SUGIZO <LUNA SEA> 高校は間違いなく人生の中で最も重要な時間

来年5月で結成25周年を迎える伝説的ロックバンド、LUNA SEA。13年5ヶ月ぶりとなるファン待望の新作『A WILL』を発表し、アルバムのリリースに伴うコンサートも予定されているなど、その活動は衰えるところを知りません。そんなLUNA SEAのギタリスト/ヴァイオリニスト/コンポーザーであるSUGIZO氏は音楽活動と平行しながら、環境問題や社会問題にも積極的に取り組んでおり、関連するイベントにも多数出演されています。そこで、今回は本誌創刊にあたって自身の高校時代を語っていただくと共に、軽音楽部員の学生たちへのメッセージをはじめ、現代の若者を取り巻く様々な問題や高校時代にしておくべきことなどについて伺いました。

(取材:本誌編集長 三谷佳之・2013/12/DiGiRECO.JR VOL.1 掲載)

ー まずはじめに、高校時代のSUGIZOさんはどんな学生だったんですか

SUGIZO:僕が高校1年の頃というと…今から28年前のことです。音楽自体は子供の頃からやっていて、中学生になっていわゆる「ロック」に目覚め、ギターやベースを手にし…という感じで、初めてロックバンドを組んで演奏したのは高校1年の時です。結局、それが今の自分の生業になっています。

僕にとって「高校」というのは、間違いなく人生の中で最も重要な時間だったと思います。これは人それぞれですが、小学校の友達が一番大切な人もいれば、中学校の友達が大切な人もいます。僕には今でも交流が続いている小学校や中学校時代の友達というのはほとんどいなくて、僕にとって人生の「開花」は高校からだったんです。そこで僕が生涯の友人と出会い、そして、ロックバンドに出会ったというのは運命としか言いようがないですし、今はそのタイミングにとても感謝しています。僕が高校1年の頃、学校にはピアスをしていたり、金髪や大きなリーゼント頭のおっかない先輩がいたんです。でも、ギターがうまかったり、バンドで演奏している姿がすごくカッコ良くて…。「あの先輩、怖いな〜」と言いながらも、憧れていた部分もありました。

ー 高校時代は一番、多感な時期かもしれませんね

SUGIZO:そうだと思います。実は、僕は高校1年の半分くらいまで、自分の「夢」に対してとても悩んでいました。今にして思うと単純なんですが、本当に「音楽」がやりたかったんです。でも、どこかで「そんなの無理に決まってるじゃん」と思っていた部分もあって…。大人に相談しても否定されますし、周りの空気もそんな感じで、僕自身も「本当は音楽をやりたいけど、簡単なことではないし、現実的にちゃんと自分の道を見い出さなきゃ…」と思うことがありました。そういうモヤモヤとした状態が高校1年の2学期の後半くらいまで続いていたんです。でも、「自分は何をやりたいのか。何になりたいのか」ということは、心の底では知っていた…。やはり「音楽」に身を捧げて生きていきたかったんですよね。

ー そこで、高校1年のSUGIZOクンはどうしたんですか

SUGIZO:子供たちというのは、自分が本当に求めているものをちゃんとキャッチして、「そうだよな!」という確信に昇華することにエネルギーを使うと思います。でも、「そんなの無理に決まっているじゃないか!」というような邪念がどこかで入るんです。だから、僕も高校1年の途中まではあれこれと悩んでは夜遊びをしたり…というようなことをしていました。いつも心の中では「やりたいこと」が見えているのに、「それに対して明確な確信が持てずに虚しい…」というような日々が続いていたんですが、ある時に意を決して「俺はこれがやりたいんだ!」と自分で認識してみたんです。「俺はこれがやりたいし、やるべきなんだ! このために生きるんだ!」と、自分で認識した途端に生き方が変わりました。やるべきことや「自分はどう行動したら良いのか?」という目標が見え、「何をどうすれば知識や技能を習得できて、道を切り開いて上へ行けるか?」ということがパッと明確になり、それに向けて自然と歩み始めていたんです。ちょうど高校1年の後半くらいの時期ですね。

