全国高等学校文化連盟軽音楽専門部設立準備委員会 事務局長 片桐慶久先生

現在、各都道府県の軽音楽部を取り巻く状況によって、高等学校文化連盟軽音楽専門部や軽音楽連盟、設立準備委員会という組織が存在しており、まだ組織になっていない県もあります。日々、部活に勤しむ生徒や彼らをサポートする顧問の先生方を支援し、全国的な組織にしよう、というのが全国高等学校文化連盟軽音楽専門部設立準備委員会です。これまでの軌跡や今後の展開について、事務局長の東京都立第一商業高等学校の軽音楽部顧問、片桐慶久先生に伺いました。

(2014/6/DiGiRECO.JR VOL.3 掲載)

全国高等学校文化連盟 軽音楽専門部 設立準備委員会 その軌跡と今後の展望

ー まずはじめに、全国高文連について教えてください

片桐:全国高等学校文化連盟(全国高文連)とは、高校生の文化活動を広く支援し、高校生を健全に育成することを目的としている団体です。ちなみに、野球には日本高等学校野球連盟、野球以外のスポーツには全国高等学校体育連盟という団体があります。高野連が年に2回、行っている公式試合が「甲子園」と呼ばれており、野球以外のスポーツには高体連の公式大会…インターハイがあります。

それと同じように、全国高文連は「総合文化祭(総文祭)」という催し物を主催しており、高体連の種目のように20近くの部門から成り立っています。ただし、各都道府県にすべての部門があるわけではないので、例えば、「愛知県にはあるけれど、東京都にはない…」というような部門がいくつもあるんです。演劇や吹奏楽をはじめ、全国専門部という組織のある部門は総文祭に参加することができます。

ー 片桐先生は主にどういったことをされているのですか

片桐:私どもの設立準備委員会では、全国高文連に「軽音楽専門部」を作ることを目的に活動しています。現在、東京都では約5,600名/109校の高校が高文連軽音楽部門に加盟しているのですが、「何名いれば全国組織を組むことができる」というものではなく、「トータルで、いくつの都道府県の高等学校文化連盟(高文連)に軽音楽専門部があるか?」によるのです。それには「25の都道府県が必要」と言われています。

全国高文連の事務局は岩手県立盛岡第四高等学校にあり、この事務局がすべての部門の中心となっています。私はその事務局の担当者の方に「今年もこんな感じで頑張っていますので、よろしくお願いします」というような連絡を毎年しています。いつも連絡を取っていないと、他にもう1つ、同じような準備委員会ができてしまうと困るので…。ですので、全国高文連に軽音楽部のことで問い合わせがあった場合には、事務局長である私のところに連絡がくることになっています。

ー 全国高文連の事務局は、持ち回りではないのですか

片桐:はい。持ち回りではなく、ずっと盛岡第四高等学校が担当しています。理由はわからないのですが、「はい、高文連です」とつながる専用の電話番号があります。

他府県の軽音楽部の顧問の先生方の中から「私がうちの県の代表になりますよ!」とか「皆でまとまってやりましょう!」と言ってくれるような方が1人ずつでもいてくれることが、まず第一歩になります。ちなみに、軽音楽連盟というのはプライベートな連盟なので、全国高文連に入ることはできません。「○○県高文連軽音楽専門部」というのが最終段階になります。これを25の都道府県で作る必要があるのです。なお、高体連も高野連も高文連も、大会がある場合は高校を公欠することができます。

ー そのあたりが妙ですよね。軽音楽連盟もいろいろな高校が集まっているのに、高文連や高体連としての活動の場合は公的に動いて良い、という…

片桐:総文祭というのは教育委員会や全国高文連、それに文化庁が主催しているので、公的なんです。そういったものがないのが、一般的な軽音楽連盟です。教育委員会などからしてみると、軽音楽連盟の活動は「勝手に活動しているだけ」ということになります。

軽音楽専門部の作り方には2通りの方法があります。まずは高知県のような「高知県高文連軽音楽専門部設立準備委員会」というのを立ち上げて、そのまま専門部に認められる、というパターンです。この場合、長野県や岩手県のように軽音楽連盟がない場合は「軽音楽専門部しか存在しない」という状況になります。

一方、東京都や神奈川県というのは、軽音楽連盟というのを立ち上げた後に、その連盟ごと高文連に加盟しているんです。つまり、高文連としての活動もあるし、軽音楽連盟独自の活動もある…ということになります。例えば、東京都には夏の大会がありますが、この大会に都高文連は共催をしてくれるのですが、高文連自体が主催しているわけではなく、軽音楽連盟独自の活動なんです。言い換えると、「高文連の1部門として、一定のルールを守って活動していれば、独自にこういった大会を行っても良いよ」ということです。ここが大きな違いと言えます。軽音楽連盟がない県には高文連が主催するイベントしかないので、独自活動をしていないんです。

ー なるほど…とても奥が深いんですね

片桐:そうなんです。東京都の場合は軽音楽連盟もあるし、高文連にも加盟しているけれど、中には高文連に加盟していない県があるので、そういったところでは「設立準備委員会」を立ち上げて、「専門部に入れてください」という活動をしている…ということになります。

