東京都高等学校軽音楽連盟委員長 佐々木弘人先生

昨年に引き続き、今年も全国の高校軽音楽部の目標となるべく開催される「全国高等学校軽音楽コンテスト」の時期がやって来ました。今年のデジレコ・ジュニアは大会レポートのみならず、公式ガイドブックを制作することになりました。大会を前に、佐々木実行委員長にインタビューを敢行、その背景や目的から本年度の展開を伺いました。まだ間に合います。本誌の記事をキッカケに、大会のホームページで詳細を確認し、ぜひチャレンジして欲しいと思います。(2015/6/DiGiRECO.JR VOL.7 掲載)

第3回 全国高等学校軽音楽コンテスト〜開催直前インタビュー〜

ー 全国高等学校軽音楽コンテストの歴史や背景は

佐々木:全国高等学校軽音楽コンテストの前身は、平成18年から神奈川県の主催で行われていた高等学校軽音楽コンテスト南関東大会です。神奈川県が東京や千葉などの都県で、県大会の上位大会のようなものをやろうということが主旨でした。その時点ではまだ東京には軽音楽連盟はありませんでしたが、その大会が東京の連盟を立ち上げる1つのキッカケとなりました。南関東大会は徐々に大きくなり、南関東にとどまらず、埼玉県や茨城県などからも参加があり、関東大会と名乗ることになりました。大阪など、他府県の連盟からもゲスト参加をしていただきましたが、関東大会の3回目を開催しようという時に、さらに他県から「出場したい」という声が増えてきました。そこで、全国のバンドがゲストなどではなく、同じ土俵で競える大会にしたらどうかということになり、全国大会の開催に至ったというわけです。これがデジレコ・ジュニア誌の最初の取材につながっております。最初から全国大会を始めようと思っていたわけではなく、南関東大会がどんどん大きくなっていったということです。その間、東京都も軽音楽連盟を立ち上げ、今では加盟校や部員数も大きなものとなりました。関東大会の時から運営の主体を神奈川県と東京都で持ち回りでやっていこうということになり、今年は東京が運営する年なのです。

▲第3回全国高等学校軽音楽コンテスト〜公式ガイドブックの表紙(仮)

ー 昨年と今年で大会の内容に違いはありますか

佐々木:大きな違いはありません。東京都と神奈川県 では、以前は大会のレギュレーションが異なる部分がありましたが、南関東大会の頃からその違いの擦り合わせをしてきました。細かいところまで含めるとすごくたくさんの違いがあったのですが、長年大会を共催していく中で、忌憚のない意見の交換を積み重ねて、今はほぼこのレギュレーションで大丈夫という状況になりました。この後も参加県を増やしていくなど、より充実した大会へと進化させていきたいと思っていますが、大会のレギュレーションに関してはほぼ整ってきたと考えています。

ー 参加校に変化はありますか

佐々木:基本的には高等学校文化連盟(高文連)に属している連盟のある都道府県に推薦枠を提供しています。現在は高文連の軽音楽専門部が増えていない状況なので、この枠の数は変わっていません。ただ、我々が行っている軽音楽部の普及活動に加え、デジレコ・ジュニア誌の貢献もあり、全国各地で頑張っている軽音楽部が連盟を作っていこうとか、全国大会を目指して頑張ろうというムーブメントがあると感じています。今後は、推薦枠も音源審査枠も増やしていくことになると期待を込めて見守っているところです。

ー 今年の大会への抱負は

佐々木:推薦枠のある都道府県から、今まで以上に高いレベルで充実したバンドがエントリーしてくることと、音源審査枠にも全国大会に相応しいバンドがたくさんエントリーしてくることを期待しています。全国大会のステージを見てくれたお客さまが、「さすが全国レベルだ」と言われるバンドが連盟のない県からもたくさんエントリーされてくる状況になれば、音源審査枠もどんどん増やして、ますます大きくしていきたいと思っています。今年はその第一歩としてエントリー枠を1つ増やしました。また、来年度は専門部ではなくても連盟のある県には推薦枠を提供することを検討しています。これにより、北海道から九州まで参加県が広がり、名実共に全国大会と呼ぶに相応しい大会になるだろうと期待しています。