ー エレキ・ギターを手にしたのもその頃なんですか

SUGIZO:実は、エレキ・ギターをちゃんと弾き始めたのは高校2年生になってからなんです。バンド自体は高校1年で始めたんですが、僕は最初はベーシストでした。意外に思われるかもしれませんが、昔はスティングのようなベース/ボーカルになりたかったんです。そうやってはじめはベースを弾いていたんですが、まだどこか心の中がモヤモヤしていたんです。「やりたかったのはこれなんだけど、まだ核心には触れていない…。この感覚は何なんだ?」と。まだ最後の「決め手」に到達できていないような感覚で…。そして、ふと思い出したんです。僕が子供の頃からなりたかったもの…。それは「作曲家」だったんですよね。僕は自分で音楽を作って、「無」から「生」を生み出したかったんです。コピーしたり、ロックスターに憧れたり…ということではなく、僕は作曲をしたかった。そして、「ベースじゃ作曲には適していないよな…」ということで、ギターにスイッチしました。それが高校2年の頭…17歳になる手前くらいですね。つまり、僕の場合は「音楽を続けていきたい。一生、音楽で生きていきたい」と決意したのが第1段階で、第2段階で「ギタリストとして、作曲家としてやっていくんだ!」という最終的な着地点…人生のレールが出来上がったんです。

高校生のみんなに言いたいのは「自分の人生を生きるのは自分なんだ」ということ。親や友達、先生ではないんです。アドバイスを聞いたり、エッセンスを受け取るのは良いと思いますが、最終的な決断、覚悟は自分で決めなくてはいけません。自分の人生は自分しか生きてくれないんです。

ー でも、それは16歳や17歳の若者には難しいですよね

SUGIZO:実はちょうど先週、宮崎大学の文化教育学部附属中学校というところで演奏してきました。その土地出身の、友人のバレエダンサーの芸術鑑賞会にゲストとして参加したんですが、とても良い経験になりました。彼のダンスと僕のヴァイオリンで、10分くらいの即興をやったんです。生徒たちはすごく喜んでくれていました。教育の中に音楽を入れるのは大切なことですし、生徒たちは本当に純粋なんですよね。大切なことを教えてあげると、ちゃんと響くんです。終演後に「みんな、写真を撮ろう!」と言ったら、「ウォ〜!」と盛り上がって…。みんなそういう子たちで、とても真っすぐなんですよね。

また、その時に「君たちは何でもできるし、何にでもなれるんだよ。可能性は無限大だから何でもやりな」と伝えたんですね。普段から「あなたはこうやりなさい。これはしてはいけません」というような感じで言われ続けているので、みんなが僕の言葉に喜んでくれていたのが印象的でした。子供たちの可能性というのは無限なので、「自分は何でもできる」「何にでもなれる」ということを10代でいるうちに知っておくべきです。どんなことでもできますよ。

ー 例えば、成績が伸び悩んでいる子はどのように捉えれば良いのでしょうか

SUGIZO:本当に成績が良くなりたいのなら、既にちゃんとやっていると思います。例えば、成績があまり良くない人が「実は学年トップになりたいんです!」「一流の大学に入りたいんです!」と本気で思っていれば、成績が悪くなる前に、そのための動きをとっくにしています。「なりたいものに何でもなれるし、自分の夢はすべて叶うよ」と僕が言っていることには「続き」があって、そのためには尋常じゃないくらいの「努力」が必要なんです。努力して、鍛錬して、身に付ける「時間」が高校生にはあるんですよ。

