宮城県高等学校軽音楽連盟 新理事 八巻一智先生、前理事 水戸良広先生

今から16年前、まだ世間ではエレキ・ギターを持って歩いていると不良だと思われていた時代に、日本で一番早く高等学校文化連盟の中に軽音楽専門部を作ったのが宮城県です。本誌では、以前に専門部の新設に奔走されたメンバーの1人である津村先生にインタビューしました。今は時代も変わり、軽音楽部が世間に認められつつあり、顧問の先生方も世代交代が進みました。今回は、年次総会が終わったばかりの新旧理事のお2人に、宮城県高等学校文化連盟軽音楽専門部の軌跡と今後の展望などについて伺いました。(2015/6/DiGiRECO.JR VOL.7 掲載)

宮城県高等学校文化連盟軽音楽専門部〜その軌跡と今後の展望

ー 宮城県の高等学校文化連盟に軽音楽専門部ができた経緯を教えてください

編集部:津村先生へのインタビューはデジレコ・ジュニア2014年3月号に載っています。

水戸:私の前任の津村先生が作った組織なので、伺っていることしかわかりませんが、当時の高校では発表する場所がなかなか見つからず、軽音楽部の生徒たちがライブハウスなどに勝手に行ってしまう状況だったようです。それが問題になってきたので、生徒たちがきちんと練習したり、発表できる場所を作ってあげましょう、というのが出発点だったと伺っています。

ー 多くの都道府県では任意団体の軽音楽連盟ができて、そこでの活動を続ける中で高文連に申請をして、軽音楽専門部が新設されるというケースが見受けられますが、宮城県ではいきなり軽音楽専門部が設立されたのですか

水戸:いいえ、宮城県も同じ流れです。軽音楽連盟が先に組織され、今から16年前に高文連の専門部ができました。現在は名称として連盟はありません。連盟の活動は一昨年に専門部に吸収された形になりました。宮城県の高文連から預かるお金と任意団体の軽音楽連盟で預かるお金との関係が複雑になってきましたので、高文連の専門部一本でやってしまおうということになりました。

ー 専門部の活動内容を教えてください

水戸:主な活動としては、公式な大会を年に3つほど行っております。また、講習会を年に1回行っております。これが専門部の主な活動になります。宮城県で一番大きな大会は7月に開催されるもので、これには約30校の3年生が参加します。もう1つは、11月に新人戦があります。いわゆる、3年生以外で競い合う大会です。これが大きな2大会になります。昨年までは、10月に先の2大会に参加できなかった生徒たちを吸収するための演奏会を行ってきました。それが役割を終えたというか、他のところでもできるようになってきましたので、今年からは1年生の目標となる大会を作ろうということになり、10月に行うものは1年生限定の大会にしました。この3つの大会の開催が宮城県の軽音楽専門部のメインの活動となります。

ー 年1回の講習会はどんなものですか

水戸:宮城県は広いので、北部地区と中部地区、南部地区に分かれています。仙台よりも北の方の古川とか大崎というところはここからは遠いので、北部地区で集まって何かやってくださいということで、講師をお願いして生徒たちにバンドクリニックを行っております。中部地区と南部地区では講師に3時間くらいの講習を行っていただき、練習しています。いずれも顧問が引率して、生徒が受講対象となる講習会です。

ー 宮城県は土地が広いと思うのですが、各高校を一同に集めるのは難しくありませんか

水戸:ある意味では、難しくないと思っています(笑)。宮城県の大会に関しては、「年に1度だけ仙台に集まって来て!」という感じで解決させています。大会については予選はありません。各高校で校内予選を行い、代表バンドを決めていただき、大会に集まりますので、いわば「学校対抗バンド合戦」となります。遠いところからチャーター・バスで3時間もかけて来てくださる高校もありますが、今のところ大きな問題は出ていないと思います。ただし、現在もほぼ終日のタイムスケジュールで行っていますので、今後、加盟校が増えてくると時間の配分が難しくなるかもしれません。講習会については任意参加であり、距離の問題も影響していると思いますが、参加校が少ないのが現状です。

ー 今後の課題は何かありますか

八巻:現状として、県大会や講習会などの活動に関して、特定の業者や専門学校に頼っているところがあります。最近、他の専門学校やライブハウスから「高校生向けに何かをやっていきましょう」という話が出始めているんです。あるイベント会社などは直接、高校生とメールでやりとりをしてしまうところもあり、きちっと我々顧問を通してくださるところもあります。やはり生徒と直接コンタクトを取るというのはいろいろなトラブルの原因になってしまいます。悪質というと語弊があるかもしれませんが、いろいろな問題を起こす業者に生徒が引っ張られていかないように、「ダメだよ」と言っても、参加できるイベントがなければそちらに流れてしまいますので、学校の部活として、きちっとした発表の機会を増やしてあげなければならないと思います。もちろん教員の考えと一致しているライブハウスやイベント会社もあります。そういうところともっと協力してやっていかなければならないという話はよく出るのですが、なかなか一進一退で、うまく進んでいかないのが現状です。そこが今後の大きな課題になると思います。