ー 東京都の夏の大会と秋の大会の違いは何でしょうか

佐々木:東京都の秋の大会は東京都教育委員会ならびに高文連が主催していますが、運営の母体は東京都軽音楽連盟ですので、夏秋共に同じスタッフがやっています。ただ、秋の大会は総文祭(高等学校文化連盟総合文化祭)の1部門としてやっていますので、その意味では、公的な性格が増しています。つまり、教育委員会がバックアップして、正式に開催している文化祭の1部門としての大会なのです。この大会には3年生が出られないので、2年生の新人戦という位置付けでもあります。また、各学校から1バンドのエントリーしかできませんので、いわば学校対抗戦であると言えます。それに対して、夏の大会は各学校から4バンドがエントリーでき、3年生も出場できますので、学校ごとの対抗戦でもありますが、バンド対抗戦という性格を帯びています。「全国高等学校軽音楽コンテスト」につながるのがこの夏の大会ですので、東京都の場合、夏の大会で入賞したバンドが全国大会出場の切符をもらうことができます。

ー 夏と秋の大会では賞の重みも違うのですか

佐々木:生徒たちにとっては目標とすべき2大大会で、どちらもグランプリ・準グランプリ・奨励賞・特別賞が与えられます。生徒たちのイメージとしては、夏の大会は全国大会につながる大会、秋の大会は都庁で教育委員会賞・高文連会長賞の授与式がある大会、という感じでしょうか。また、純然たる公式戦という意味では秋の大会、エントリー数から難関なのは夏の大会、というイメージもあるかもしれません。

ー 新人というのは3年生を除いて、という意味ですか

佐々木:言葉としては少し違和感があるかもしれませんが、3年生が引退して代替わりした2年生以下を新人と呼んでいます。秋の大会は、実は次の年の総文祭の全国大会につながります。高文連主催の総文祭の全国大会は前の年の秋の大会の入賞者が出ることになっています。それは軽音楽専門部に限らず、どの部門も同じです。今年の秋に入賞したところは来年の全国総文祭に出ることができます。ですから、当然、そこに3年生がいると来年はもういませんから…そういう意味で、高文連主催の総文祭は基本的に2年生以下の大会となるのです。

ー 今年度の総文祭は滋賀県が開催県でした。あいにく高文連の中に軽音楽専門部はありませんが、来年度は高文連の中に軽音楽専門部がある広島県で開催されますね

佐々木:来年度の全国総文祭では、初めて軽音楽専門部の大会が開かれます。まだ軽音楽部門がある都道府県の数が少ないため、本来の部門大会ではなく協賛部門大会としての開催ではありますが、ご尽力されている広島県の軽音楽部門の役員の方々には頭が下がる思いです。東京も秋の大会で優勝したバンドは呼んでいただけることになると思います。この大会を第一歩とし、協賛部門大会、将来的には部門大会が毎年行えるようになることを期待していますが、そこに至るまでにはまだまだ時間がかかります。東京でも2022年に全国総文祭がやってくるので、協賛部門大会を開催すべく準備を進めていますが、全国総文祭を生徒が毎年目標とすることができるようになるには、他県の専門部の設立を待つしかないという現状があります。

その意味で、南関東大会から積み上げてきた「全国高等学校軽音楽コンテスト」を各都道府県大会の上位大会として確立し、全国の生徒が目標とする大会になることを目指して盛り上げていきたいのです。

ー 「全国高等学校軽音楽コンテスト」は東京都と神奈川県での持ち回りで開催されていますが、これからも続くのでしょうか

佐々木:正確には「全国高等学校軽音楽コンテスト運営委員会」が企画し、実際の運営の主体は、東京と神奈川で持ち回りをしている、ということです。今後、この大会をますます大きくしていくためには、どちらの持ち回りということではなく、運営委員会が1つの組織として毎年運営に当たる形にしていく必要があると考えています。安定した組織の確立を目指して.役員で検討を進めているところです。

ー 大阪でも全国大会がありますが、お互いの位置付けは

佐々木:それぞれに独自の起源で発生してきた歴史があり、いずれも軽音楽部を盛り立て、啓蒙活動の一環になっているのだと思います。関西圏の人には大阪での大会が全国大会とイメージしているでしょうし、関東圏では我々が行っている大会が全国大会だと思っていると思います。全国大会と名のつく大会は民間を含めると、かなりの数になると思います。今のところ、どこかと提携をして何かをやるという計画はありません。大阪の大会には東京も呼ばれていますが、交通費や引率出張が認められるかなど、いろいろな課題があります。それぞれがどれだけ内容を充実させて、認知度が上がっていくかだと思います。

ー 全国大会の応募要項の公開時期は

佐々木:第3回全国高等学校軽音楽コンテストの開催日は8月21日(金)です。6月の中旬にホームページにアップしますので、実施要項やエントリー要項はそちらをご覧ください。 http://www.kanagawa-keion.jp/zenkoku/index.html

