Vol.79 北海道函館工業高等学校 軽音楽部

第79回目の訪問校は北海道函館工業高等学校です。北海道でのクリニックの開催は3校目となります。函館駅から函館市電に乗り換え、柏木町駅から徒歩5分のところに位置する同校の歴史は古く、設立は1911年とのことです。設置学科は電子機械科、建築科、工業化学科、環境土木科、電気科、情報技術科の6つ。各分野を基礎から学び、実習を通して実践的な技術を身に付けるそうです。早速、軽音楽部の様子を顧問の佐藤芳胤先生に伺いました。


ー 部活動の歴史を教えてください

佐藤:昭和46年の1971年に「ギター愛好会」として設立されたようです。私が顧問になった当初も「ギター愛好会」でしたが、翌年の2015年に「軽音楽部」と正式に昇格いたしました。

ー 連盟には加盟していますか

佐藤:北海道軽音楽連盟に加入しています。連盟では道南の専門委員をやっています。道南の方は加盟校が少なく、まだ2、3校しかないです。

ー 現在の部員数、男女比を教えてください

佐藤:現在3年生は引退しましたが、3年生は男4名、2年生は男6名、女4名の10名、1年生は男6名、女5名の11名で総員25名です。男女比は6対4で男子が多いです。工業高校である本校は全体的に女子の割合が少ない中で、4割という数字は大きいと思います。

ー 部員数の推移はどのような感じですか

佐藤:毎年10名から15名の入部希望はありますが、ほとんどが初心者です。本校では、多くの部活動があり8割近くの生徒が所属しています。文化系部活動は少なく、その中でも軽音楽部への入部希望者は多いです。

ー バンド数を教えてください佐藤:一度しかやっていない単発の企画バンドも含めると、20バンドくらいあります。レギュラーで活動しているのは現在7バンドです。

ー 部員の募集方法はどのようにされていますか

佐藤:特別なことはしていませんが、部局紹介で演奏をしたり、「新入生歓迎ライブ」や「楽器の体験」などをしています。親御さんにとっても、サッカー部や野球部のようなメジャーな部活動はイメージができますが、軽音楽部というのはかなり不鮮明な部分があると思いますので、どのような活動内容なのか、費用はいくらくらいかかるのかなどが記載してある20ページの冊子を、新入生と保護者向けに必ず渡しています。

ー 普段の活動時間はどのくらいありますか

佐藤:平日の1日と日曜日が各週で休みとなり、それ以外は毎日練習しています。また、毎週1日はミーティングやレクレーション、座談会だけを行う「NO練習DAY」があります。本校は定時制もあるため、音出しが難しいのですが、主に土曜日、日曜日が音出しの活動になります。練習時間は、平日の放課後3時半から定時制の授業が始まる5時までです。休日は午後1時から5時まで活動をしています。

ー 主な練習場所はどこですか

佐藤部室は機材置き場として利用していますので、音出しの練習は金曜日から日曜日まで視聴覚室を使用しています。活動前に、毎回機材を部室から視聴覚室へ運んでいます。練習後は、練習前よりきれいになるように機材を部室に片付けさせています。火曜日から木曜日は部室で空出しで練習をします。休日は誰もいない部屋を少し使わせてもらうこともあります。

ー 視聴覚室の利用方法を教えてください

佐藤:毎日練習を始める前にバンドリーダーが集まって、決めています。その日に合わせたいというバンドの数で、1バンド何分という枠を組んで決めています。まだ合わせるレベルではないという部員は個人練習をしています。

ー 全体で集まることはありますか

佐藤:週1の休み以外は毎日集合してから練習を始めます。普段は補習などがあるため音出しができませんので、全体練習は土曜日と日曜日にリズム練習や、全員で校歌を歌ったり、走らせたりすることもあります。

ー 貴校らしいユニークな練習メニューはありますか

佐藤:私自身が音楽の経験者ではなく、基礎的なことが教えられませんので、他校の練習方法をお手本に、「良いとこ取り」をしています。昨年度は函館の桜がきれいな時期に、五稜郭公園の周り1.8キロを2周くらいランニングさせました。その時に思いつきで「だるまさんがころんだ」などもしました。ただし「止まる時はかっこ良いポーズか可愛いポーズで」と、表現力の練習として決めてやってみました。

