神奈川県高等学校軽音楽連盟 事務局長 橘 秀樹先生

関東エリアでは、どこよりも早く高等学校軽音楽連盟が設立された神奈川県。それから数年後に発足した東京都高等学校軽音楽連盟と連携し、昨年度には軽音楽コンテストの全国大会を開催するなど、その活動規模は年々大きくなってきています。そんな同連盟はこれまでどんな軌跡を辿ってきたのでしょうか。今後の展望と共に事務局長の橘 秀樹先生に伺いました。(2014/9/DiGiRECO.JR VOL.4 掲載)

神奈川県高等学校軽音楽連盟〜その軌跡と今後の展望

ー まずはじめに、橘先生はどのような経緯で軽音楽部の顧問になられたのですか

:私は大学時代にバンドを組んでいました。教員になってしばらくの間は音楽活動から離れていたのですが、定時制高校へ赴任した際に生徒たちから「軽音楽部を作りたいので、顧問になってくれませんか?」というお願いをされたんです。当然、学校には何も機材がない状態だったので、私の自宅にある機材をすべて学校に持って行き、それを使って練習することにしました。その定時制高校で生徒と一緒にバンドをやっていたのが、私の軽音楽部の顧問としてのスタートです。

ー 軽音楽連盟の事務局長の仕事とは、具体的にはどんなことをしているのですか

:事務局長の役割は名前の通り、「事務仕事」です。大会のエントリーシートを受け取って、一覧票にまとめたり、コンテストの審査会場の振り分けを考えたり、神奈川県高等学校文化連盟(高文連)とのやりとりを行ったり、年度末には「どの行事に何人の軽音楽部員が参加したか?」という集計表を作るなど、実務的な作業を担当しています。

ー 軽音楽連盟が設立されるまでの軌跡について教えてください

:神奈川県高等学校軽音楽連盟は、県下にある高等学校の軽音楽系部活動に励む生徒たちに「発表と交流の場」を提供するべく、有志の先生方によって2001年(平成13年)1月27日に設立されました。その2年後である2003年度(平成15年度)には神奈川県高等学校文化連盟に軽音楽専門部が立ち上がり、現在は軽音楽連盟と軽音楽専門部の両輪体制で大会や技術指導講習会の運営にあたっています。

ー どのような経緯で軽音楽連盟が設立されたのですか

:これは私も聞いた話なのですが、いくつかの私立高校が集まって、合同ライブをやっていたのがキッカケだったようです。その私立高校の軽音楽部の顧問の先生方が中心となり、「全県単位の組織を立ち上げよう!」ということでスタートし、「軽音楽部でこんな組織を作りたいのですが、手伝ってくれる先生方はいませんか?」というような募集をかけて、集まってきた人たちで作り上げたのが、神奈川県の高等学校軽音楽連盟の始まり…と聞いています。

ー 当時、橘先生はどうされていたのですか

:連盟が設立された当時は定時制高校に勤務していました。ですので、残念ながらその当時の様子はまったくわかりません。ちなみに、神奈川県の軽音楽連盟が設立された時点で、既に宮城県で軽音楽連盟が発足していたことから、当時の役員だった津村先生からいろいろなことを教えていただいたそうです。

ー 橘先生はいつ頃あたりから軽音楽連盟の役員として参加されたのですか

:役員として加わったのは、ちょうど第1回目の県大会が終わった頃で、私が定時制から全日制の高校へ転勤することになったタイミングでした。キッカケは、たまたまパソコン通信で知り合いになった先生の中に神奈川県の軽音楽連盟で役員をされている方がいらっしゃり、「全日制に移るのであれば、軽音楽連盟の役員をやっていただけませんか?」という依頼を受けたので、役員として参加させていただきました。しばらくは一般の役員として在籍していたのですが、当時の事務局長が「そろそろ体力的にキツい…」ということをおっしゃっていたので、それからは私が事務局長をやらせていただくことになりました。

ー 加盟校はどのように推移してきたのですか

:神奈川県の軽音楽連盟が発足した当時の加盟校数は30数校で、現在は87校です。しかし、県下には軽音楽部のある高校が200校近く存在する中で、私たちの連盟に加盟している高校は100校に達していないということで、まだまだ我々のプロモーション不足だな…ということを感じています。

とはいえ、神奈川県立厚木高校さんは県内でも5本の指に入る進学校で、軽音楽部も頑張って活動されています。そんな厚木高校さんの影響なのか、今年度はいわゆる地域の「トップ校」と言われているような高校が軽音楽連盟に加盟してくださったり、大会に初出場しているのが印象的と言えます。

神奈川県高等学校軽音楽連盟 公式ホームページ http://www.kanagawa-keion.jp

ー 加盟校は、軽音楽部のある高校の半分にも到達していないのですね

:残念ながら、そのような状況です。また、これまでと変わらず、顧問のなり手がなかなかいない部活動であり、「転勤した先で、いきなり軽音楽部の顧問を任された」「誰もなり手がいないので、5人の教師が持ち回りで顧問を担当している」など、なかなか道は険しいと感じています。

ー 必ずしも軽音楽に情熱的な先生が顧問をされているわけではない…ということですね

:はい、そう言えると思います。加盟校が爆発的に増えない原因はそこにあり、自分の希望で軽音楽部の顧問を担当している…という先生は軽音楽連盟に加盟している87校の中でも一握りの存在で、あとの顧問の先生方は部員の熱意に押されて、軽音楽連盟に加盟した…というケースがほとんどだと思います。

ー 神奈川県の軽音楽連盟に加盟するための条件や費用はかかりますか

:加盟するための条件は特にありません。費用は年間登録費として1万円がかかるほか、夏の大会は1バンドあたり5,000円、秋の大会は1バンドあたり2,000円の大会参加費が必要です。

