京都高等学校軽音楽連盟 委員長 佐々木弘人先生

普段は英語の一般教職をしながら、放課後は自校の軽音楽部の面倒を見る。しかも、名前だけの顧問ではなく、大会の決勝戦出場の常連校というレベルを維持する。さらに、他の高等学校の軽音楽部との連携を主な目的に掲げる組織「東京都高等学校軽音楽連盟」の委員長として八面六臂に活動されている、成女高等学校 LM-CLUBの顧問、佐々木弘人先生に「東京都の軽音連盟」のこれまでと今後の展望について伺いました。

(2014/6/DiGiRECO.JR VOL.3 掲載)

東京都高等学校軽音楽連盟〜その軌跡と今後の展望

ー 東京都高等学校軽音楽連盟のこれまでの軌跡や、連盟結成までの経緯を教えてください

佐々木:東京都高等学校軽音楽連盟は2007年11月に発足しました。既に神奈川県の軽音楽連盟は2001年に発足していたのですが、個人的には神奈川県の軽音楽部の顧問の先生方をよく存じていたこともあり、その先生方から「早く東京の軽音楽連盟も作りなよ〜!」と言われていたんです。連盟の立ち上げに向けて、東京の顧問の先生が最初に集まったのは2006年の11月です。その後も有志の顧問の先生方による意見交換会を重ね、発足となりました。ちなみに、発足当時の加盟校は48校でした。

東京都の軽音楽連盟が発足する前は、神奈川県の軽音楽連盟が主催した南関東大会で、「東京都からもエントリーしてください」というお誘いをいただいたり、私個人としてはヤマハのTEENS’ MUSIC FESTIVALというイベントの「高校対抗バンド合戦」に生徒たちを出場させていたので、そこでいろいろな高校の顧問の先生方と仲良くなっていました。現在、本校はあまり合同ライブなどには参加していないのですが、当時は神奈川県の高校とお付き合いがあったり、他校の合同ライブに参加したり、顧問の先生方と一緒にバンドをやったり…というようなこともあり、その流れで東京都高等学校軽音楽連盟の発足会議がスタートした…というのが経緯です。

ー どのようなコンセプトのもとで、軽音楽連盟を発足されたのですか

佐々木:軽音楽を一生懸命にやっている生徒たちが、他の部活動と同様に、きちんとした活動として学校側に認めてもらうための公的な組織を設立し、大会を運営する、というのが基本のコンセプトです。やはり軽音楽部というのは「生徒が勝手にやっている」とか「不良が多い部活動」といったイメージを抱いてらっしゃる先生方が少なくないので、あくまでも学校教育の一環であり、部活動として音楽ができて、公式な大会が開けるような組織を作ることを目的としています。この主旨に賛同した先生方が中心となって軽音楽連盟を発足させました。連盟が発足した2007年度の3月に「発足記念ライブ」を開催したのですが、これが東京都高等学校軽音楽連盟が初めて主催したライブです。年度の途中でしたが、多くの加盟校に集まっていただきました。

ー 連盟発足後はどのような活動をされたのですか

佐々木:翌2008年度が正式な年度スタートとなり、その年の5月に第1回目となる総会を開きました。この時点での加盟校は56校でした。その年から「夏の大会」と「秋の大会」と呼んでいる2つの大きな大会の運営を開始しました。その後も加盟校は増えていき、昨年末の時点で109校になりました。6年目で当初の目標だった「加盟校100校」を越え、他府県よりも学校数が多いこともありますが、普及活動の成果もあり、規模の大きな組織になりました。連盟の活動の中心は、夏の大会と秋の大会という2つの大会の運営です。また、2009年には東京都高等学校文化連盟(高文連)から「軽音楽部門」としての加盟が認められ、高文連の1部門としての活動もできるようになりました。

東京都高等学校軽音楽連盟 公式ホームページ http://www.tokyo-keion.com

ー 連盟が主催している大会について教えてください

佐々木:夏の大会は各学校から4バンドがエントリー可能です。音源審査を通過したバンドが準決勝であるスタジオライブ審査を経て、決勝のステージに立つ…という流れです。決勝大会は主に8月の前半に行っており、そこで入賞したバンドが全国大会に進むことができます。

今年度は音源審査を4会場で行い、その中から60バンドが選出されることになります。各音源審査会場から15バンドずつが選ばれ、そのバンドがスタジオライブ審査に臨みます。そして、準決勝に勝ち進んだ21バンドが決勝大会に進めるのです。さらに、その決勝大会で入賞した7バンドが全国大会に進みます。

ー 軽音楽連盟がない県の高校や、連盟はあるけれど、加盟していない高校は全国大会には出られないのですか

佐々木:残念ながら、軽音楽連盟はあるけれど、加盟していない…という高校は全国大会にエントリーすることができません。一方、軽音楽連盟がない他府県の高校のために、全国大会には「音源審査枠」という音源審査で全国大会に出場できる特別枠があります。全国大会については神奈川と東京の連盟が中心となって運営している、全国高等学校軽音楽コンテスト運営委員会にお問い合わせいただくことになります。

ー 連盟のない県の生徒が「大会に出たい!」と思った時は、生徒のレベルではどんなことをすれば良いのですか

佐々木:まずは顧問の先生に「こういう大会があって、僕たちも参加してみたいです」と相談してください。その後、顧問の先生から全国大会運営委員会に連絡をいただけると、スムーズに話が進むと思います。

