「軽音楽部 2.0」宣言

NPO法人設立のご報告と抱負

特定非営利活動法人「全国学校軽音楽部協会」理事長 三谷佳之

かねてより構想を温めていた「特定非営利活動法人(以下、NPO法人)」を6月に設立いたしました。今後は本誌編集長としてだけではなく、NPO法人 全国学校軽音楽部協会(略称、軽音協)の理事長として皆様にお会いする機会が増えることと思います。誌面上ではございますが、設立のご報告と協会の抱負をもって、ご挨拶とさせていただきます。今後とも何卒よろしくお願いいたします。

思えば、2013年の「DiGiRECO.JR」誌の創刊当初から、軽音楽部の発展には、民間と教師の中間に位置する組織が必要ではないかと考えていました。年月が経ち、5年間で得た経験や全国の顧問の先生方と取り組んできたことを踏まえ、本誌の認知度や信頼性に一定の評価をいただけるようになった今こそ、NPO法人を設立する頃合いかと思い、横浜市に申請をし、6月に認証されました。

教育現場である部活動としての軽音楽部を支援していく際、株式会社という営利団体は相応しくありません。しかし、組織を動かすためには必ず予算が付いてまわります。このジレンマを解消するには、非営利の組織であることが最善だと考えました。NPO法人であればこそ、教師の先生方の意見を聞きつつ、マネタイズして、支援活動を継続的に動かしていけると思います。

「全国学校軽音楽部協会」という名称には私たちの想いが詰まっています。軽音楽ではなく、「軽音楽部」としたのは、自分の所属する部活動に誇りを持って取り組んでいる他の部活動と同様に、胸を張れる部活動にしたいという想いからです。楽器演奏やバンド活動の素晴らしさを日本全国の人たちに正しく理解して欲しい。軽音楽部の生徒たちは、単にバンドを組んで、個々に活動しているのではなく、他の部活動と同じように青春をかけて真剣に打ち込んでいるのだ、と知らしめたいのです。

また、軽音楽部はこれからの日本に必要な人材教育の場であると確信しております。「クリエイティビティ」「チームワーク」「コミュニケーション力」のほか、「表現力」「発信力」など、少人数のグループで意見交換をしながら新しいものを作り上げるという、現代社会に必要とされることを部活動の中で学ぶことができます。既存の部活動にはなかった新しいスタイルの部活動であることを日本全国に広めたいと思います。

名称に「学校」と冠しているのは、野球やサッカーなどと同様に、低年齢層から意識を変えたいと考えているからです。大学の軽音楽系サークルに身を置く大学生も同じです。そういった意味を込めて、「全国」の「学校」の「軽音楽部」を支援する「協会」です。中学、高校、大学と3+3+4年の10年間をサポートしたいと考えています。

世間から「ロックは不良」と言われた時代は終わり、ポピュラー・ミュージックは市民権を得て、軽音楽部が注目され始めています。しかし、見渡せば過去にないほど多数の高校生バンドを対象とした民間イベントが組まれ、「学校教育の一環としての部活動」と「趣味としてのバンド活動」の境界線が不明瞭になってきています。認知を得るというのは嬉しいことですが、そういう玉石混交な時期だからこそ、「部活動としての軽音楽部」像をしっかりと確立しなければ、結局はまた、過去の「バンド活動は部活動になり得ない(不向き)」という認識に逆戻りしてしまうのではないかと懸念しております。そういう意味で、当協会の活動にはスピードが重要だと考えております。

これまでの20年で全国各地に芽吹いた軽音楽部の火を消すことなく、新たなステップへ昇華させなくてはいけません。音楽やロックバンドというものが常に身近にあった私にとって、「軽音楽部」を通して音楽やバンド活動に恩返しできることがあると思います。

当協会の設立とともに、私はここに「軽音楽部2.0」宣言をし、次の世代に引き継ぐための礎作りを精一杯行っていく所存です。営利団体ではない立場でありつつ、全国を自由に動ける組織が、各地の調整役に必要なのではないかと確信しております。何卒倍旧のご支援とご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

平成30年10月吉日