もし自分がトップ・ギタリストになりたかったら、高校生のうちに他の人の10倍練習をすれば良いんです。それが30歳になってからでは、不可能ではないかもしれませんが、なかなか難しいと思います。高校生の時に「俺は絶対にボクシングの世界チャンピオンになるんだ!」と本気で思っていれば、十分に可能性はありますよね。でも、それが30歳を過ぎていたら、かなり難しいのと同じことなんです。つまり、高校時代というのは自分のなりたいものに何にでもなれる可能性のある時期なんですが、自分の夢を叶えるということは自分がすべての責任を負わなければいけません。親や先生が負ってくれるものではないんです。その覚悟と決心が必要です。

また、高校生になれば活動エリアはだいぶ広がるんですが、まだ中学生のうちは「学校」が自分の世界のすべてだったりするんですよね。「クラス」や「担任の先生」「親」が自分の世界のすべてで、それらがうまく機能しないと絶望しちゃいますよね。それは「井の中の蛙」のようなものなので、僕は「ちょっと待ちな…。今はたまたまそういう気がするかもしれないけど、あと1年や2年経てば、活動エリアが広がっていくよ。中学生の時は学校がすべてだった俺も範囲が次第に大きくなって、今では世界中だよ?」という話をしています。生きていれば世界はどんどん広がっていくので、自分の周りにある現状の世界…自分を構築している世界の中だけで「答え」を出す必要はないんです。

ー 今の高校生を取り巻く社会環境は昔とは随分変わってきています。いろいろなものが出てきており、様々な誘惑がありますよね

SUGIZO:一番大切、かつ一番気を付けなくてはいけないのは、僕らが10代の時とは違って、現在は世の中のほとんどの情報が一瞬で手に入ってしまうことではないでしょうか。情報に溢れていて、何を核として見出して良いのかがわかりづらくなっている。とはいえ、この現実を今から昔に引き戻すことは無理なので、僕らが高校生の時と今の高校生では、感覚がまったく違うということを認識しなくてはいけません。

ー 現代はモノで溢れていて、本物があれば偽物もある、まさに玉石混交の時代だと思います。また、昔は「大人は偉くて、怖い存在」とされていましたが、その大人が不祥事を起こしたり、犯罪に手を染めるなど、無茶苦茶なことをしています。そういった世界にいる高校生たちに、SUGIZOさんはどういったアドバイスをされますか

SUGIZO:間違いなく言えるのは、「自分の一番好きなことをやるべき」ということです。「自分はこれが好きだ!」というものをまずは見つけることではないでしょうか。また、自分だけが「気持ち良い」「楽しい」「嬉しい」というだけでは、実は本当の幸せにはなれないということを今の若い人たちはみんな知っていると思います。それに、特に親から教わらなくてもみんなでモノを分け合いますよね。子供の頃、食べ物があったらみんなで分け合ったじゃないですか。つまり、「自分だけが気持ち良い」「自分だけが得をしよう」「自分だけが良い思いをしよう」というような感覚は、実はもう必要がないのです。残念ながら、僕らが若い頃にはそういった感覚があったんですよね…。「自分が気持ち良いのと、社会が気持ち良いのは同義語なんだ」ということをちゃんと理解するべきではないでしょうか。

ー 学校の「校則」については、どのようにお考えですか

SUGIZO:誤解を恐れずに言うと、校則は大事ですが、実はそれがすべてではないと思います。所詮、人間が作ったものなんですよね。先日も「学校の授業として、もっと道徳の時間がないといけないよね…」と話していたんですが、「何が本当に正しいことなのか?」ということを理解するのが大切だと思います。

正直に話すと、「髪を染めてはいけない」「ピアスをしてはいけない」というような校則に対して、僕は「クソ食らえ!」という感じでした。高校生の頃はそう思っていたんですが、今は自分が生きている場所には「決まり」や「ルール」があって、「ある程度はそれを守ることが大切なんだ」と考えています。例えば、僕にはタトゥーがあるので、温泉には入れないんですよ。それを「うるせぇ! タトゥーが入っているとか関係ねぇから入るぞ!」と、ズケズケと温泉に入ったりはしません。「ここには、そういう決まりがあるからしょうがないね」「郷に入れば郷に従えだね」と、その場所のルールに従うようにしています。