ー おおまかなスケジュールを教えてください

佐々木:まず、出場枠を持っている都府県に関しては連盟推薦という形になります。それぞれの県からこのバンドが全国大会にエントリーするという連絡を受けることになります。本当は県大会の優勝バンドに出ていただきたいですが、学校行事の関係などで都合のつかない場合もありますので、そのあたりは県の軽音連盟にお任せしています。それ以外の道府県は音源審査ということになりますので、ルートが変わってきます。音源審査は6月中旬に実施要項が出ますので、その要項に記載されたレギュレーションに沿って、エントリー用紙と5分以内の音源を提出していただきます。提出期限は7月中旬頃の予定です。全国大会の他県枠の音源審査は7月下旬に行います。その結果がホームページで発表されますので、音源審査を通過したバンドは8月の全国大会に臨むことになります。音源審査を経たバンドは8月21日にいきなり全国大会に出るということになります。

ー 東京の大会はどういうスケジュールですか

佐々木:東京都高等学校軽音楽コンテストのレギュレーションは6月の中旬に出ます。予選音源審査は7月27〜28日です。そこで60組が選ばれ、7月31日にスタジオライブという形式で準決勝を行います。そこで21バンドに絞られ、8月6日に東京都の夏の大会の決勝戦が行われます。そこで入賞した7バンドが8月21日の全国大会の切符を手にします。

ー出場枠のある都府県からの応募はいつ頃になりますか

佐々木:主にそれぞれの県の決勝が終わってからという流れになります。東京は8月6日ですが、それまでに決まってくるところもあると思われます。決勝大会の日にちが各都府県で違うので、一定の期日を決められないのです。

ー 軽音楽連盟のない県の軽音楽部からの応募方法を教えてください

佐々木:参加には学校長の許可印が必要になりますので、学校の部活動としてやっている部のメンバーで、校長および顧問が許可したバンドの応募となります。つまり、学校の認めた部活のメンバーでないといけません。他校の生徒とのバンドは大会の趣旨とは違うので、エントリーできません。そこからは先に申し上げた通り、レギュレーションに従って音源を送っていただくことになります。

ー 過去の入賞履歴を見ると、ほとんどがオリジナル曲ですが、コピーでは難しいものですか

佐々木:それはよく言われることで、「コピーでは勝てない」という話が噂で広がっている状況にあると思います。軽音楽連盟の役員から見ると、しっかりとした演奏ができているバンドならコピー曲でも予選を通っています。ただ、それ以上にオリジナル曲を作ってきて、オリジナリティーがあり、演奏がうまく、観客を惹きつけるものがあるバンドが多い…と、そういう理解を我々はしています。一生懸命に練習をし、技術的にも、魅力的にも優れたバンドが、オリジナルを演奏するというムーブメントが最近は広がってきています。そのような背景があるので、オリジナルばかりが通るというように見えてしまっているのだと思います。過去にも決勝に進出しているコピーバンドはありますが、審査の項目である演奏技術と表現力というのは、コピーでもオリジナルでも同じです。オリジナル曲の場合、作詞、作曲、アレンジ力が審査対象になり、コピー曲やカバー曲の場合、完成度が審査対象になっています。つまり、審査基準として公平に評価されるように、違う視点で審査されているのです。コピー曲でも自分たちの想いや情熱を伝えられたバンドは表現力という基準で評価され、技術力は当然、技術で評価されます。同じ土俵で審査されますので、そこが審査員の先生泣かせな点でもあるのですが、総合的に見て、良いバンドが評価されるのです。コピーだからと言って、勝てないわけではありません。

ー 出場バンド(枠)はどれくらいありますか

佐々木:今年は全部で28〜29枠あります。その内訳は東京都7、神奈川県7、埼玉県2、千葉県2、長野県2、大阪府2、岩手県1、宮城県1、和歌山県1、広島県1、高知県1、その他の道府県音源審査枠が1から2で、合計28〜29になります。先にも述べた通り、来年度以降は高文連の軽音楽専門部がなくても、県の連盟でしっかりと推薦ができるような団体が出てきてくれば枠を用意したいと考えています。そこの道府県から必ず参加してもらえるようにして、参加する県を増やしていきたいと思います。その結果、東京都や神奈川県の枠が減っていくのは当然のことと考えています。将来的にはすべての都道府県が出場し、2日にわたって開催する大きな大会となることも視野に入れています。まさに、そのような文字通りの全国大会になることを目指して、我々役員は頑張っています。

東京都高等学校軽音楽連盟  http://www.tokyo-keion.co

神奈川県高等学校軽音楽連盟 http://www.kanagawa-keion.jp

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