和歌山県高等学校文化連盟軽音楽部会専門理事 高橋昭仁先生

自校に軽音楽部を作るべく、同好会から活動をスタートさせながら、和歌山県高等学校文化連盟に軽音楽部会を立ち上げ、和歌山県高等学校軽音楽連盟も運営されている、和歌山県立星林高等学校軽音楽部顧問の高橋昭仁先生。積極的に県外へ出て、他校との交流を深めることを大切にしつつ、近隣の施設や団体と協力しながら、和歌山県の高校軽音楽部シーンの活性化を図られています。早速、部会の軌跡と今後の展望について伺いました。(2015/6/DiGiRECO.JR VOL.7 掲載)

和歌山県高等学校文化連盟軽音楽部会〜その軌跡と今後の展望

ー 和歌山県の高等学校文化連盟に軽音楽部会ができた経緯を教えてください

高橋:元々、私は和歌山県の高等学校文化連盟(以下、高文連)で、放送がメインの部活動で構成される「放送部会」の専門理事を担当していました。和歌山県高等学校軽音楽連盟は、私が独自に「連盟」と名乗る形で立ち上げたもので、当時から「和歌山県の高文連に軽音楽部会を作りたい」という気持ちがあったんです。そのことを親しくさせていただいている和歌山高校さんにお話ししたところ、「一緒に進めましょう!」という話になり、部会の設立に向けて本格的に活動をスタートさせました。  実は、私も和歌山高校で教員をしていた時期があるんです。当時の教頭が現在は学校長になられており、和歌山県の高文連の会長も務めていらっしゃったので、軽音楽部会の設立を目指している話をしたところ、「ぜひとも応援しますよ」という、ありがたいお言葉をいただきました。こうして高文連の会長をはじめ、私や和歌山高校の顧問の先生らが中心となって、和歌山県の高文連に軽音楽部会が設立されました。今、振り返ると、非常にすんなりと軽音楽部会を立ち上げることができたので、とても恵まれていたと思います。

ー 高橋先生が星林高校で軽音楽部を立ち上げたのはいつ頃なのですか

高橋:私が本校に赴任したのは今から9年前のことです。当時は軽音楽部や同好会などは何もありませんでした。早速、軽音楽同好会を立ち上げようと考えていたのですが、学校の規約に「同好会を作るには、2年間の自主活動をしなければいけいない」というものがあったので、2年間の自主活動期間を経て、軽音楽同好会を立ち上げました。さらに、「部活動になるには、2年間の活動が必要」ということだったので、地道に活動を続け、今から4年前に軽音楽部に昇格することができました。軽音楽部の立ち上げを目指して活動を続ける中で、他校にも同じような状況のところがたくさんあることを知り、その頃あたりから「これは本校だけが頑張っていても意味がないな…」と考えるようになりました。

ー 軽音楽連盟を立ち上げる際は、どのあたりに苦労されましたか

高橋:本校は十分なスペースで練習したり、演奏を披露できるような場所がなく、都会と違ってライブハウスで演奏する機会も少ないので、なかなか思うような活動ができずにいました。そこで、和歌山駅の地下広場で「マンスリーライブ」というイベントを開くことにしたんです。これは年齢や楽器歴などは一切関係なしの演奏会で、「とにかく皆で一緒にやろうよ!」という趣旨の元で開催しています。その際に「野球やサッカーと同じように、軽音楽部も『連盟』というのを立ち上げていかなければいけないな…」と考えるようになり、和歌山高校の顧問の先生に声をかけさせていただいたんです。そのようにして最初は2校だけの勝手な連盟として立ち上げ、「ここからどうやって広げていくか?」「連盟として何かイベントを開催しよう!」ということを考えながら活動していました。

他県に比べると、和歌山県内ではまだまだ軽音楽部の認知度が低く、生徒たちの練習場所や演奏する機会は十分とは言えません。和歌山県の中だけで活動するには限界を感じており、「とにかく外へ出て、一生懸命に演奏している子たちの様子を見てもらおう!」と考えて、積極的に県外へ出て行くようにしています。

