードライブのOD-1、フェーザーのPH-1、スペクトラムのSP-1という3モデルが登場しました。これによって、「コンパクト・エフェクター」というカテゴリーを切り開いていくことになります。

OD-1の登場から現在に至るまで、筐体のデザインが一切変わることのないBOSSのエフェクターには、多くの「世界初」が隠されていることをご存じでしょうか。まず、エフェクトON/OFF時にスイッチのノイズが発生しない「電子スイッチ」の採用です。そして、コンパクト・エフェクターとしては初となる外部電源駆動。さらには、ネジでスイッチ部分を開けるだけで瞬時に電池交換が可能で、電池残量をランプで確認できる…など、現代のコンパクト・エフェクターでは当たり前の機能を初めて商品化したのがBOSSだったのです。

その後も時代のニーズにマッチし、常に進化を遂げてきたBOSSのコンパクト・エフェクター・シリーズは、なんと合計1,350万台を超えるリリースを記録。音作りに欠かせない存在として世界中のプレイヤーから愛され続けています。定番モデルから先進テクノロジーを採用した次世代モデルまで、豊富なラインアップでギタリストが理想とするサウンド・メイクをサポートしてくれます

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