一方、北海道に関しては、北海道高等学校軽音楽連盟設立準備委員会が設立されています。こちらはまずはプライベートな軽音楽連盟を作ろうとしている、ということです。

ーDiGiRECO.JR VOL.2の軽音楽連盟ニュースに掲載されているリストを見ると、静岡県や愛知県などは団体名が空欄となっています。こういったところはどのように考えたら良いのですか

片桐:静岡県や愛知県の代表の先生は全国大会や民間の大会で知り合った先生方なのですが、残念ながら、今のところは他県の状況を見て、「良いなぁ…」と感じているだけだと思います。

ー「全国で20都道府県があるから、あと少しじゃん!」というわけではないんですね。まだまだ、という…

片桐:その通りです。まだ先の長い話と言えます。ちなみに、全国高文連が主催する総文祭は各都道府県の主催でもあるので、軽音楽専門部がある都府県で総文祭が開かれる場合は、専門部のある道府県が25に届いていなくても、軽音楽の大会を開いても良いことになります。「協賛部門大会」というサブの大会を開くことができるんです。

ー ちょっと待ってくださいね(笑)。軽音楽専門部が25の都道府県で立ち上がれば、何が作れるんでしたっけ?

片桐:全国組織が作れるんです。この全国組織が設立されると、総文祭を毎年、開くことができるようになります。

ー 都道府県別の総文祭もあり、全国の総文祭もある、ということですか

片桐:いえ、都道府県別の場合は「総合」という文字は付かないんです。「東京都高等学校文化祭」となります。それが全国になると、全国高等学校総合文化祭という名称になるんです。わかってきましたか?(笑)。

2016年は広島県で総文祭が行われるのですが、ありがたいことに広島県の教育委員会の担当者の方が、修道高等学校の桑本先生に「この年は軽音の全国大会をやるから、参加校を集めてくださいね」ということをお話しされたようで…。先ほども言いましたが、軽音楽専門部のあるところで総文祭が開かれる場合は、軽音楽専門部のある都道府県が25に達していなくても、小さな大会を開くことができるんです。総文祭の協賛部門大会というサブのような大会なのですが、「全国大会」を名乗ることができます。今回、初めてこの協賛部門大会が行われるということで、それはとても素敵なことであり、大きな一歩だと考えています。

ー 東京都の軽音楽連盟と高文連の軽音楽部門では、組織が違うということはわかったのですが、両者でやっていることに違いはあるのですか

片桐:名称が違うだけで、組織としてはほぼ一緒、と言えます。高文連が主催している行事には軽音楽部門として参加している…ということなんです。それ以外の活動に関しては任されているので、軽音楽連盟が企画した行事を別に行っています。また、高文連側の行事は文化祭本番はもちろん、開会式や研究大会、役員会など、既に日程がいくつも決定しています。それは高文連の「行事」として決まっているものなので、軽音楽部門が出ようと出まいと、「スタッフだけでも用意するように、協力してください」というようなお願いをされることになるんです。

ー「全国に軽音楽連盟を作ろう!」というよりも、軽音楽専門部を増やしていく方向に進むのでしょうか

片桐:私に限って言ってしまうと、私は高文連のことを考える役職なので、まずは軽音楽専門部の設立に特化して頑張っていこう、と考えています。全国組織を作る=軽音楽専門部を作るということなのですが、その先には「総文祭に参加できる」という道が開けているんです。また、総合文化祭ということで、お金を支払うのは開催地の都道府県であり、教育委員会であるので、どこの高校であっても、旅費や宿泊費など、総文祭に参加するための予算が付いてくるんです。

ー なるほど…。全国高文連の中に軽音楽部門が出来上がると、そこで開かれる大会は公式なものとなり、予算も付いて、学校側にも公欠申請できる…と。一方の軽音楽連盟の場合はそうはいかない、ということですよね

片桐:そうなんです。連盟の方は自分たちが好きでやっているだけなので…。専門部を立ち上げるというのは、言い換えると、「高文連の一部を作る」ということなんです。それを私が中心になって、活動をしています。

ー 最後に一言、お願いします

片桐:軽音楽部の顧問の先生方というのは、ご自身の音楽経験に基づいて孤軍奮闘されていたり、あまり学校側から理解を得られずに肩身の狭い想いをしながら活動されていることが少なくないと思います。そこで、「孤軍奮闘すると大変でしょうから、ぜひ他校の顧問の先生方と意見交換をすると、すごくためになりますよ」ということを言いたいですね。それに、コンテストや合同ライブに参加することで、部員たちの普段の活動にも張り合いが出てくるんです。

例えば、合同ライブを行うと、同世代のバンドを目にすることになるので、「自分と同じような歳の子が、こんなにドラムを叩けるの?」という風に衝撃を受けて、それは顧問の先生が部員に指導するよりも何倍も説得力があるんです。それに、「こうやって弾くんだ!」とか「こうやれば良いのか!」といった発見もあり、高校生はその吸収がすごく早いので、合同ライブをやると一気に演奏がうまくなる、と言えます。

そのような活動を一クラブのみでやるか、高文連の組織としてやるか、軽音楽連盟としてやるかは別として、とにかく手を上げていただければ、ノウハウをお伝えしていこうと思います。組織の設立は軽音楽部としての活動が学校の中でより認められるようになる「キッカケ」につながると考えています。

▲平成25年度 東京都高等学校文化祭 軽音楽部門 中央大会/第6回 高校対抗バンドフェスティバル 決勝大会 表彰式の様子

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