ー 軽音楽連盟として、具体的にはどんなことをされているのですか

:毎年、春に「初心者技術講習会」という勉強会を行うほか、夏はコンクールと全国大会、秋もコンクールと技術講習会があり、年度末には「指導者技術講習会」を開催しています。

まず、春の「初心者技術講習会」というのは新人向けの勉強会で、シールド・ケーブルのつなぎ方やピックの持ち方、スティックの握り方…といった初歩レベルからスタートします。一方、半年後の秋に行われる技術講習会では、スラップの仕方やアドリブの弾き方をはじめ、音楽専門学校から講師の先生方を招く形で講習を行っています。

ー 精力的に講習会を開催されているのですね

:はい、軽音楽部員の役に立つことができれば…ということで開催しています。もうすぐ秋の技術講習会の募集が開始されるのですが、ボーカル、ギター、ベース、ドラムなどの各パートごとに2日間で100人くらいの参加者を想定しており、毎年あっという間に定員が埋まってしまいます。

ー 他県の軽音楽連盟とは、どのような関わり方をされているのですか

:「全国高等学校軽音楽コンテスト」を東京と神奈川の軽音楽連盟が中心となって開催しているので、東京の軽音楽連盟との関わりは非常に深いと言えるほか、秋に行われる東京の公式大会では審査員として我々にお声がかかっています。また、他の道府県に関してはそれぞれの高校間でつながっているところはあるそうなのですが、軽音楽連盟として…となると、東京の他には千葉や埼玉あたりまでとなります。

ー 神奈川の軽音楽連盟としては、今後どんなことを目指されているのですか

:やはり加盟校数が100校を超えることです。「野球部に所属しています!」「僕はバレーボール部です!」というのと同じように「軽音楽部で毎日活動しています!」と言えるのが普通になって、広く学校の中で認知されるような部活動になり、たくさんの高校が集まった連盟にしていきたい…と考えています。

ー「他の部活動と何ら変わりません」ということをアピールしていきたいですよね

:はい、そうなんです。しかし、中には学校での練習をいわゆる「リハーサル・スタジオでの練習」と同じように捉えている部員もいるようです。活動の主軸が「ライブハウス」に置かれており、そのための練習場所として軽音楽部で活動しているような部員が少なくない学校の場合は、野球部やバレーボール部と同じような水準に軽音楽部を持っていくのは難しいと思います。「高校時代はバンドをやっていました。楽しかったです〜」というだけでは悲しいですし、せっかく2年半ほど軽音楽部員として活動するのですから、引退する時に「もう悔いはない。一生懸命、部活動に打ち込んだな〜!」と言えるようになるくらい、頑張って活動して欲しいです。

また、軽音楽連盟が目指しているのは「汗と涙の健全な部活動」です。しかし、残念なことに「だから、軽音楽部は…」とか「やっぱり軽音楽部は…」というようにマイナスのイメージを持たれていることが少なくないので、真面目にコツコツと練習することの大切さや挨拶の徹底、時間を厳守することなど、しっかりとした生徒指導を顧問の先生にお願いしています。神奈川県の軽音楽連盟の先代の会長が「我々は軽音楽部の底上げのために活動しているんです」ということをおっしゃっていたように、今後も軽音楽部の底上げを図り、裾野を広げる活動を続けていきたいと考えています。

ー まだ神奈川県の軽音楽連盟に加盟していない高校の顧問の先生や生徒に対して、メッセージをお願いします

:軽音楽連盟に加盟すると、連盟が主催している公式戦に参加することができます。また、いろいろな高校間による横のつながりが生まれると練習試合のような位置づけで「合同ライブ」が行えるようになり、軽音楽部としての活動の幅がグッと広がると思います。先述の技術講習会にも参加することができるので、ぜひ軽音楽連盟に加盟してください。

また、やはり「数は力」なので、連盟加盟校が増えれば増えるほど、軽音楽部としての発言力も強くなっていく…と思います。例えば、「全国大会でグランプリを獲りました!」と言っても、加盟している高校が少なければ、「だって、大会に参加している高校が少ないじゃん…」と言われてしまいそうですが、それが「県下200校中の150校が連盟に加盟しており、その中で県大会を突破し、全国大会でグランプリを受賞しました!」という話になると、説得力は自ずと変わってきます。

ー どのくらいの総数の中から勝ち上がってきたのか?…ということですよね

:まさにそうなんです。それから、これは軽音楽連盟の内部のことなのですが、早めに組織の若返りを図らないと、ある年度を境にバッタリと役員が退職してしまう恐れがあります。神奈川県の軽音楽連盟の場合で言うと、やっと20代〜30代の若い先生方が数名入ってきたのですが、まだまだ手伝ってもらわないと連盟として機能しなくなりかねないので、ご協力をお願いします。

現在は50歳以上が役員のほとんどを占めており、20代〜30代前半に数名の役員がいる程度で、30代中盤〜40代はポッカリと穴が空いています。これは数十年前に学生の数が爆発的に増え、学校をたくさん作り上げていった反動によるものです。その後、ある時を境に学生の数は減少し、学校の数が飽和状態となったことから、教員の新規採用を取り止めたことがありました。今はそのツケが一気に来ている状態なので、学校側としても教員を積極的に採用しており、そのおかげで職場の平均年齢はググッと下がりました。役員のなり手がいないのではなく、その年代の教員を採用していないので、仕方ない部分ではありますが、たくさんの若い先生方に連盟の運営を手伝っていただければ…と思います。ぜひ、一緒に頑張って活動していきましょう。

▲第2回 全国高等学校軽音楽コンテスト 決勝大会の表彰式の様子。大会で入賞することは部員の活動目標の1つとなっています

関連記事

ページ上部へ戻る