コーチングとティーチング

あるテレビ番組のディレクターさんから番組の企画として、楽器未経験のタレント(中学生)さんに演奏指導をして、最終的にバンドで1曲を披露するという協力依頼が舞い込みました。細かいことはまだ言えませんが、情報が解禁になったら大々的に発表しますね…笑。軽音楽部やバンド活動を通して、若年層の人材育成をするという当協会のコンセプトに共感し、連絡をいただきました。

番組はゼロから楽曲の演奏までをドキュメンタリーで進めます。テレビ番組の制作や撮影/録音の現場ということへの好奇心はもちろんですが、普段の軽音楽部への指導ではなく、まったくの素人に2ヶ月弱でバンド演奏ができるまで、どのように指導するのか…に興味津々。相手はプロのミュージシャンを目指しているわけではなく、軽音楽部員でもなく、番組の企画として1曲を披露することが目的で、楽器やバンド演奏は初めてという中学生タレントです。ボク自身は指導しませんが、気持ち的には「ギターというのはね…」というところからアプローチするイメージでしたが、実際の講師陣は本番でなんとか演奏するための指導に集中し、余計なことはカット。そこは目から鱗でした。教えたいことと教えるべきことは違う…なるほど。

これまで何度も「習い事の基本は『守破離』である」と言ってきました。それは、教わる側のレベルによって「教え」と「指導」を使い分けることだと、今回の番組企画を通して理解が深まりました。多様性が叫ばれる今の時代に画一的な押し付けの指導は時代錯誤だと思います。今の組織は上位下達では動かず、自ら考えて行動しなければいけません。そういう組織の期待する人材教育が旧来の「教え」の押し付けで良いはずがありません。言葉遊びではなく、教育(教え育てる)と指導(指し示し、導く)の言葉の原点に戻って考え直すと、これからの軽音楽部への取り組みにも少し変化が出てくる予感がしました。入部はしたけれど、まだ何も知らない1年生に、彼ら自身で考えることを求めるコーチングは無理、無茶であり、最初はティーチングになると思います。もちろんその内容は生徒のレベルや意思、希望に沿う必要があり、教える側の一方的な押し付けは時代錯誤だと思います。さらに、上級生に具体的に教えることは最低限に留め、コーチングの発想として、自ら考えさせる必要があると思います。

ボクも曖昧だった教育と指導の境界線ですが、コーチングとティーチング…英語にすると違いが見えてきました。ちなみに、コーチングとは、Coach=馬車から来ており、目的地に届けるというのが語源だそうです。(21/07/02)

三谷佳之:全国学校軽音楽部協会理事長/日本部活動学会理事/株式会社ミュージックネットワーク代表取締役/DiGiRECO編集長/@BLOODSABBATHギタリスト◉電子・電気楽器/DAW系機器の横好き/ヘヴィメタル好き

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