とはいえ、「それは宇宙的に真実か?」というと、そうではないんですよね。そのコミュニティーの中でのルールであるだけなんです。そこを理解するべきだと思います。昔は、僕も「何で髪を染めちゃいけないんだよ!」と先生に噛み付いていたんですが、それは学校で決まっているルールですし、「そういう決まりがある所に自分が求めて入ってきたんだったら文句を言うな」「それが気に食わないんだったら学校を辞めれば?」ということなんです。

自分が生きる場所には必ず「ルール」があるので、それが社会的な真実や正義ではなかったとしても、僕はモラルとして守るべきだと思います。本当に模範的な生徒になるのが良いとは思いませんが、自分が望んで高校に入学して、その場所にいるのであれば、まずはそのことに感謝するべきです。親が学費を払ってくれているわけですし、日本人であれば学びながらバンドを組んだり、遊んだりすることができるんですよね。

ー 確かに、現代はそういった感謝の念が薄れてしまっているかもしれません

SUGIZO:そう思います。それから、女の子。例えば、イスラムの社会では女の子はずっと学校に行けなかったんです。女の子がちゃんと勉強できて、バンドでも活動できるという、素晴らしい状況なんです。日本が100%、良い国とは思いませんが、「やっぱり素晴らしい国だな…」と感じる部分は大いにあります。でも、そういったことが当たり前過ぎて、みんな気が付いていないんです。「自由」が当たり前になっているだけに、高校に通っていて、勉強をしていて、友達と遊べて、バンドを組めて…という環境にまずは感謝するべきです。自分の今の居場所に対する感謝の気持ちがあれば、自ずと良い方向に歩めます。

話は変わりますが、食品やメニュー表示の偽装を起こした企業…あそこの人たちには、自分がこの仕事をできることに対する感謝の念がありません。自分たちだけが良い思いをしようとしたわけであって、そこには自分が製造/販売した商品を購入してくれるお客様に対する感謝の気持ちを感じられませんよね。残念な事実です。でも、世の中、そんな大人ばかりではありません。「自分の周りにいる良い大人」「カッコ良いと思える大人」「背中を追いたいと思う大人」ともっとコミュニケーションするべきです。

ー 若者の周りには、お酒やタバコをはじめとする様々な誘惑があります。そういったものとどういう距離感を保つべきだとお考えですか

SUGIZO:僕は高校1年からタバコと酒をやっていたので、人のことは言えないんですけどね…(笑)。今もお酒は止められませんが、タバコは吸っていません。

ー 何がキッカケでタバコを止めたんですか。今、高校生が吸おうとしたら何か言いますか

SUGIZO:タバコは「百害あって一利なしだよ」と言いたいですね。とはいえ、昔はタバコがカッコ良かったんです。例えば、昔のカッコ良いロックスターや映画スターが吸っていましたし、映画にも「カッコ良いアクセサリー」として登場するので、憧れてしまうんですよね。「タバコが吸いたい」「体がタバコをすごく欲している」というような感じではなくて、単純にカッコ良いから吸っていたんです。今は、逆にタバコってカッコ悪いんですよね。それに、ほとんどの子供たちが「タバコはカッコ悪い」ということを知っていると思います。もし今、「タバコはカッコ良い!」と感じる子供たちがいるとするなら、そこには昔の古びたアートワークや概念…「昔ってカッコ良いぜ!」というレトロ主義みたいなものがあると思います。僕は「もっとカッコ良いことやクールなことをやろうぜ!」と言いたいですね。それは、世の中のプラスにもなるんです。タバコはカッコ悪いですし、とにかく体が悪くなりますよ。

お酒に関しては、僕の概念では「百害」ではないと思います。ある程度のお酒は血行を良くするし、体にも良いんです。僕はワインが好きなんですが、葡萄酒は紀元前の時代から飲まれているもので、それは「実りの結晶」 なんですよね。日本酒もそうだと思います。泥酔は良くないですが、やはり食事や飲み物というのは文化だと思いますし、お酒というのはこの先もずっと人と共にあるのではないでしょうか。タバコとはスタンスが違うと思います。