ー 校内でのライブなど発表の場はありますか

佐藤:春に「新入生歓迎ライブ」と夏の「サマー・ライブ」は視聴覚室で行っています。秋の「学校祭」は体育館で行います。

ー 年間の行事を教えてください

佐藤:春に高文連の大会がありますので、参加しています。夏の「サマー・ライブ」の後に中学校向けの「体験入部」を行っています。新人戦の「地区大会」にも参加します。秋は新人の「全道大会」、冬は「クリスマス・ライブ」と「卒業ライブ」を行います。そのほか不定期に企画イベントがあったりします。

ー コンテストへの応募歴はありますか

佐藤:2015年にヤマハの「ミュージック・レボリューション」に1組参加しました。2016年は3組参加しています。2017年は高文連の大会と、ヤマハの「ニドナツバンド選手権」にも参加しました。

ー 受賞歴を教えてください

佐藤:2016年の「ミュージック・レボリューション」の函館大会でグランプリ、2017年高文連の「新人大会」コピー部門でグランプリを受賞しました。「ニドナツバンド選手権」では音源審査を通過して、セミファイナルのLIVE審査まで進みました。

ー 現在の軽音楽部はどのような部活動ですか

佐藤:「ギター愛好会」だった時は制限もなく趣味という感じで、部員も来たり来なかったりでしたが、「軽音楽部」になったことで、実績も必要になり、楽しさに加えて「自分たちにしかできないこと」を探す部活動になりました。私が特に言っているのは「音楽すべてを楽しんで欲しい」ということです。できないことも含めて音を楽しめたら良いと思います。

ー 今後はどのような部活動にしていきたいですか

佐藤:「部活動」を通して、今までとは違う生まれ変わった自分を見つけて欲しいと思います。

ー モットーやスローガン、部則などはありますか

佐藤:あります。昨年の秋に現在の2年生が先輩から部を引き継いだ時、「部訓」を作りました。①あいさつも自己表現 ②身のまわり全てを大切に ③「アタリマエ」は当たり前 ④一人であり一人であらず ⑤完成は終わりなき旅 ⑥Iの言葉で、愛を表現 ⑦タノシイレボリューション。以上7つあるのですが、常に目に見えるように貼ってあります。その他に部の規則はあるのですが、当たり前のことしか書いていないです。

ー 指導方針や注意事項、禁止事項を教えてください

佐藤本校は職業高校なので卒業後はほとんどの生徒が就職となります。今は社会人になった時に恥をかかないような人間になるためにある日々だと思って指導しています。決してミュージシャンを作る場所ではないです。禁止事項ではないですが、赤点の部員は解消するまで部活動に来るなと言ってあります。最近の軽音楽部員は優秀で、あまり赤点をとる部員はいません。

ー 顧問としてやりがいを感じることはありますか

佐藤:現在も手探りなので、苦労は常にあります。音楽経験がないので、今回もクリニックをやっていただいて、自分も勉強になったのですが、何を教えれば良いのかわからないです。部員は、顧問が「知らない」ということを見抜く力があり、最初は本当に悩んで苦労しました。私の高校時代の友人が現在も音楽活動をしていて、楽器も何もできないということを相談した時に、「考え方が間違っている。楽器を弾くだけが音楽じゃない。音楽をたくさん聴いて引き出しが多いということも音楽経験に匹敵するんだ」と言ってくれたことで気持ちが軽くなりました。昨年の大会でグランプリをとれたことにもやりがいは感じましたが、やはり3年生がラスト・ライブとして「卒業ライブ」を最後までやり遂げるのを見ると、顧問をやっていて良かったと感じます。

ー 軽音楽部の目標を教えてください

佐藤:地域から、「頑張っているね」と声をかけてもらえるような部活動にしたいです。成績としては、全道大会などで強豪校と言われるようになれたら良いと思います。

ー 誌面を通して部員にコメントをお願いします

佐藤:皆が所属しているのは、「軽音部」ではなく「軽音楽部」だということを伝えたいです。楽しいという字があることを忘れないようにして欲しいです。競い合ったり、悩んだり、音楽を通して全てを心の底から楽しんで欲しいです。決して「楽しい」を履き違えないでください。「ラク部」ではありません。どんなことも楽しんで続けていってください。

ー クリニックを終えて感想をお願いします

佐藤:自分の知らないこともたくさんあり、部員も普段見たことがないくらい真剣な顔つきでした。普段は大人しい性格の部員も積極的に参加しており、とても良い機会でした。特に、私と同じような音楽経験がなく、どのように指導すれば良いかわからないという顧問の先生には、ぜひ受けていただきたいと心から思いました。一度やるだけでも、部員が後輩に指導するきっかけになると思います。

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