ー 和歌山県の高文連の軽音楽部会は、どのように設立されたのですか

高橋:「近総文」と呼ばれている、近畿エリアの高文連が運営する近畿高等学校総合文化祭を各県で行うにあたり、その県内に対象となる部会がないと、総合文化祭を受け入れることができないんです。そこで、和歌山県内で高文連の全国大会が開かれる際に、軽音楽部会を含む新しい部会が設けられました。ちょうど軽音楽部会が立ち上がる前に「茶華道部会」ができたことから、同じタイミングで軽音楽部会も設立することができました。本校に軽音楽部を作るのには6年間かかりましたが、和歌山県の高文連で軽音楽部会を立ち上げるのにかかったのは1年間ほどです。まだまだ他県に比べると、和歌山県は地理的にも予算的にも課題はありますが、高文連に軽音楽部会があるのはとてもありがたいことだと感じています。

ー 和歌山県の軽音楽部会では、どのような活動をされているのですか

高橋:主な活動は2つあります。1つは和歌山県の高等学校文化連盟が主催する「総合文化祭」での発表です。昨年度は初めて県民文化会館の小ホールで行いました。もう1つは、7月に行っている「講習会」です。参加各校に「30分」という時間枠を渡しており、その時間内で各校のバンドが演奏を披露しています。ちなみに、その7月の講習会で最優秀賞を獲得したバンドは8月に東京都と神奈川県が持ち回りで開催している「全国高等学校軽音楽コンテスト」へ参加することができます。「和歌山県にも軽音楽部会があるので、全国の空気を吸って活動の裾野の広げるべく、特別に参加枠をいただいています。

それから、和歌山県は都会と違って情報が少なく、音楽文化もなかなか発展していません。転じて、軽音楽部に所属している部員たちも技術面で弱い部分があることから、音楽専門学校さんのご協力のもと、今年度は2月に「技術講習会」を実施する予定です。

ー 高橋先生の学校の様子を聞かせてください

高橋:本校の軽音楽部が大きくなって良かったことは、外へ出て、いろいろな高校さんと交流できるようになったことです。具体的には、月に4回ほど県外の高校へお邪魔し、合同演奏会に参加させていただいています。「8月の全国高等学校軽音楽コンテストに和歌山県の枠をいただけませんか?」というお願いをしたのも、その一環です。とにかく県内での活動に留まらずに、いろいろな演奏技術や練習風景を部員たちに見せ、関東や関西の文化に触れさせるのが大きな狙いです。その中で阪南大学高校の丹波先生と出会うことができ、大阪の高校さんとも親しくさせていただくようになりました。また、郊外へ出て積極的に交流するだけでなく、部活動としてもまとまっていかなければいけないため、今年度は合宿の実施を検討しています。

今年は初めて、本校と和歌山県高等学校軽音楽連盟と近隣のライブハウスが協力する形で、「おとまち」というイベントを開催しました。軽音楽部に所属する高校生に限らず、「県内で音楽活動をしている高校生」というくくりで参加バンドを募り、およそ200人の観衆の前で演奏を披露しました。「和歌山県にいる皆でいろいろなことをやりましょう!」と言ってスタートさせたイベントの1つです。

本校の状況ですが、軽音楽部を立ち上げた当時は、なかなか練習の成果を発表する場がなかったことから、とにかくライブができる場所や機会を探しました。すると、次第にいろいろなところから演奏のお誘いをいただけるようになったんです。おかげさまで、昨年度から部室も使わせてもらっています。部室とはいえ、音量には限度があるので、なるべく大きな音を出さないように、ドラムはメッシュヘッドのミニドラムで練習したり、アンプもボリュームを絞りめに設定して鳴らしています。なかなか大きな音を出しての練習ができないため、どうしても音作りはまだまだな部分があるのですが、地道に活動を続けているところです。