とはいえ、「お酒もタバコも未成年のうちから手を付けるべきではないと」今は思いますね。

ー ちょっと話は逸れますが、軽音楽部員の学生に対して「このミュージシャンやこのアルバムを聴いておくと良いよ!」というアドバイスはありますか

SUGIZO:うーん、難しい質問ですね…。LUNA SEAの新しいアルバム『A WILL』は聴いた方が良いですよ(笑)。ロックバンドの魅力が凝縮されています。例えば、「ビートルズやレッド・ツェッペリン、エアロスミスを聴くと良いよ!」と言ったとしても、恐らく高校生には音が古く感じると思うんですよね。実際の話、僕が高校生の時に「絶対に良いから聴いてみろ!」ということでツェッペリンの『IV』を体験したんですが、カッコ良いと思う前に「音が悪い!なに、このペチャペチャした音?」と感じてしまったんです。でも、今、聴くとツェペリンってものすごく音が良いですよね。

最近の高校生がパッと聴いて、「あ、良いな!」と思える本物のバンド…。日本のバンドであれば、まずはLUNA SEAを聴きなさい…と(笑)。女性のバンドであれば、FLiPやSCANDAL、赤い公演がカッコ良いと思います。他にも女の子のカッコ良いバンドはたくさんあるので、探せばすぐに見つかると思います。また、「高校生には渋過ぎるかな…」と思う部分もありますが、やはりビートルズを聴いた方が良いんじゃないでしょうか。僕はビートルズのいわゆる「赤盤(The Beatles / 1962-1966)/青盤(The Beatles / 1967-1970)」の「青盤」をオススメします。

ー LUNA SEAは地元を中心に活動をスタートし、今ではスタジアムやアリーナでコンサートを開催するバンドにまでなりましたよね。そこで、軽音楽部で活動している学生たちに対して、バンドとしてうまくなるためのコツや「LUNA SEAはこういう風に練習してきたよ」というようなアドバイスをいただけませんか

SUGIZO:音楽は「感性」のものなので、本当は今からお話しすることとは逆なんですよね。あえて言いますと、「自分の演奏力やバンドとしてのレベルが上がる」ということは、実はスポーツとまったく同じです。要は、体や筋肉に覚え込ませるだけなんですよ。スポーツの場合、身体能力を上げるには何をするか…。それは、ひたすら反復練習をすることです。これは音楽も同じです。楽器を習得することに限って言うと、楽器の演奏はスポーツと同じで、反復練習がとても大切なんですよね。

例えば、同じビートを1時間全員でひたすら反復練習して、延々と同じことを繰り返すことによって、その先の「答え」が見えてくるんです。普通は「もういいや…」という感じで、途中で飽きてしまうと思います。でも、高校生の頃、僕とドラムの真矢はとにかく反復練習を繰り返していました。また、これは高校生には難しいかもしれませんが、ジャムることも大切です。要するに、楽器で会話をすることですね。自分の楽器が自分の「声」だと知ることが重要で、ギターならギター、ベースならベース、ドラムなら鍵盤なら…という感じで、バンドメンバーと普通に会話をしているような感じで、楽器を使って自由に演奏という「会話」ができるようになること。これが重要です。

それから、「仲間」というのはすごく大切な存在です。やはり大人が操作したプロジェクトみたいなものはあんまり面白くないんですよね。LUNA SEAのメンバーは中学、高校時代の友人たちです。ビートルズも「仲間」から始まったバンドですよね。バンドは「絆」であり、「家族」なんです。まわりの人間によって作られるものではありません。ですので、「軽音楽部の仲間や一緒にバンドをやっているメンバーというのは、かけがえのない存在なんだ」ということを知るべきです。「このメンバーじゃダメだから、オーディションでもっとすごい奴を集めようぜ!」というのも良いのですが…恐らく、バンドの本質ではないと思うんです。楽器の演奏がうまくないと上のレベルには行けませんが、大切なことはもっと別のところにあって、演奏の上手/下手ではないんですよね。