ー 加盟校の推移を教えてください

八巻:現在は34校です。部員の総数は約1,500人です。昔は加盟校が20校ほどで、ここ10年で10校くらい増えました。宮城県に関しては、ここからさらに加盟校が増えるというのは難しいのではないかと思います。というのは、際限なく部活を作らないという高校もありますし、同好会だったのが部に昇格して、加盟していただいた高校もあります。その逆もあり、最近出てきていない高校などは顧問の先生が異動でいなくなってしまい、うまく成り立っていなかったり、登録できていないという高校もあります。そう考えると、宮城県では34〜5校くらいが限度かなと思っています。楽観的な見方なのですが…(笑)。先ほどの話ではないですが、あまり加盟校が増えると大会の運営にも支障をきたしてくる可能性があるので、無闇に加盟校が増えると困るというか、今はちょうど良い感じじゃないかなと思います。

ー 宮城県は日本で最初に軽音楽専門部ができた県ですが、全国に出て何かやろうという考えはありますか

八巻:全国組織化は難しいと思います。他の専門部の話も聞きますが、例えば、ダンスの専門部に話を伺ったのは、関東では文化部であり、関西に行くと運動部になるので、全国組織としては作れないという障害があるそうです。軽音楽部で言うと、レギュレーションが違うというところが、今後、全国で集まるとなると障害になってくるのではないかと思います。全国組織ができても宮城の今の活動が押さえられてしまったり、メリットのない活動なら参加できませんが、全国進出に対しては積極的なわけでもなく、消極的でもなくと思っています。宮城県としても東京都と神奈川県が開催している全国大会に枠をいただき、参加させていただいておりますので、全国の進出を敢えて拒否することはありません。ただ、急激にできることでもないと思いますので、しばらくは様子は見たいと思います。

ー 他県との交流などはありますか

水戸、八巻:ほぼないですね(苦笑)。

ー ホームページは用意されていないのですか

水戸:軽音楽専門部としては持っていません。高文連としてのホームページはありますが、専門部としての情報の配信は行っておりません。連絡は個々に回しており、専門部としてはしっかりと機能しているので、今のところは新しく作る必要がないのです。公式なものを外部に発信するのはいろいろと難しいので、専門部としては今のところ、独自のホームページは立ち上げていません。

ー 軽音楽専門部に加入するための条件は

水戸:宮城県の高等学校文化連盟に加入していることが条件となります。大会に出るには登録費として年に3,000円をいただき、参加費として1回につき、1,000円を集めております。 ー 未加盟校へのメッセージをお願いします

八巻:軽音楽部という組織が校内にあるのであれば、宮城県として一緒にやりませんか、と思っています。高校の中だけで指導の悩みや大会はどうしようかと悩んでおられるのであれば、加盟していただき、我々と一緒にやっていけばもっと広がりますよ、と言いたいです。それぞれの学校の考え方もありますのでなかなか難しいのですが、受け入れ体制はできております。

ー 最後に、先生方のプロフィールを教えてください

水戸:私は仙台城南高等学校で数学を担当しております。私の学校のポリシーでは、基本的に教員があまり生徒に教え込まないことになっています。放任しているのです。先輩に教えてもらいながら活動させています。練習をさせるために週に一度、今週の部屋の順番などを決めましょう、というミーティングを開きます。学校内では定期演奏会も開いています。基本的には生徒の自主性を尊重しています。私自身は楽器の演奏はできないのですが、大学時代はバンド活動をしており、ボーカルをやっていました。かといって、特にボーカルに厳しいということはありません。ライブなども生徒たちが自分たちで挨拶をし、機材を運び、セッティングをして、自分たちで盛り上げるという方針を取っています。ライブで自分たちの演奏だけをすれば良いということではなく、きちんとした部活として、最初から最後まで生徒たちに自主的に活動させています。

八巻:私は理科の教員ですが、宮城第一高等学校に来てからは情報を担当しております。本校は部員数が約80名と多いのですが、指導方針などは水戸先生に近いと思います。聞かれたことに関しては、きちっと教えられると思います。生徒たちには機材の大切さや演奏する前の段階でもライブハウスに行ったら、挨拶をしましょうというレベルの方はきちんと指導するようにしています。あとは皆で教え合うことで感謝し、学べたら良いと思っています。私自身はギタリストでしたので、音作りに関しても、機材や楽器などの使い方にしても、ある程度のノウハウはありますので、生徒に聞かれたことに対してはきちっと教えようと考えています。

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