私は本校に赴任して今年で9年目なのですが、当時に比べると軽音楽部を取り巻く環境は劇的に良くなっており、現在は和歌山県高等学校軽音楽連盟が主催するイベントとして、野外ステージを使った「ワカソニ」という演奏会も行っています。こういったイベントは部員が中心となって企画するように指導しています。とはいえ、まだまだ運営の部分で私が手伝うことが多いのですが、将来的には部員たち自身で運営できるようになり、高校を卒業してからもOBやOGとして、イベントを手伝うようになってくれれば…と考えています。

先ほどのように、近隣のライブハウスとイベントを開催することもありますが、もちろんそういったイベントは信頼できるところでしか行いません。必ず顧問の私が付いていくほか、「高校生も安心してライブが行える場所」という趣旨を理解していただいた上で、一緒に和歌山県の軽音楽シーンを盛り上げるべく、活動しています。

ー 加盟校の推移を教えてください

高橋:最初は和歌山高校さんと本校の2校で始まり、現在の加盟校は9校です。その中には、同好会も含まれています。「軽音楽連盟の立ち上げは無謀ではないか?」と言われたことがあるほか、「学校で積極的にバンド活動をやらなくても良いのでは?」という意見もいただいたことがあります。学校内に軽音楽部はあるけれど、連盟に加盟していただけていない学校がいくつもあるのが現状です。

多くの学校が「部活動」としてきちんと取り組んでいるのですが、軽音楽部に「ロック=不良」というイメージを持っている先生が少なくないことと、顧問のなり手がなかなかいないことが加盟校が少ない理由だと考えています。おかげさまで、現在はいろいろな先生方と交流させていただいているので、より一層、和歌山県としての体制をしっかりとしたものにし、機材の面や技術指導の面などの悩みや課題などを顧問間で共有していきたいです。

他県との交流も積極的に行っています。京都、大阪での合同演奏会をはじめ、「sing for the future」という鶴見商業高校さんが開催されているイベントや阪南大学高校さんの「ハードロック・フェス」にも参加させていただいており、遠くは宮城県にも訪問しています。また、奈良育英高校さんとも親しくさせていただいており、同じような境遇で軽音楽部を立ち上げた、「同志」のような渡邊先生が開催されている定期演奏会にも参加させてもらっています。

とにかく当校の軽音楽部は、恵まれていないところから立ち上げたので、「軽音楽部をどうやって立ち上げるか」というノウハウには自信があります。苦難の連続だったことが反対に「エネルギー」となり、「絶対に軽音楽部を作るぞ!」という私のモチベーションになっていました。その中で、「同じような環境にある人たちを手助けできる組織を作らないと、自分たちだけでやっていてもあまり意味がない」ということを感じていました。正直なところ、今、僕が動いているのは和歌山県の高校軽音楽部のことばかりで、自校の部員のことはほったらかしな状態です(笑)。ただ、和歌山県全体のことにも本校の部員を関わらせるようにしており、一緒になって考えているので、そういう面では社会の仕組みを高校生のうちから学ぶことができていると思います。

ー 未加盟校へのメッセージをお願いします

高橋:これまでは、私自身も孤軍奮闘で部活動の顧問をしており、音楽を聴くのは大好きなものの、「技術指導ができない」という部分に負い目を感じていました。ですが、顧問の先生1人で抱える必要はありません。いろいろなところにそれぞれの取り組みがあり、例えば、私はインターネットで阪南大学高校の丹波先生のブログを見つけて、それを参考にさせていただきながら部活動の運営をしてきました。

もし部活動の運営などで悩まれていることがあれば、デジレコ・ジュニアという素晴らしいツールもあるので、和歌山県の軽音楽連盟や高文連のイベントを見に来ていただきたいと考えています。演奏している生徒たちの顔はもちろんのこと、本校の生徒はイベント会場の機材の仕込みからバラしまでを全部やるので、そういった部分も見ていただくと、「軽音楽部は、こういった活動もしているんだな…」ということがわかっていただけると思います。軽音楽部に対する見方がきっと変わると思うので、まずは一度、お話をさせていただき、一緒に和歌山県の軽音楽部シーンを盛り上げていければ…と願っております。

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