ー なるほど…。では、バンドとしてのレベルを上げる意味でも、楽器を自分の声にするためにはどうすれば良いのでしょうか

SUGIZO:まずは楽器を自分の体の一部にすることですね。僕が高校生の頃はギターを抱いて寝ていました。練習しながら寝てしまう…という毎日だったので、常にギターと共にベッドに入っていたような感じだったんです(笑)。あまり大きな声では言えませんが、授業中もずっと弾いていて…。先生の話を聞かずにギターを弾いていました。高校3年の時に僕は4組で、真矢は5組だったんですが、授業中、ずっと横の教室から「タンタカ、タンタカ、タンタカ…」と机をスティックで叩いている音が聴こえているんですよ。彼は授業中、ずっとスティックで机を叩き続け、何人の先生がノイローゼで辞めてしまったかという…(笑)。マネをすることは推奨できませんが、高校時代の真矢はドラムの虫で、僕はギターの虫でした。

先ほど、「みんなは何でもできるし、何にでもなれる」と言いましたが、ポイントは「やるべきことにフォーカスすること」です。「俺はギターを弾きたい。でも、バスケットボールもやりたいし、料理人にもなりたい…」という感じで、やりたいことのすべてで一流になるのは難しいですよね。そこで大切なのは、まず極めたいと思う1つのことにフォーカスして、高校生活の3年間という時間を使うべきだと思います。

ー 自分がいる環境に対して感謝するのは、なかなか難しいことかもしれませんね

SUGIZO:そうかもしれません。でも、「自分が良いところにいる」ということがわかっている人は、恐らく、他の人よりも上に行っていると思います。「今、自分にとってすごく大事なタイミングだ!」とか「今、学ぶべきだ!」といった感覚ですね。僕はそこまでわかってはいませんでしたが、少なくとも高校時代には「とりあえず、今はギターの習得だけにフォーカスしよう」と決めていました。それ以外のことは求めなかったんです。最終的にやりたかったことは総合的に音楽を生み出すことだったんですが、高校2年〜3年くらいの間はとにかくギターの腕を磨くことにしか時間を使っていませんでした。

ー 最後に、本誌の読者である高校生にエールをお願いします

SUGIZO:何度も言いますが、みんなは「こうなりたい!」という強烈な想いがあれば何でもできるし、何にでもなれます。今、持っている夢をすべて叶えられると思います。それを知って欲しいですね。でも、その夢のために誰も生きてはくれない。自分で動き、自分で決断し、方法を編み出すしかありません。この「方法を編み出す」というのは、知っている人に聞くことでも良いんです。大切なことは自分で目標を定めて、学び続けることですね。「あー、勉強、面倒くせぇ〜」と思うかもしれませんが、「学ぶ」ということは生きる喜びにもつながりますし、それは人生における最も重要なことだと思います。


SUGIZOプロフィール http://www.sugizo.com/

1969年7月8日生まれ。神奈川県出身。1992年5月、LUNA SEAのコンポーザー、ギタリスト、ヴァイオリニストとしてデビュー。幼少期よりヴァイオリンや楽典など、クラシック音楽の英才教育を受けて育ち、綿密に構築された唯一無二の作曲能力や、瞬間を切り取り、光に昇華させるかのようなギター&ヴァイオリン・パフォーマンスは極めて評価が高く、シーンを創世し、ジャンルの境界を壊しながら縦横無尽にアートを舞う、その美意識は国内外にて圧倒的な存在感を誇る。現在、SUGIZOとしてのソロワークのほか、LUNA SEA、X JAPAN、UKのトランス・ユニットJUNO REACTORなど、多岐に渡って世界規模で活動中。

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