ー 先日、大阪の方でも「第7回 全国高等学校 軽音フェスティバル」という全国大会が開催されましたよね

佐々木:例えば、企業が開催しているバンドフェスティバルも「全国」を謳っているものがあります。「これは民間の大会だから別だろう」という考え方もありますが、「全国」という冠の付くイベントがたくさんあって、軽音楽連盟の中でも東京都と神奈川県が開催している全国大会と大阪府の軽音楽連盟が開催している全国大会という、連盟をベースにした全国大会が2つ存在しているんです。

元々、東京都と神奈川県で行っている全国大会は、これまでの南関東大会が発展した形で出来上がった大会であり、地の利的にも関東勢からのエントリーが多いと言えます。一方の、大阪で開かれている全国大会も関西勢が多いなど、全国大会と言えども、開催地近辺の高校が多くを占めているのが実態のようです。まだそれぞれの連盟の活動自体が発展途上の段階なので、これらの大会の整備が行われていない状況です。

ー 話を東京都の大会に戻しますが、秋の大会というのは、どういうものなのですか

佐々木:秋の大会は、高文連が主催している文化祭の中で行われているものです。もちろん主体は軽音楽連盟が運営しているのですが、高文連の1部門の大会なので、完全な公式戦となります。こちらは各学校1バンドのみのエントリーで、10月から募集開始です。この大会には「東京都高等学校文化祭・軽音楽部門大会」という正式名称がありますが、高文連に加盟する前から行っているイベントなので、我々は「高校対抗バンドフェスティバル」という名称を併記しています。

この大会は各学校から1バンドが参加するので、「学校対抗戦」という側面があるほか、高校3年生は出場することができないので、2年生以下の新人戦という位置づけでもあります。予選を3会場で行い、そこで選ばれた各会場7バンド…計21バンドが決勝大会に進むことができます。決勝で入賞したバンドは、都庁で行われる高文祭の閉会式で表彰されます。

ー 大会にエントリーするには費用はかかりますか

佐々木:夏の大会は1バンド4,000円です。秋の大会は高文連の大会なので、参加費用はかかりません。

なお、東京都高等学校軽音楽連盟に参加していただくには加盟費が必要です。費用は都立高校の場合は8,000円、私立高校の場合は10,000円です。差額の2,000円は東京都の高文連に支払うお金なのですが、都立高校の場合は東京都から補助金が出るので、学校側が支払う必要はありません。

ー 軽音楽連盟の賛助会員というのは、どういったものなのですか

佐々木:賛助会員というのは、軽音楽連盟の活動趣旨に賛同し、応援してくださる団体などのことを指しています。東京都高等学校軽音楽連盟の公式ホームページにて、賛助会員のご紹介をさせていただくほか、各団体のウェブサイトへのリンクを掲載しています。東京都の軽音楽連盟のサイトを見ていた人が、賛助会員のホームページに行く可能性があるなど、微力なものですが、ご協力させていただいています。なお、今年度は「一般賛助会員」と「特別賛助会員」に分けさせていただきました。

ー 両者には、どのような違いがあるのですか

佐々木:まず協賛金の口数が異なります。従来の賛助会員は「一般賛助会員」とし、10口以上を「特別賛助会員」としています。賛助会員は東京都高等学校軽音楽連盟のホームページで紹介しており、特別賛助会員はホームページでの紹介に加えて、大会のパンフレットなどに企業名を掲載します。また、軽音楽部員を対象とした「技術講習会」を特別賛助会員の企業が主催する場合は、連盟が後援をします。後援にあたっては、連盟が提示する要件を満たしていただく必要がありますが、これは顧問の先生が安心して生徒を参加させることができる企画をお願いしたいという趣旨からです。

ー 他に、連盟としてどういった活動をされているのですか

佐々木:夏と秋の大会の運営以外には、その年に活躍した軽音楽部員を顧問の先生が推薦する「部活動優良制度」というものがあり、軽音楽連盟がそのような生徒を表彰しています。また、以前は「指導者対象技術講習会」という勉強会も開催していました。

また、後援という形になるのですが、「1年生の技術力の底上げ」を目的とした合同ライブを開催し、多くの高校に参加していただいています。合同ライブに参加することでいろいろな横のつながりが生まれるので、軽音楽連盟に加盟する大きなメリットとして、我々は「ネットワーク」という側面を掲げています。

ー 最後に、まだ東京都の軽音楽連盟に加盟していない高校に向けて、メッセージをお願いします

佐々木:学校によっては、軽音楽部の活動が認めてもらえていなかったり、顧問の先生が孤軍奮闘されているケースをよく耳にしますが、我々は顧問の先生方が軽音楽部の活動を学校の中で円滑に行えるための一助になれば…というスタンスで活動しています。  現在、加盟校が100校を越える大きな組織になってきましたが、これから加盟する/加盟を検討している、という高校が今年もたくさん意見交換会や総会に出席してくださっています。また、生徒たちが「軽音楽をやりたい!」と言っているけれど、学校に軽音楽部がなかったり、まずは同好会を作るところから始めている…というような状況の高校もあるなど、軽音楽連盟の活動は周知されてきてましたが、加盟していただいていない、あるいはこれから検討するという高校がまだまだ少なくありません。他校とのつながりやアイデアの共有が軽音楽部の活動を充実させる一助になるのは間違いないので、ぜひ加盟していただき、一緒に活動していければと思います。

▲佐々木先生が顧問をされている成女高等学校 LM-CLUBは決勝戦出場の常連校で、昨年の秋の大会では「奨励賞」を受賞しました

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